感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年02月07日
さあ、これは感想が大変。物語が幕を閉じても、しばらくポカン。人間国宝の人間ならぬ名演に、さざなみのように興奮が湧き起こってくる。
人間関係の濃さで作られた作品なのに、主演男優だけ脱け出して独りで歩いていく。作中の表現をお借りすれば「狭い水槽の中の錦鯉」。それじゃ枠に収まるはずがない。待てとも、待っ...続きを読むてくれるなとも言えないもどかしさすら覚える。
私のような芸事に暗い凡人にすら、この非凡な世界を親しみやすく描いてくれている。吉田修一さんの筆力も尋常でない。インタビューを検索したら、実際に歌舞伎の舞台にまで上がられたとのこと。舞台側からの空気に鋭い緊張感が走っているのはこのためか。観客席からでは推し量れない重圧が、私でも容易に想像できた。
──生前、先代はよく言っておりました。女形というのは、男が女を真似るのではなく、男がいったん女に化けて、その女を脱ぎ去った後に残る形であると。とすれば、化けた女を脱ぎ去った後は、まさに空っぽなのでございます─
これから歌舞伎を楽しむにあたって、これぞ追っかけの見どころ。
「空っぽ」という境地まで登り詰めた千両役者。もはや役者は仕事ではなく、性分だという。無論それは捨てられるはずもない。国宝に至った人間がまさに「空っぽ」の入れ物、モノに変わってしまった瞬間を目撃できたんだと感じられた。
これぞ金輪際現れない無敵のアイドル。
そんな言葉しか浮かばない。語彙不足。
Posted by ブクログ 2024年02月03日
歌舞きたい
ってな事で、吉田修一の『国宝 花道編』
ナホミオススメのオモロ過ぎてハゲる本
わしは既にハゲてるけど
ホンマ、これはオススメのオモロい本じゃった
歳を重ねた俊介と喜久雄のよりパワフルな歌舞伎への邁進と執念。
俊介の想い届かないながらも、命を懸けて歌舞く姿にガクブルじゃったよ
...続きを読む喜久雄のラストも涙で文字が滲んでしまう程、カッコ良過ぎた
その他の登場人物も最高で、みんな最高‼️
壮絶な歌舞伎道と言うのか、久々にジェットコースターな感じの読み応えのある本じゃったわ~
ホンマ、ハゲるでこれは
2023年44冊目
Posted by ブクログ 2023年11月06日
つい夢中になって読んでしまった…
下巻の始まりは最悪だった。
ずっと真面目に孤独に戦ってきた喜久雄をダークヒーローにし、逃げた俊介をたてる作戦。不器用に文句一つ言わずに受け入れる喜久雄…
ただ、源氏がヒットし、ようやく訪れる輝く日々。ただそれも束の間、不幸は次々と降りかかる。
喜久雄の人生、次々と...続きを読む大切な人を失い、険しさばかり。失う度に喜久雄の人生が険しくなるのに、自身が周りを不幸にしているかのような思いを持つ喜久雄。
それでも芸に精進し、誰も届かない域に達した。それは孤独で狂気の域。
もっと続いていても読み続けたかもしれない。彼と彼を取り巻く世界をずっと見続けたかもしれない。眩しさと哀しさ胸が潰されそうになりながら。
読んで良かった。
Posted by ブクログ 2023年11月05日
いやぁ、天晴れな小説でした。まるで大河ドラマのようで、読みごたえありまくりでした。私はスタンディングオベーションしています。
吉田修一さんは大した小説家ですね。これだけの大作を書くには、どれだけ取材が必要だったことでしょう。私は歌舞伎は何度か見たことがありますが、あの華やかな舞台がありありと目の前...続きを読むに蘇りました。
芸に生きる人達の困難が描かれたこの小説に夢中になっていた頃、市川猿之助さんの事件があり、言葉が出なくなりました。
Posted by ブクログ 2023年10月07日
吉田修一というと「横道世之介」のイメージが強く、どんな作品かと思い読み始めたが、良い意味で印象が変わった作品となった。
ヤクザの息子として生まれた喜久雄が、"三代目花井半二郎"として重要無形文化財、つまり国宝となるまでの生涯を綴った作品。
上下巻合わせて結構なボリュームの作品だっ...続きを読むたが、読み応えがあった。
華々しく見える梨園の世界ではあるが、その世界で生き残るためには壮絶な努力と覚悟、忍耐が必要だということをまざまざと見せつけられた。それは決して役者本人だけではなく周りで支える人間も同じこと。これはあくまでフィクションではあるが、ノンフィクションのような、そんなリアルさと生々しさみたいなものが伝わってきて、最後まで引き込まれるように読んだ。特に下巻中盤からの展開の壮絶さを圧巻だた。
そして、芸を極めるということについても考えさせられましたね。極めても極めても終わりがない、終わることができない。その先にあるものは希望なのか、はたまた孤独なのか。。
これはぜひ映像化してみてみたいと思った。そして何より歌舞伎が見てみたくなった!新たな世界との出会いに感謝です。
Posted by ブクログ 2023年02月25日
下巻も相変わらずのスピード感。そして本当にこりゃ、映画だな。これ、映画で見たいな本当に。
こんなに自分の仕事に、立ちたい世界、幕を降ろしたくない世界を見られる漢は幸せだろうな。
Posted by ブクログ 2023年01月27日
ー鳴り止まぬ喝采、この花道はどこまでも続く
〈あらすじ〉
極道の親を持ち、小さい頃に死に別れ、預けられた先で芸を磨くこととなった喜久雄。あっという間に歌舞伎の世界に魅了され、もっと踊りたい、もっと先へ行きたいと思う喜久雄。十代の頃から、栄光と苦渋のある青年期を経て、それでもまだ高みへ。兄弟同然とし...続きを読むて育った俊介との出会い、別れ、人生の中での紆余曲折があり、歳を重ねる。それでも変わらぬ舞台への熱意。さあ今日も幕があがる。
〈感想〉
すごいものを読んでしまった、、、。というのが背表紙を閉じた後の一番の気持ちです。
まず、独特な語り口調で物語が始まり、読者の私たちは観劇しているような気持ちで喜久雄の人生のページをめくってしまい、全くの未知の世界の歌舞伎にもいつのまにかのめり込んでしまいます。正直、歌舞伎の世界の何たるかが全く分からない人でも面白く読めてしまうのが凄すぎます。
明暗のある、というよりも圧倒的に苦しいことの多かった人生の中で、喜久雄にとって舞うこと芸をすることだけはいつまでも変わらず、こんなにも人は何かに魅せられることがあるのか、と思って羨ましいとは軽々しく言えない程の熱量に恐ろしくもなりました。
そして圧倒的な美。美しさの真髄がここにあるような気がします。
吉野龍田の花紅葉 更科越路の月雪も 夢と覚めては跡もなし
最後の演目と喜久雄とこの詩が信じられないくらいに相まって、言葉にならない気持ちになりました。
激烈なまでの存在感なのに、この人はからっぽなんだ、私たちはそれに魅せられているのか、これは夢なのか、、、。
最後のシーンで、この物語をずっと語り口調で紡いでいたのはもしかして、、、と思ってしまいました。
とにかくすごいものを読んだということです、、。
※上下巻同じ感想です。
Posted by ブクログ 2021年08月02日
初めて読むタイプの本だった。言葉のリズムや表現がすごくきれいで印象に残った。喜久雄が見たい景色を最後に見ることができて本当に良かった。
Posted by ブクログ 2021年04月03日
すごい本を読んだ、というのが感想。文章が、読み易く、映画やドラマを見ているように感じました。 歌舞伎の地方公演を見て、東銀座の歌舞伎座を外からだけ見ました。
Posted by ブクログ 2021年01月09日
上巻で俊ぼんにイライラするも、ここでは俊ぼんも色々あったことがわかりました。
喜久雄も、だんだん周りから認められていきます。
上巻での苦労が報われた感じですが、周りに認められ、評判が上がってくるにしたがって、いくような感じがしました。
本が語り口調で書かれていて、誰が語っているのか最後...続きを読むまでわかりませんでしたが、あの人じゃないかと、読んたあとも色々考えることが出来ました。
Posted by ブクログ 2020年10月25日
本作のタイトルである「国宝」とは、日本に所在する建造物、美術工芸品、考古および歴史資料などで、歴史的、芸術的価値または学術的価値が高いものに対し国が「重要文化財」に指定したものを称する。
国宝には、「重要文化財」のような歴史的、芸術的な価値があるものの、音楽などの文化や工芸技術に対する「わざ」を「...続きを読む重要無形文化財」としている。
人間国宝は、この「重要無形文化財」に指定されている「わざ」を高度に体得・体現している人物を指し重要無形文化財保持者のこと。
歌舞伎は伝統芸能の「わざ」について審議をされ、本作中では通知書により認定の理由の記載までも記されている。通知書の記載以上に主人公・立花喜久雄(三代目 花井半次郎)が、人間国宝たるにふさわしい熱意と信念、世界観が描写しているため、読者にとっては納得できる評価である。
また、同時に、女形の最高峰としては、五代目坂東玉三郎さんを想像する。
五代目坂東玉三郎さんも東京の料亭の御子息で、梨園出身者ではない。幼い頃から舞踊を習い始め、それが縁で、十四代目守田勘彌の部屋子から養子にそして、14歳で五代目坂東玉三郎を襲名されている。喜久雄同様に厳しい世界を経験し、勝ち得たのであろうと本作を読んだことでその厳しさをより理解することができた気がする。
主人公・立花喜久雄は、長崎の極道の立花組の組長であった父・立花権五郎が愛甲組の若頭・辻村将生により殺された、その辻村のはからいにより大阪の人気歌舞伎役者・二代目花井半二郎のもとで芸を学ぶことになる。
二代目半次郎には実の息子・大垣俊介がおり、いずれ半二郎を襲名する後継者がいた。
ふたりはともに女形として、才能を半次郎に見いだされ、20才の時、花井半弥(俊介)と花井東一郎(喜久雄)として『二人道成寺』に抜擢される。
二代目が喜久雄に三代目花井半二郎を襲名させることで、俊介は元喜久雄の恋人・春江と出て行ってしまう。
梨園出身者でない喜久雄に対する周りからのバッシング、周囲からの嫌がらせにしばらく干された状態となり、満足な芸をすることができず悩まされる。
梨園という閉ざされた世界と芸能界での嫌がらせ、競争、マスコミの誹謗中傷…
そんな中、三友の竹野が芝居小屋で俊介を見出す。喜久雄をおとしめる竹野の戦略により復帰をはたした俊介であったが、両足の壊死という病気により道半ばにして亡くなる。芸能界の華やかさと陰謀を背景に、友情、恋愛、歌舞伎の裏話しを散りばめながら、喜久雄の重要無形文化財保持者となるまでの生涯を楽しむことができる。
最後の喜久雄に怒った結末と「愛想笑い一つできぬ、不器用な役者でございます。我が道しか見えず、多くのお客さま方からお叱りを受けてまいりました。おそらく当代の人気役者としては失格なのでございましょう。しかしそれでも、この歌舞伎座の大屋根から見下ろしておりますと、その不器用な役者の姿が父親の仇を、打とうと、朝礼の最中に駆け出した、あの一途な少年の姿に重なってくるのでございます。」に熱く感じた。
読み応えのあるお勧めの作品であった。
Posted by ブクログ 2020年08月13日
長崎のヤクザの息子・立花喜久雄
弟子入りした大阪の歌舞伎の名門・丹波屋
そこで出会ったのが生涯のライバルであり親友でもある丹波屋の息子・俊介
師匠である花井白虎の死、お家騒動、俊介の出奔、そしてついに俊介との再会
波乱万丈の青春を駆け抜けた歌舞伎に生きる2人を描いた上巻
下巻は…
丹波屋の東京進出...続きを読む、そして俊介の復帰をかけた公演の成功
一方、喜久雄はスキャンダルまみれ&自らの復活をかけた政略結婚
そして芸能界が「売れんかな」と仕掛ける2人の宿命のライバル対決
そんなこんなを乗り越えて芸の高みを目指す2人
全ては順調に進むと思えた矢先、大先輩である万菊の意外な死、さらに俊介の病気、喜久雄が愛するものたちへ降りかかる様々な不幸…
芸の頂点を目指す喜久雄が契約したのは悪魔か神様か?
うわ~!もう文句なしの最高傑作!
章ごとに泣いた~!!
芸に行き、芸に魅入られたものたち
美しさを追求し、自らも美の一つとして生きることを決めた選ばれしものたち
上巻で万菊が俊介と喜久雄に言った言葉が「あ~こういうことなのか…」と胸にストンと落ちてくる
歌舞伎役者として生きる喜久雄は歌舞伎役者として死ぬ
そこにあるのは一つの芸に生きたということだけ
賞や名誉などは関係ない
自らが芸に納得し、舞台に立つという幸せの絶頂であることだけ
この小説を読み終わった時に
映画「髪結いの亭主」が思い浮かんだ~
「しあわせの絶頂で死にたい」
この作品を読み終わった今、ひたすら歌舞伎が見たい。
今までなんとなく観ていたけど
舞台を前にしたあの独特の雰囲気、香り、音
全てを感じたい~
すごい作品を読んだ!!
Posted by ブクログ 2020年06月29日
15の時から兄弟同様に育った喜久雄と俊介。
役者が親兄弟の死に目にもあえないというのは、本当のことでした。
その他に枝葉末節、その他の登場人物たちの話も大変読ませる物語でした。
歌舞伎を一度も観たことがない私でも、何度も歌舞伎を観たような気持ちになる文章の巧さでした。
以下途中までのストーリー。
...続きを読む
山陰の温泉街で芝居をしていた俊介がみつかりました。
春江と、三歳の男の子一豊も一緒でした。
そして、明治座で復帰公演が行われます。
喜久雄は芸妓の市駒との間に綾乃という娘もいて、認知もしていますが、後ろ盾鵜を得るために、歌舞伎役者、吾妻千五郎の娘の彰子と結婚します。
喜久雄も俊介もそれぞれの活躍のあと、『源氏物語』で共演し大ヒットとなります。
そして一番の事件と言えば、俊介の右足、左足が順に壊死。両足共に切断。
「喜久ちゃん。もうあかん…。悔しいけどここまでや」
「俊ぼん、旦那さんは最後の最後まで舞台に立ってたよ」
芸事を極めることの執念の凄まじさをみました。
Posted by ブクログ 2020年05月10日
父権五郎の死をきっかけに、長崎から大阪へやってきた喜久雄。
二代目花井半次郎の息子俊介とともに、歌舞伎界の寵児となっていく。
ただ芸を磨くために。
もっと、うまくなりたい。
もっともっと、極めたい。
そんな二人の願いに立ちはだかるように、これでもかと宿命の嵐が襲いかかる。
策や要領などは通用...続きを読むしない。
逃げる訳にも行かない。
ひとたびは敗れ去ったかのようにみえても、喜久雄は不死鳥のように何度でも這い上がってきた。
いつまでも、舞台に立っていたい。
幕を下ろされるのが、怖い。
だから何があっても、前に進み続ける。
手紙から、携帯電話へ、そしてインターネットへ。
時代がいかに変わっていこうとも、変わらないものがある。
離れがたい親子の物語。
無償の友情の物語。
そして、すべてを貫く師弟の物語である。
歌舞伎の知識がゼロだったとしても。
圧倒的に引き込まれて、読むのをやめることができない。
この語りを、ずっと聞き続けていたい。
そして、歌舞伎が見たくてたまらなくなる。
Posted by ブクログ 2020年03月20日
これは良かった!
関西弁の響きが、絶妙に心地よく。関西歌舞伎が舞台でなかったら、ここまで入れなかったかも。
狂気、葛藤、努力、ライバル関係、不遇、栄光、極み、面白い要素が詰まっている物語。
Posted by ブクログ 2020年02月29日
素晴らしい!!!
個人的にはクライマックスにものすごい期待していたのですが
クライマックスそのものはブラボーでも、
そこに向かうまでがちょっと駆け足というか…悪く言えば雑、というか…
でも、いちいち描写がすごい!!
上巻冒頭のヤクザの乱闘シーンなんて
読みながら映画見てるみたいだった。
めちゃくち...続きを読むゃ美しかった。
歌舞伎も大好きなので、誰かモデルがいるのかしら?
とか思ったり、
ここんとこはあの人っぽいなとか
思いながら読むのもまた楽しかった。
頼むから映画化とかはしないでほしい。
できる役者いないし。
ていうかやるとなったらどうせ8代目染五郎とか使うんでしょとか思ってしまう。(いや染五郎さんはとても美しくて素晴らしい役者さんと思いますが)
この作品は小説として完全美だと思うんですよ。
だから映像化はかんべん!!
歌舞伎のお話ということで、ワクワクしながら購入しました。
歌舞伎はよく見てる方だと思うのですが、演目や専門用語の説明に新しい発見があり、次の観劇が楽しみになりました。
「阿古屋」は大好きな演目で、読みながら銀座の劇場や歌舞伎座で観た玉三郎丈の艶やかさが甦りました。
役者は商売じゃないんでしょうね。
...続きを読む多くの人に楽しんでもらって、日本の伝統文化として継承されていくことを願ってやみません。
喜久雄贔屓で読み通しましたが、上巻で旦那に稽古を付けてもらう際に「骨で踊る」というのがささりました。
自分もジャンルは違いますが踊りを少しやるので、意識すると踊りが身体に入ってくる気がします。
著者の吉田さんは、長崎出身なのですね。
巻末の一文に胸がつまりました。
Posted by ブクログ 2023年03月17日
あくまで読み手は観客である語り口が、歌舞伎というテーマにとても合っていて引き込まれた。
歌舞伎に詳しくないまま読んだが、華やかな歌舞伎の様子と芸事の過酷さを感じ取れて引き込まれた。
作者のイメージと違う作品だったけど、良いギャップで楽しめた。
Posted by ブクログ 2023年02月04日
一気に読みました。
久々に、久々に、小説の世界に入り込みそうな、そんなお話でした。
歌舞伎座、久しぶりに観劇に行こうか、、、と。
歌舞伎役者の生き様を感じることができた、というか、、、。
Posted by ブクログ 2023年01月21日
歌舞伎という芸に取り憑かれた男のみっともなくも暖かくて気高い人生。最後まで飽きなく読ませてもらった。辛い犠牲との交換で成立したのだとしても、喜久雄の歌舞伎の芸術への献身が報われたのなら喜ばしい。
傑出した芸術家の孤独と狂気。そんな儚く煌びやかな景色を読者にも見せてくれた。
Posted by ブクログ 2022年01月09日
役者の生き様をまざまざと見せつけられた。
序盤で、極道は0か100かとあったが、まさにその言葉どおり。
語り部がいる事もこの作品の魅力をひきたたせてくれた。
あっぱれ!という表現で評価したい、そんな作品でありました。
Posted by ブクログ 2021年04月05日
上巻では喜久雄に「這い上がれ!」とエールを送ったが、
下巻では、「もういいでしょう…」と思わず声をかけたくなる。
職業としての役者ではなく、彼自身の全てが役者だったのでしょう。
芸一筋と言えば聞こえが良く格好よく思えるが、
その道の何と孤独なことか。
何だかすさまじいものを読んだな。
Posted by ブクログ 2021年02月28日
2021.2.28
やっと終わった国宝上下
喜久夫がとにかくかっこいい
花道篇
ではなく
喜久夫無敵篇
俊介
まさかの両足切断
めげない気持ち
歌舞伎への愛
なんとも泣けてくる
徳ちゃん
まさかのラスト現れる
2人が再会したとこ
読みたかったなー。
芸能の旦那をもつ妻の
かっこよさも男気も
...続きを読むこの本の見どころ
己の信じた道を突き進むかっこよさ
その道しかないからこその苦しみ
本物じゃないと見れない景色
Posted by ブクログ 2021年09月20日
「三代目」「半二郎」の掛け声が聞こえ、鳥屋揚幕の金輪がシャリンと鳴り、舞台に立つ花井半二郎の艶やかな姿も見えるようだ。
歌舞伎の華やかな舞台裏の、見えないところにいる人たちの思いも知りたくなった。興味は尽きない。
歌舞伎に魅せられ、取り憑かれた主人公が、
嫉妬や裏切り、挫折、血筋との闘いなどありながらも歌舞伎役者として成長、大成していく様子は上下巻をあっという間に読み終わる圧巻のストーリーでした!
自称弁慶の徳ちゃんの優しさと男気がストーリーに暖かさを加えてくれていました。
Posted by ブクログ 2020年10月24日
ただただ、一人の人間の人生を実直に書き切ったお話だった。
全体を通して悪くなかったけれど、ハードカバー二冊、濃密な文章全部読んでなおこの人のことが魅力的だと思えなかったのがつらいところ。
芸能に生きる人間の魅力、すなわち「芸」の凄さが彼の魅力のすべてだと思うのだけれど、私に歌舞伎の知見がなさすぎるせ...続きを読むいでうまくその魅力を認識できなかった感じ。
文体がしんどかったのも、ラストあたりで効いてきて、これはこれでよかった。
ただ個人的には怒りや悪人ほど引き込まれる感じはなかったかな。