あらすじ
哲学は難しい、哲学者は何を考えているのかわからない――。
一般人には、哲学も哲学者も雲の上の存在である。本書を読むと、哲学者は日々こんなことを考えているのかと知ることができるが、驚愕もしてしまう。そして同時に、多くのことを学ぶ。
この本は、カント哲学の学者であり、闘う哲学者として多くの著作を持つ著者の、講演やインタビューや対談をまとめたもの。
考えるための素材に満ちている。
哲学を志す原点となった、小学生のころの「明日死んでしまうかもしれない」という恐怖は「そんなに一生懸命生きても明日死んでしまったら何にもならない」というところへ向かう。
ウィーン留学で考えた「ヨーロッパ」「国際化」。哲学を学ぶことは「死」と「時間」と「言葉」と向かい合うことであり、「理不尽さ」を知ることであるともいい、真摯に哲学的に「生きる」ことのたいへんさを語る。
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Posted by ブクログ
哲学者と言ったら頭がどうかしちゃってる人を思い浮かべがちだが、そのもっともよい現存する例がこの中島義道。個人的には非常に好感を覚える「まっとうに」頭のおかしい人の一人。
この本は、中島義道が行ってきた様々な題材の講演を文字に起こしたもの。多くの著書(というか中島義道の排泄物・吐瀉物)で言われていることが繰り返されているとも言えるが、身も蓋もない腐っている物言いが「素敵」である。この人の本を読むと、共感を覚えるところあり、こんな人がいるんだという単純な驚きあり、日常的に「死」にはまり続けていられる精神の強固さに対する感動あり、かつそこから抜け出せないことに対する同情あり、そして、最終的になんか「勇気」づけられる気がする。よく考えると全く勇気づけられるわけではないのだが、無頓着でいることの多い自分の足元を崩される「快感」もあって、安定した中島の腐敗臭が癖になると言うべきか。
人生に迷っているいたいけな人に「お薦め」したい一冊。
面白いが・・・
内容としては、中島氏の生きざまといってよい内容です。
哲学者による哲学と思って読まれると、戸惑うと思います。
好き嫌いがはっきりと出る作品と思います。