【感想・ネタバレ】目まいのする散歩のレビュー

あらすじ

近隣への散歩、ソ連での散歩……。歩を進めるうち、現在と過去がひびきあい、新たな記憶がよみがえる……。死を前にした清澄なひびきをもつ晩年の秀作。野間文芸賞受賞作。巻末に口述筆記の様子がうかがえる「丈夫な女房はありがたい」を収録する。

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Posted by ブクログ

鷹揚とした風貌が武田泰淳という名前に合致していて、それだけで「大人」であるなと仰ぎ見ていた作家である。単行本で出版されたころに買い求めて一度読んだ。あっという間に彼より長く生きてしまい、文庫本になったこの本を再度読んでみた。今回も天女のような妻百合子さん、娘花子さんのエピソードが印象に残った。この本をきっかけに百合子さんの富士日記を読んでみたことも思い出される。巻末の「地球上には、安全を保障された散歩など、どこにもない。ただ、安全そうな場所へ、安全らしき場所からふらふらと足を運ぶにすぎない。」との一節にその通りと膝を打つ思いがする。

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2023年09月10日

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