【感想・ネタバレ】質屋の女房(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

哀しい、無器用な劣等生は、社会にうまく適応してゆく人々の、虚偽を見抜く力をもつ……。先天的に、世間に対する劣弱意識に悩まされた著者は、いたずらに自負もせず、卑下もしない、明晰な自己限定力をもって、巧まざるユーモアのにじむ新鮮な文章で、独自の世界をひらいた。表題作ほか、処女作『ガラスの靴』、芥川賞受賞作『陰気な愉しみ』『悪い仲間』など、全10編を収録する。

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「ガラスの靴」は前読んだときから随分印象が変わった。以前は主人公の抱く恋愛感情に浮ついた心地よさみたいなものを強く感じたけれど、今度は僕と悦子の間にあるじめじめとした人間の匂いを一文一文から感じた。こんな文章あったっけと思うことが幾度もあった。

「青葉しげれる」「相も変わらず」は、順太郎という主人公の登場する連作で、母との関係が描かれた話。大学生ごろの年齢設定だからか、「三四郎」「それから」っぽさを感じた。
「相も変わらず」がこの作品集の中で一番好き。「悪い仲間」などにもあった、家族から逃れようとするも最後の最後に逃れられないことに気づくという主人公の姿にひどく共感を覚える。さりげない描写にとてつもない文章の力を感じた作品だった。

「質屋の女房」も好き。

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

肥った女

源氏名君太郎が面白すぎる。
最後はちょっぴり切ない

吉原のシーンは暗夜行路の影響受けてそう

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2021年09月25日

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ネタバレ

■ガラスの靴
 バイトをさぼって配達先のメイドとよろしくやっちゃう話。「魅力のとぼしい」女に惹かれるっていうのがこの作品に共通して不思議なところ。

■陰気な愉しみ
 戦争で働けない身体になってしまい、現代で言うナマポ的なものを受け取ることで劣等感を感じる(と、同時にそれを愉しみにもしている)主人公のお話。自分と境遇は違うが、その気持ちは不思議と分かる気がする。

■悪い仲間
 伊坂幸太郎が書く型破りな友人キャラに近いものを感じるけど、みんなそれぞれに背伸びしてるところが面白い。

■夢みる女
 この本の中で異彩を放つ童話的な話。なんか怖い。

■肥った女
 やっぱりここでも外見的には醜い感じの女性に引かれる主人公。お母さんもぼっちゃり系女子(笑)だったようだし、何か母性でも感じちゃうのかしら。このあたりからグダグダ浪人生の話が続く。

■青葉しげれる
 落第してもあっけらかんとしてる。どことなく憎めないやつら。

■相も変らず
 ほんと相も変らずグダグダしてんなー(笑)
 医学部に入ったのに文学部に通うなんてもったいねえよ!! と思ってしまうのだった。

■質屋の女房
 おっ……おセンベツ!! 質屋の女房の色気がすごい。
 女房もちょっと恋心抱いてたんじゃないかしらなんて思う。

■家族団欒図
 ここから2作は戦争が終わって、高知県(K県となっている)のオヤジ登場。ちっとも枯れ切ってない(笑)オヤジもなかなかダメなやつだった。
 結末はなかなかハッピーな感じ……かと思いきや。

■軍歌
 ついに主人公が大爆発する(いや、短編なので別に同じ主人公とは一言も書かれていないのだけど、作者の私小説風の作品なので)。この大爆発を、学生のころの作者はずっと避けていたような感じがする。そのくせ、親に黙って遊び歩いたり、遊郭に行ってみたり、文科に行ってみたりするんだな。


 比喩表現のセンスに脱帽。たとえツッコミ芸人もびっくりだぜ。

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2012年11月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

目次を見て、また読んで、魅力のあるものがほとんどなかった。本作の読書は淡々と作業をする感じであった。特に気に入った作品がなかった。文体は静謐かつ読みやすい。期待したほど、楽しめなかったのが残念だ。

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2019年08月06日

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