あらすじ
世間の風を冷たく感じた路上販売に始まり、古来種フェス「種市」の熱狂、伊勢丹での驚きの展開にいたるまで、「あたためる八百屋」の騒がしい毎日をめぐる奮闘記。
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Posted by ブクログ
著者の経歴は変わっている。調理師、自然食品専門店のバイヤーから、東日本大震災を契機に「種」を守る八百屋になった。日本各地でそれぞれ伝えられてきた伝統野菜、在来野菜を、著者は「古来種野菜」と総括した。その古来種野菜を守るには、その種を引き継げるようにしなくてはならないのだ。F1種は大量生産・大規模農業には適しているが、一代限りの収穫しかできない。古来種は、種採り作業を併せると小規模・少量生産にならざるを得ない。それでも著者は、次代の子どもたちに引き継げるように、種を守るための活動を続けているのだ。
Posted by ブクログ
古来種野菜を食べてみたくなりました!
にんじんの葉っぱが好きなのですが、スーパーでは売ってなくて、、、
今は、マーケットなどで無農薬の野菜を買ったりしています。
この本で古来種野菜に興味もってくれる方が増えたらと思いました!
Posted by ブクログ
中国留学、調理師勤務、野菜バイヤー、古来種野菜市の立ち上げなど、エネルギーにあふれる著者の生き方が面白い。
また、本当のオーガニックというのは、おしゃれで健康に生きていくためのライフスタイルではなくて、人が自然の中の一部として野菜に寄り添い続けて次世代へその循環する環境をつないでいくことだ、とか、在来野菜を生み食文化を作ってきた「農」と、産業としての「農業」を整理してそれぞれの未来を考える必要がある、といった著者の思いが熱すぎず、温かく語られている。
自分の思いに基づいて行動する一方で、ものごとの良し悪しを決めつけすぎず、判断の余白をもった著者の姿勢にも好感が持てた。
Posted by ブクログ
私たちの「食」はどうなっていくのだろう
私たちの「食」はどこからやってきて
私たちの「食」はどこにむかっていくのだろう
そんなことを思わず考えてしまった
さて、本書の高橋一也さんですが
その肩の力の抜き加減が絶妙ですね
「野菜に対して、私がどれだけ無能であるか…」
なんてまず言われてしまうと
「えっ それはどういうこと?」
というふうになってしまうのだけれど
その高橋さんが出遭っていく
野菜作りの師匠たちの魅力的なこと
その師匠たちが作り出す野菜たちが魅力的でないわけがない
そして、高橋さんの
魅力的な野菜たちと美味しい野菜を求めるお客さん
との「出会いの場」をつくってしまう、その発想力、実行力がちょっと、ぶっ飛んでしまうほど素敵ですね
あと書きにかかれている
「世の中は、こうしたいと想いをもった人が、社会を作っている」と高橋さんの師匠のお一人から言われた言葉が本書を読んだ後にもじんわり膨らんでいきます。
Posted by ブクログ
古代種在来種の野菜への情熱がとても伝わってくる
著者は野菜を作る人ではなく 売る場所の提供をしている
最近の野菜や果物は「甘く」「やわらかく」「種がない」と品種がどんどん改良されていて、酸味のあるものや歯応えのあるものが少なくなってきている
現在スーパーで買えるほとんどの野菜がF 1種という、種をよそから買っているものだということを知らなかった
流通が優先されて とうしても規格がバラバラで、大量生産しにくい在来種野菜はなかなか世に出回りにくい
せめてその後土地に行った時にはぜひ口にしてみたい
Posted by ブクログ
すこしばかり想像と違った。なるほど、著者は農家出身でも農学系の人でもなかったんだ。だからこそ気づけたことが多くあったようだ。短文コラムがどんどん続く語り口は、現代のSNSの表現そのものだなと思った。章立てしたり起承転結の構成は、おそらく編集者が組んだのだろう。本に仕上げるまでの苦労もちょっと想像してしまう。
販売の現場に立っていた人が、仕入れ先となる農家や流通に興味を持ち、一念発起して起業したというところが面白い。テレビやメディアのネタになる要素が揃っている。思い立ったら行動してみるフットワークの軽さと発信力で、日本人の食や農に対する関心を、良い意味で煽ることができるかもしれない。またその立ち位置をよく自身で理解されているようだ。