あらすじ
「家族か、他人か、互いに好きなほうを選ぼうか」ふたつきに一度だけ会う父娘、妻の家族に興味を持てない夫。家族というには遠すぎて、他人と呼ぶには近すぎる――現代的な”家族”を切り取る珠玉の短編集。
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Posted by ブクログ
連作短編集。
『プレパラートの瞬き』
「仕事が忙しいから、と頭に浮かんだ言い訳を、仕事が一段落したら行くね、に変換して舌に乗せる。」
『指と筆が結ぶもの』
「昔、おばあちゃんに言われたことがあるんだ。
家族になるなら、自分の長所を気に入ってくれる人じゃなくて、短所を許してくれる人を選びなさいって」
『ウーパールーパーは笑わない』
「出会えるといいね。今度こそ、ずっと一緒にいたいって思わせてくれるような相手に」
「それってどういう人なんだろうな」
「叱りたいって思える相手じゃないかな?私、一度でいいからちゃんと暁に叱られてみたかった」
『いちでもなく、さんでもなく』
「あのねえ、好きな人のことは、ほんの少しの違いまで分かるんだよ」
『アオシは世界を選べない』
「好きなものを選べる幸せは確かにあるけれど、選ぶ余地がなければ知らずにすんだ不幸も絶対にあるって、そんなふうに思うんです」
「うーん、家族と言うには遠すぎますよね。でも、他人と呼ぶには近すぎる。どっちもしっくりこないな」
「家族か、他人か、互いに好きなほうを選ぼうか」
家族だからといって、分かり合えるとか仲良しこよしとはいかない。
真に心の触れ合う関係とは、どういうものなのだろうか?
『選ぶ余地がなければ知らずにすんだ不幸もある』
ありふれた出来事かもしれない。だが、我がことになると心が痛い、惑う。起こってほしくない『ファミリー・レス』は、そんな物語。