あらすじ
中国フィンテック研究の第一人者である中国人研究者が、コピー大国からイノベーション大国に突き進む「チャイナ・イノベーション」の実像を日本語で書き下ろした。
世界経済の波乱要因となっているトランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争でクローズアップされたのが、「中国製造2025」。
中国が建国100周年を迎える2049年までに世界の製造大国になることを目標に掲げた国家プロジェクトだが、人工知能(AI)などハイテク分野も含めたこのイノベーション大国路線が米国を刺激した。
なぜ米国がそこまで警戒するのかといえば、「チャイナ・イノベーション」が予想以上に進展しているからだ。近年、中国では支付宝(アリペイ)と微信支付(ウィーチャットペイ)が牽引して
モバイル決済サービスが急速に発展した。このモバイル決済サービスがデータ蓄積の起点となって、さらなる生活のデジタル化を押し進めている。そのスピードは、米シリコンバレーを上回るほどだ。
人工知能、ブロックチェーン等の新技術が融合し、スマホによるAI活用の与信・貸付、無人スーパー、シェアリングエコノミーなど新サービスが次から次に誕生している。
顔認証技術などで世界レベルのスタートアップ企業も続々生まれている。まさにイノベーションの連鎖である。
2018年7月末現在、世界の株価時価総額ランキングは、アップル、アマゾン、アルファベット(グーグル)がトップ3を占める。
本書は、アリババ、テンセントを中心に、最新の中国イノベーション事情を紹介する一方で、中国でアリババなどを活用して業績を伸ばしているユニクロ、中国イノベーションを研究・消化しているメルカリの事例も紹介している。
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Posted by ブクログ
色々なことを聞いていたとはいえまとめて読むとやっぱり激しいショック。「中国が真似る」時代から「中国を真似る」(もしくは中国での経験から学ぶ)時代はすでにとっくに来ている、と感じさせる。そのタイミングを見損なわない様に色々な人にこれは読んで欲しい。物凄い学ぶこと多かった。2(続編)も読むの楽しみ。
Posted by ブクログ
アリババ、テンセントを中心に、中国が「下請け工場」「模倣」から脱却し、デジタル関連でアメリカの先端企業と並ぶに至った経緯が解説されている。
アリババ・アリペイの解説からは、日本の「キャッシュレス狂想曲」がいかに的外れだったかが分かる。
キャッシュバックの消耗戦も中国の再現でしかなかったようだ。
またテンセントの解説では、何度も危機を迎えながら消費者志向で進化してきたかが分かる。
アイフライテック、滴々出向などBAT以外の企業も紹介されている。
Microsoft、Facebook、Uberなどが進出し、検索サイトとして中国から閉め出されたGoogleが別サービスでなんとか中国に入り込もうとしているなどアメリカ企業が中国市場を狙っている一方で、日本企業は「反日デモ」を契機として中国から撤退、工場なども東南アジアへシフトした。
しかし結果として、その後の中国はアメリカと並んで最先端テクノロジーが生まれる場所になった。
その中国市場をつかんでいる日本企業としては本書ではユニクロしか紹介されていない。
(ただし、そのためウイグル問題ではユニクロは難しい立場に立たされている)
Posted by ブクログ
・テンセントの躍進。
・JDファイナンスの不正検知システム"The Magic Cube"
・不正組織の羊毛党
に関する記述など、ここで初めて知った情報もあった。
メルカリの話もちらっと紹介があるが、それまでの中国の規模感と比較すると、日本の小ささが歴然。働き方の猛烈さもテンションもスピードも負けてる。色々と難は加味しつつも中国から真剣に学ぶ価値は十分ある。
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。アリババとテンセントを中心に、近年のイノベーションが簡単にまとまっている。
正直BATとかもよく分かってないし笑、この本振り返りながら、この先も中国の状況ウォッチしたい。
Posted by ブクログ
1999年に馬雲がAlibabaを立ち上げて20年。中国ITの成長は著しく、今やグローバルをリードする地位を確立している。その転換点となったイベントを時系列で読みやすく整理してある良書。読んでおくべきです!
2011:WeChat、2012:alibaba cloud、2013:モバイル決済(Alipay、Wechat Pay)、2014:オープンプラットフォーム化(配車アプリから、金融・保険へ)、2017:リアル小売、AI政策強化・・・
特にこの10年は、モバイル決済を起点に、ビックデータの処理基盤、データを活用したサービス・効率化の追求、信用スコアを加味したオープンプラットフォームから生まれた新たなサービス展開と学ぶべきことたくさんです。
一方で、日本では2018年末にPayPayがニュースになったように5年遅れてると考えられるのではないか。中国をベンチマークとしたタイムマシン戦略を取りつつ、次の展開を考えないといけないと危機感を高めるキッカケになるはずです。
Posted by ブクログ
とても面白かった。中国史にハマり、なぜ戦争や内乱で国力を落とした中国が今時代の最先端を走るまでに急成長したのか興味があったが、その一端を垣間見ることができた。決めてになるのはプラットフォームのオープン化。でも日本がそこに追いつくには手法だけまねてもだめで、柔軟な思想をこそ見習わないとだめなんだろうなぁ
Posted by ブクログ
仕事柄、インド関連の市場研究をしているのだが、現地のサービスプロバイダーと話すと、たいてい彼らが見ているのは欧米ではなく中国である。昨年、アフターデジタルを読んで中国の発展に衝撃を受けたが、より詳しく知りたいと思い手に取った本。
こちらは、中国のアリババ、テンセントを中心に、なぜデジタル革命がこれだけ急激にこの15年ほどで起きたかをわかりやすくまとめている。
まず国策として予算も出して推進していること、その上で法律も変えていき、イノベーションの発展を止めないようにしていること、インフラが発展していなかった故に、顧客中心主義でサービスを磨くと顧客がついてくることが挙げられる。まさにデジタルを通じて負を解消して、そこに大規模なマーケティング還元キャンペーンで顧客獲得が功を奏している。
一方で各国で活躍していた優秀な中国人エンジニアたちがこれらの会社には集まっており、実際に人材の宝庫であるといえる。またオープン化戦略により、彼らのデータや機能を他社が活用することで、さらなるイノベーションが起きている点も見逃せないポイントである。
では、両社の違いはなにか?アリババ、テンセントとも決済は押さえてるが、アリババは小売とそのトランザクションデータをメインに、テンセントはソーシャルプラットフォームとしての強さを武器に滴滴行行などシェアサービスなどをメインにした戦略となっている。
2018年時点ではGAFAに続くような時価総額となっている二社だが、この本を読むと中国にはさらにユニコーンが出てくるイメージしかない。
日本も中国から学ぶ必要があるな、と感じた。
Posted by ブクログ
テンセントvsアリババに止まらない中国テック企業の事例が沢山載ってて面白かった。この本を読むまでDiDiが元々はテンセント系の会社だって知らなかった…。
日本はITに対する法規制が多いけど、テクノロジー起点で法律が変わるキッカケが生まれればいいなと思いました。
Posted by ブクログ
モバイル決済をはじめとする、デジタル経済の発展度の日中の差を、あらためて確認できる。
日本の企業は、こういった分野で、普通に負けているし、追いつくことは、既に難しい。
Posted by ブクログ
<目次>
序章米中貿易戦争とチャイナ・イノベーション
第1章習近平国家主席とデジタル強国戦略
第2章なぜ中国でイノベーションが爆発的に生まれているの
第3章アリババ集団とテンセント
第4章2強を追う先端技術企業
第5章急速に進むデジタル化の負の側面
第6章中国型イノベーションの本質と先端企業との付き合い
終章データーを制するものは、世界を制する
2018/10/2初版発行著者は中国人コンサル。
中国製造2025の国家戦略で、ハイテク産業へ舵とりをした中国の現状を記す。
私は2014/2-2018/10まで上海に住んだので、肌感でよくわかっているつもりのことを、この著者は中国を知らない人にも論理的に伝えている。
イノベーションが中国で起っているのはよくわかるのだが、会社としてどのように大きくなったのか、中国の会社組織とは何なのか、少し記述があり、ふにおちた。それは、とりあえずやってみよう、やりながら修正しようという観点である。
Posted by ブクログ
アリババ、テンセントを中心に、中国で今起きているイノベーションを紹介した1冊。この20年くらいの動きが背景を含めてよくわかります。2社以外の新しい会社の紹介は情報が少なく、ややとってつけたような印象。
シリコンバレーの会社もそうだけど、こういう会社のスピード感、チャレンジ精神をみると、本当に今の日本の企業はマズいのではないかと思います。なんだか老成化しているのでは。国民も会社も含めて、国全体が老成化するスピードが高まっているような感じもします。それはそれで、成熟した国の一つのありかたであり、人々の生き方ではあると思うのですが、日本が世界から遅れていっていることが、まだまだ共通の認識となっていない。いまだに過去の成功体験とプライドにすがり、チャレンジしないならば、いかにも残念。
Posted by ブクログ
ITからDT(データ テクノロジ)へ
データは経済活動の動力源。
100万人以上の海外留学生が帰国し、400万社以上が起業。
アリババとテンセント
世界的プラットフォーマーへ
P2Pレンディング
テクノロジー×金融
2018年時点で6000社以上設立するが7割は運営中止。
国産(ブラック企業)
羊毛党
架空取引で企業から報奨金をかき集める。
画像認証コードの代理認証「NID」
ネット企業の成否は
短期間で利用者を囲い込めるかで決まる。
プロダクトアウトではなく顧客視点
口コミからから改善点を見つけ、改善していく。
ウィーチャットのテンセント
「小走りしながら試行錯誤する」
「メールによる意思決定」
「試さなければ前に進まない」
中国イノベーション 3つの長所
1.意思決定に外部人材
2.女性など多様人材
3.産学共同による世界最先端技術
網聯
中国人民銀行と第三者決済期間(アリペイ)の接続機関
企業間決済に浸透し中央銀行の弱体化を防止
Posted by ブクログ
本著で紹介されている、今の中国で起こっているイノベーションは、単にIT技術革新というレベルではなく、社会全体の仕組みを変える、一種の社会革命に近いインパクトがある。
同時に、それをグローバルに主導権を握ろうとする強い国家意志が働いていることも分かる。
米中貿易戦争が勃発するわけだ。
一方でバブル的な側面や、国家がどれだけコントロールできるのか?不安を抱かせる要素はあるものの、この中国とどう関わっていくべきか真剣に考える必要があるのだろう。
間違いなく無視できない存在であって、先ずは現実を直視する(学ぶ、知る)ことが重要。
以下抜粋
・高速鉄道、アリペイ、シェア自転車、ネットショッピング、これが中国の新四大発明である。(古代の印刷、製紙、羅針盤、火薬に対応するもの)
・C2C(Copy to China)から2CC(To Copy China)ヘ
・2017年6月から施行された中国サイバーセキュリティ法では、
→データセンターは国内に設置する
→あるいは国営企業のデータセンターを使う
→中国国内で収集・生成された個人情報やデータは、原則中国国内で保管する。
・ナレッジ&スキルシェア分野は、2016年に本格的に発展し始めた。その取引規模は1兆370億円で2015年より205%増加した。
・中国の法規制の特徴は、新しいサービスが生まれると、直ぐには規制に動かず、その発展を見守って後追いで規制することだ。この点は、英米法の米国に近い考えであるかもしれない。少なくとも民泊などの新しいサービスが出現すると、既存業界保護を名目に直ちに規制に動く日本とは対照的だ。
・AI分野のスタートアップ企業の資金調達額に関して2017年は中国企業が最も多い48%を占めている。2位は米国企業で38%。
・中国企業は最初からグローバル展開をめざし、意思決定に関与する役員や中堅以上の管理職に外部人材を積極的に登用している。その結果、過去の成功体験に捉われず、イノベーションにおけるリーダーシップを発揮しやすい。
・プラットフォーマーとしてエコシステムを構築していくのなら、自社のコアコンピタンスを様々な企業に開放するウインーウインの関係を作ることが重要であるだけでなく、リスクを取ってプラットフォームと一緒に成長するISVのようなパートナーを育成する戦略も不可欠だ。
・日本ではサービス領域の細分化が進み、各領域でプレイヤーの棲み分けができている。各企業は自社の領域で最善を尽くすことに注力し、自前主義へのこだわりが強い。業界を超えて他の企業との事業連携というオープンイノベーションに関する動きは活発ではない。
しかし、デジタル経済の時代には、競合するのは同じ業界ではなく、今までと全く関係のない異業種からやってくる。日本企業もこのままでは、時代の潮流に乗り遅れる恐れがあり、次世代に向けて今から布石を打つ必要がある。
・産業がより発展したほかの国の成功モデルをいち早く導入する経営手法はタイムマシン経営とも呼ばれる。
今や、東南アジアの新興企業にとって、デジタル経済で目標とするタイムマシン経営の学ぶべき相手は中国となっている。中国の現在は、東南アジアの未来を映し出している。
Posted by ブクログ
中国のイノベーションの実態を多数の事例を基に解説。アリババ、テンセント、遥かに想定を超えた次元、日本勢はいかに対処してゆくのか。真剣に考え取り組んで行かねばならない。
Posted by ブクログ
今の中国、その中国経済の表紙を飾り続けているアリババとテンセント。この2社を中心に連なるデジタル化社会の来し方を確認することができる一冊である。
輝かしい成功物語があり、またその背後に渦巻く生き馬の目を抜く闘いと騙し合い、栄光と破滅が何層にも重なる。そのダイナミズムを受け入れる社会が今の中国なのだろう。経済が成長するから金がまわる、金がまわるから経済が成長する。もう日本の社会が長いこと忘れてしまった景色である。
意識の改革なくしては何事も進まないし、またリスクをとって、時には事故が起こっても突き進んでいく。多少のことは気にせず、大きな問題があっても敢えてぶち当たっていく、そんなやり方でやってどうにか道が拓ける。
留まることは即死だと考えさせられた。
Posted by ブクログ
もはや、シリコンバレーだけでなく、中国のイノベーションも無視できない存在であることを直視させてくれる。以前、著者の講演を聞いた際にその衝撃を覚えたが、この1冊の中にもよく表現されている。
Posted by ブクログ
ここ2,3年で中国発のイノベーションが次々と起こっていると感じる機会が増えてきた。日経コンピュータの2018/7/19号で中国のIT企業が特集されていたが、日本が完全に追い越されたことを痛感させられる内容だった。今後、世界のイノベーションをアメリカと中国がリードするのは、ほぼ間違いないだろう。
とはいえ、日米欧で中国企業のサービスに触れる機会はまだまだ少ないので、勉強のためにこの本を手に取った。
アリババとテンセントのモバイル決済をキーにしたイノベーションが、2013年頃から一気に広がった背景や中国政府の政策についてされていて現状の理解に役立った。
これからは中国から学ぶ姿勢を持たなければ、世界のトレンドから取り残されてしまう。英語より中国語を学んだほうが仕事の面では差別化できていいのかもしれない。
Posted by ブクログ
隣国にはGAFAを超えるビッグデータの巨人がいる。
そして14億人近いマーケットで凌ぎを削っている。
米国撤退後に、日本企業は生き残ることが出来るのか?
警告の書です。