あらすじ
地下アイドル・愛野真実の応援だけを生き甲斐にするぼくは、ある日、彼女が殺人犯だというニュースを聞く。かわいいだけで努力しか取柄のない凡庸なアイドルである真実ちゃんが殺人犯なんて冤罪に決まっていると、やはり真実ちゃんのファンだという同じクラスのイケメン・森下とともに真相を追い始めるが──。歪んだピュアネスが傷だらけで疾走するポップでダークな青春小説!
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Posted by ブクログ
不思議な小説だった。印象的なセリフが沢山ある。なにかすごく大切なことが書いてある気がして引っかかるのに、この感覚をなんて言葉にしたらいいか分からない。
応援している地下アイドルに求めていることがひどく歪んでいて言葉を失ったけれど、それは主人公だけじゃなかった。読み進めるほど、人が人に対して求めていることがどんどん浮き彫りになっていった。
対象や程度が違うだけで、みんな同じようなことをして自分の居場所を作ろうとしている。それは自分の過去で見覚えのある人間関係でもあった。
何も求めていないのは森下だけだったかもしれない。だからこそ森下はこんな殺人犯になってしまったのかな。
誰かのために行動するという話と、差別をしないという話で、森下の性質が少し分かった気がした。なぜか森下が一番ピュアに見えてしまい、頭を悩ませられる。
Posted by ブクログ
結構人を選ぶ作品だなコレ…。
何年前に買ったか忘れたけど、そういえばと思って読んでみたり。
応援している地下アイドルを冤罪から(いや、おそらく冤罪じゃないんだけど)守るためにクラスのイケメンと真相を追う前半。
なんだか爽やかな青春小説?と思いきや、イケメンが思った以上にヤバい奴で…。
イケメン、森下は狂言回しに近くて、主人公の不器用な応援が形になってしまったんだなぁ、と思う。少しクラスメイトに優しくされたら絆されちゃうくらいには普通なんだけど、同じくらい森下の狂気に当てられて努力し続けた少女に何もかも捧げてしまう。
特別になれないものが、特別だと思ったものに捧げられるものは、もしかしたらそんなことだけなのかもしれない。
Posted by ブクログ
あとがきにあることが全てかな。
17歳は、青春は軽蔑の季節。
そして、そうではなかった森下。
平等である。それは、誰かにとっては冷たいことかもしれない。
アイドルオタク=暗い、キモいの偏見。
山城や岡山はそのレッテル通りかな。
でも森下は違う。やりたいようにやる。話したい人と話す。違うと思うことは言う。
それがよいとは言わない。森下の本心は全然見えなくて、殺しもさらっと書かれていて、その淡々とした感じが不気味だった。(でも、それはきっと主題じゃない)
正しくなくていい、誰かの善はきっと誰かの悪だから。
Posted by ブクログ
とある地下アイドルが殺人を犯してしまい、それを知った主人公とクラスメイトがアイドルをかばおうとする。でもその方法が「犯人が他にいると思わせて、彼女を無罪にする」というなかなかぶっ飛んだもの。
小説という媒体は便利なもので、そうしたヤバイ主人公たちを徒に拒絶する必要もなく、しっかりと受け止めることができる。
自意識過剰な主人公が、まぁ最後まで独りよがりではあるのだけど、クラスメイトとのかかわりを通じて、最後には素敵な告白をする。手放しで好きなものを好きと言えるなら、死のうがバラバラにされようがハッピーエンドでいいのかなと思った。