【感想・ネタバレ】江戸の読書会のレビュー

あらすじ

近世、全国の私塾、藩校で広がった読書会=会読、その対等で自由なディベートの経験と精神が、明治維新を、近代国家を成り立たせる政治的公共性を準備した。思想史の傑作!

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Posted by ブクログ

 会読とは、複数の参加者が1冊のテキストを使い、討論し合う読書である。共同で同一の本を読むことで、真理を探究し、発明することができる。教育史によると、この手法が普及したのは江戸時代の思想家荻生徂徠のグループの活動のおかげだという。藩校や私塾では、儒学を学び、素読、講釈を経て会読を行った。ちなみに寺子屋では、会読は行われず、また、書物も商業往来や百姓往来を主に読んだ。このように、江戸時代は各人の身分によって学ぶ場所、内容が異なっていた。興味深いことに、身分制が強かった江戸時代、藩校や私塾は個人の属性にかかわらず、平等な関係で討論できたと本書で指摘される。つまり、実力本位の討論を実践できる特殊な空間であった。このように、全国で個性的な場所が点在していた一方で、江戸幕府側も昌平坂学問所を中心に改革を実施した。この改革のおかげで、討論における自己の相対化、他者の異論に対して寛容でいられるなど、いずれにしても、近代以降の日本教育の基盤に貢献した。明治時代以降は、漢学の会読が行われた時期もあったが、学制や新しいメディアの誕生、学問と立身出世の直結など、さまざまな要因が重なったことで、会読は以前ほど盛んに行われず、埋もれてしまった。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

江戸時代の思想史であり、教育史にもなる。っとても勉強になる本。江戸時代には会読という勉強法があり、その重要性を説いている。再読してみたい。

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2019年08月11日

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