【感想・ネタバレ】日本語びいきのレビュー

あらすじ

「させていただく」は丁寧か、馬鹿丁寧か。「先生」の読み方は本当に「センセイ」? よく知っているつもりの言い回しも、日本語教師の視点で見るとこんなにおもしろい! ヨシタケシンスケさんの、クスッと笑える絵とともに、身近な日本語のもうひとつの顔をのぞいてみませんか?
【『日本人の日本語知らず。』を増補改題】

目 次
まえがき
1 日本語は難しい、か?
2 ところでひらがな、ぜんぶ読めてます? ほんとに?
3 しつこいようですが、ひらがなはエライ!
4 らぬき、れたす、さいれ
5 ナウい人とナウな人、どっちがナウ?
6 品詞の谷間
7 お茶が入りました。
8 日本語はあいまい? 非論理的?
9 みなまで言うな。
10 米洗ふ前を螢の二ツ三ツ
11 私はこれでやめました。
12 ウチ向きな日本の私
13 ウチとソトの交流
14 しぇんしぇー、ちゅくえ
15 ありますですかそれともありますですか?
16 ててったってっ。
17 トンネルを抜けると鴨川でマスオさんが
18 飾り飾られ
19 4番の、カードを、お持ちの、お客さま
20 先生はとても上手に教えました。ありがとうございます。
21 お~星さ~ま~ギーラギラ♪
日本語は美しい。――あとがきにかえて
文庫版あとがき

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本語教師が、留学生とのやりとりや身の回りでよく聞く表現などに触れながら、日本語について易しく面白く解説した本。

日本語の難しさは敬語や謙譲語があるというだけでなく、目下の人が目上の人を直接褒めることは失礼だなどの文化的な背景がないとわからないことや、いわゆる"こそあど"言葉など、日本語話者なら無意識のうちに使い分けていることでも言葉で説明しようとすると意外と難しいルールがあるということに改めて気づかされた。

日本語教師という職は大変そうだけど、楽しそうで、ちょっと惹かれる。

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2022年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

外国人に日本語を教えている人ならではの本。
英語にも精通しているようで、発音に関する話題も豊富。
ヨシタケシンスケさんの挿絵が的を射ているので楽しさ倍増です。

ラ抜きことばの非難が最近なくなったのは、ラ抜きが勝ったからだそう。
「見れる」「食べれる」「来れる」「取れる」「戻れる」に「ラ」が必要?
「取られる」「戻られる」では確実に意味が変わってしまう。

「う」と書いてオと読む。「ようじ(用事)」はヨオジ。「いちろう(一浪)」はイチロオ。
同様に「い」と書いてエと読む。時計、丁寧、学生、恵子さん。など。

英語の発音は難しいなどと言うが、日本語の発音も実は難しい。
「菊池進さん」は、「きくちすすむさん」と書くが、「きっちすむさん」のように聞こえたりする。

「タチツテト」と発音するのは難しい。なぜなら、
「タティトゥテト」と「チャチチュチェチョ」と「ツァツィツツェツォ」が自然な発音だから。

「持っていて」は「持ってて」、
「持って行って」は「持ってって」、
「持ってってったって無理」なんて…、これを外国人が日本語としてマスターするのは大変だ。

日常会話と書き言葉、どちらも正しい日本語だ。
「やってしまった」と「やっちゃった」は、どちらが正しい日本語ですか?などと聞いてはいけない。

本当は正しくない言い方を、わざとすることがあるが、これも正しい日本語なのだ。
「"うっかり"太っちゃったので、スカートがはけない。」
「ずっと雨で運動会中止だと思っていたのに、なんで今日に限って"わざわざ"晴れるかな。」

形容動詞って学校で習ったけど、言葉しか覚えていない。
「安い、早い、うまい」が形容詞で、「きれいな、静かな、親切な」が形容動詞。
外国人相手の日本語教育では、「イ形容詞」「ナ形容詞」と呼ぶのだそう。
そして、「ナ形容詞」が圧倒的に多いそうだ。
それは、「ナントカ的な」という言い方と、「クールな」「エコな」のようなカタカナ言葉が「ナ形容詞」になるから。

日本語学習者の外国人のチョットおかしな自動詞・他動詞の使い方もあるあるですね。
「私の町はホテルが増えてもっと観光客を受け入れた方がいいです。」
「猫はしっぽが揺れながら走っています。」
「ぼくは彼女がぼくをふってからずっと一人です。」

修飾語が長いと正しく状況が伝わらないことがある。
「きのう原宿の駅から五分くらいの小さなお店でカズさんと割り勘で買ったドーナツを食べました」
「いつ食べましたか?」「どこで食べましたか?」確定できないです。

「遊ぶ暇があったら、遊びましょう。」はおかしい言い回しなのでしょうか。
「遊ぶ暇があったら、英単語の1つでも覚えろ。」とか言われた経験のある人は何か変だと感じるでしょう。
「自由に使える時間があるなら、遊びましょう。」という意味に置き換えできる人はおかしいと思わないでしょう。

このような言葉を扱う本に誤植は致命的なので、校閲者と編集者は神経使いますね。ご苦労様でした。
「きれえなおねいさんわすきですか?」は、この本では直してはいけないんです。

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2022年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者は日本語教師養成講座の講師。
国語の先生ではなく、日本語の先生。

ネイティブに日本語を話している人と違って、一から新しく日本語を学ぶ人に、わかりやすく日本語を教えるというのはなかなか難しい。
だって日本語って、論理的じゃないんでしょう?

いえいえ、結構日本語って、規則正しい言語だそうですよ。
もちろん例外はあるけれど。
そして、どんどん新しい言葉遣いが生まれてきているけれども。

英語は主語が重要だけれど、日本語は述語が重要。
だから動詞の語尾変化で主語を省略しても相手がわかる時もある。
敬語を使えば相手は目上。
ため口だったら同輩。など。

その割に副詞によっては、皆まで言わなくても通じる文脈もある。
「あなたのことはそれほど…(好きじゃないの。ごめんなさい)」

擬音語・擬態語については、感覚でわかってもらうしかない。

書きことばだけではない。
アクセント、イントネーションも話ことばには必要となってくる。
そして言葉の背景にある共通認識がわからないと、言葉の意味がわかっても文意がわからないことがある。

言葉ってコミュニケーションツールだからね。

そして挿絵のヨシタケシンスケ。
彼の作る絵本はいつも哲学的であり、哲学とは言葉で考えるものなので、彼の言葉のセンスはやはり一流なのであった。
直接本文を補完しているわけではないけれど、彼の挿絵を見て腑に落ちる部分も多分にある。

単行本から大幅に増補されたのは嬉しいけれども、改題はやめてほしい。
と、いつも思うけど、今回は改題の方がよい。

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2020年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本語教師が綴る日本語についてのエッセイ。
普段何気なく使っている言葉だが、生い立ちや法則性など一つ一つ紐解かれていくのが楽しい。

あれ、これ、それの指示語を並べる順番は、必ず遠い→近いになるとか。「〜している」という同じ書き方でも、動詞によって進行を表しているのか結果を表しているのか変わるとか。
言われてみれば確かに…と眼から鱗のことがたくさんあった。
添えられているイラストも味があって可愛い。

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2020年07月24日

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