あらすじ
2004年は、日露戦争開戦100周年にあたる。自衛隊の海外派遣でゆれる現在だが、わずか100年前には世界屈指の軍事大国ロシアを相手に、日本は堂々と戦いを挑み、そして勝ったのだ。すべてにまさる強国を相手に日本が勝ち得た理由の一つに、戦争指導にあたる将軍たちの資質の差がある。司馬遼太郎著『坂の上の雲』には、大山巌、東郷平八郎、児玉源太郎といった名将たちの活躍が描かれているが、各戦場での勝利に、彼らの能力・器量が果たした役割は大きい。しかし日露戦争を描く場合、時系列に沿って語られることが多いため、こうした将軍たちの人物像を整理して理解するのはむずかしい。そこで本書では、人物ごとに見出しを立て、プロフィールから戦場での活躍までを読みやすく整理。写真満載で、名将とよぶべき17名を中心に、日露双方の将軍60名を収録した。通読すると、日露戦争全体の流れもよくわかるユニークな歴史読み物。
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Posted by ブクログ
日露戦争を彩った日本とロシアの将星それぞれの事跡を紹介。 名将とその他に分類されているが、その他扱いされている将軍の中にも卓越した働きをした人がいる。 普段あまり脚光を浴びない将軍についても、どのような功績があってどのような生涯を送ったのかが一通り分かるので、「坂の上の雲」の副読本として便利。
しかし人物評価については、一面的であるように感じた。 例えば乃木将軍など、世評の低い人物については、その置かれた状況を無視した評価がなされているのでは。 一例として、奉天会戦で大勝を逃した理由を、第三軍が包囲を完遂できなかったことにのみ求めるのは、最激戦を戦い抜いた第三軍に公平とは思えない。 会戦の始まる前、総司令部は「第三軍には多くを期待しない」と言い放っていたにもかかわらず、奉天会戦の帰趨を決めたのは最右翼を進撃し、結果的に敵の主力を引き受けた第三軍によるものであり、第一軍、第四軍の戦線は終盤に至るまでは膠着していたのだから。
明らかな事実の誤記もいくつかある。 踏み込みの浅さが残念。