あらすじ
平凡無垢な青年ハンス・カストルプははからずもスイス高原のサナトリウムで療養生活を送ることとなった。日常世界から隔離され、病気と死が支配するこの「魔の山」で、カストルプはそれぞれの時代精神や思想を体現する特異な人物たちに出会い、精神的成長を遂げてゆく。『ファウスト』と並んでドイツが世界に贈った人生の書。
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Posted by ブクログ
とてつもなく大作。
様々な人が入り混じり
通り過ぎ去っていく…
そしてハンス青年は変わらず…
彼の心はどこか空っぽだったのかもしれませんね。
最終的には強制的に魔の山からは
去らざるを得なくなり、
必然的にこの物語は幕を閉じます。
いつかはやってくるのですよ。
自主性を持つ日が…
結局のところセテムブリーニやナフタのような存在は
机上の空論を食っているだけで
やはりどこか読んでいて違和感を覚えました。
ハンスは彼らにとっては無知の象徴でしたが
染まらなかった点では無知でないと思いましたが。
人には様々な誘惑もあり、
その中には悪のものもあります。
ショーシャ夫人がある種の堕落の
象徴なのかもしれませんね。
この版は読みづらいので
別エディションをいつか読みたいな。
Posted by ブクログ
上巻に引き続き、サナトリウムで過ごすカストルプ
いつのまにか従兄弟よりも施設に馴染み、さまざまなことに興味を持ち楽しんで過ごす
従兄弟のヨーアヒムは、ここの生活、治らない自分に苛立ち、早く普通の生活に戻らなければとあせっていく
やがて、ヨーアヒムはついに医師の忠告を振り切り、軍隊に帰っていく
月日がたつにつれ、季節はうつり変わりにそして、カストルプは植物に興味をそそられ
瞑想にふけり、セテムブリーニやナフタの宗教や、思想に耳を傾け、サナトリウムに溶け込んでいく、怖いくらいに‥
もうこの世界から抜け出したくない
抜け出せなくなっていく
まさに魔の山
雪山で遊びながら遭難しかけたり、周りの人々との関わりの中でさまざまな感情を捏ね回す
どんなにあがいても、サナトリウムの中でのこと
で、守られていることに気がついていたのだろうか
やがて最愛の従兄弟が帰ってきて、最後の別れとなるあたりから、ますます魔の山に飲み込まれていく
サナトリウムの壁のような存在になるまでには
何年もの歳月が必要ではあったけれど
それは
「長き間の束の間」
思想や宗教に関する話にはなかなかついていかれないがそんな話の中にも現実みがないような
狭い世界での討論に聞こえてせつなくなる
そして突然迎えるカストルプの転機
これは、作者の作品の中断にも関わっているのだろうか?
第一次世界大戦と言う悲惨な歴史の中に主人公を放り投げ、物語もまた投げ上げてしまった
当時の世界情勢に飲み込まれていくようで
これもまたせつない
サナトリウムでの、出来事のあれやこれは
なんだか楽しく読めたので、満足