あらすじ
ハートの国で、わたしとあなたが、ボコボコガンガン、支離滅裂に。世界の果ての青春、宇宙一の料理に秘められた過去、主人公連続殺人事件……甘美で繊細、壮大でボンクラ、極上の作品集。
*本電子文庫版は、河出文庫版(2018年9月刊)収録の全10編中、「リスを実装する」を除く9編を収録しています。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
「内在天文学」★★★
「イグノラムス・イグノラビムス」★★★★
「シャッフル航法」★★
「Φ」★★★★
「つじつま」★★★
「犀が通る」★★
「Beaver Weaver.」★★★
「(Atlas)^3」★★★
「リスを実装する」★★★
「Printable」★★★
Posted by ブクログ
思えば初期「Self-Reference ENGINE」「Boy's Surface」「オブ・ザ・ベースボール」から約10年なのだ。
作風は拡がったり膨らんだりしているとも言えるし、堂々巡りしているとも言える。
文体の実験、メタ意識、抒情。
すべて筒井康隆を連想してしまい、円城塔自身は筒井康隆を敢えて避けていると言うが、短編ではどうしても共通するものがある。
しかし筒井のドタバタハチャメチャコミカルとは違うリリカルコミカルな味付けなのだ。
もっとはっきりいえばエモい。
また、所々に差し挟まれるハリウッド映画的な身振り手振りの小気味良さは、人物を記号的に扱う思い切りの良さがあるからこそなせる持ち味なのだろう。
また作中人物が自分は作中人物であると意識する頻度は、筒井よりも高い。
筒井ほど作風の幅は広くないが、ある領域の作風の中では豊かな味を出している。
以上、何も言っていないに等しい駄文だが。
初期のボーイ・ミーツ・ガール感から、いったん遊離して思考実験やスペースオペラに逸れていたが、再度ボーイ・ミーツ・ガール感覚に戻ってきたらなんと今度は彼女は妻になり子も生れたり、さらには子がとんでもないものであったり妻子とは別れていたり。
極めて無理やり私小説的味わいを引き出すことも、できなくはない、か。
執筆時期からして「プロローグ」「エピローグ」は表裏一体ではなく、「シャッフル航法」を足して三位一体と見方を改めなければなるまい。