あらすじ
ニコロ・パガニーニ。全身黒ずくめの姿で繰り出す超絶技巧で人々を熱狂させた、空前絶後のヴァイオリニストである。「悪魔ブーム」をブランディングに用い、巨万の富を築いた守銭奴にして女好き。「無神論者」の烙印を押され、遺体となっても欧州をさまよった彼には、「幽霊となっても音楽を奏でている」との伝説も生まれた。十九世紀に鮮やかな刻印を残した「西洋音楽史のメフィストフェレス」、本邦初の伝記。
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Posted by ブクログ
『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』が面白かったので、こちらも手に取った。
やっぱり面白い!
音楽史でもなく、ただの歴史でもない。
切り口が斬新だし、愛ある分析だなぁと思う。
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かつてビートルズはフェノメノンであると言われた時代があった。本書の主人公であるパガニーニも百数十年前のヨーロッパを席巻したフェノメノンだったと言えるようである。
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日本人によって書かれた唯一のパガニーニ評伝ということで貴重な本である。
私がこれまでに目にしたことがある日本人によるパガニーニ伝と言えば、2002年に出版された石井宏氏による「誰がヴァイオリンを殺したか」の「第三章 "悪魔のヴァイオリン弾き"パガニーニ」くらいであった。同書の65ページ分を使って書かれたパガニーニの生涯は魅力的でとても興味深いものだったが、本書でもパガニーニの物語の面白さはうまく引き出されている。著者が学者ではなく、文筆家だったのが功を奏したのであろう。非常に読みやすい文章も好感が持てる。
今まで私が読んできたヴァイオリンの本や、クラシック音楽関係の本の中で、パガニーニについて書かたエピソードは本書にもれなく含まれていたように思われる。以上のことから、門外漢からクラシック音楽マニアまで幅広くお勧めできる本である。
Posted by ブクログ
バイオリンの伝説的名手パガニーニの伝記。1782年生まれ1840年没。
彼が生きた時代には、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、リストなどとの影響や関係も深い。
ナポレオンの妹との関係なども興味を引く。
どれだけバイオリンを弾きこなしたのかは、さまざまな評価が残っているのでそれからの推定だが誰をも感心させるだけ室の高いものであった。
パガニーニの生きた時代のヨーロッパを知りつつ読み進むのも勉強になった。
最終章では、バイオリンとはどういう楽器かについても書かれており音楽の門外漢としてはよい知識を得た。
Posted by ブクログ
パガニーニって言葉が クラシック曲のいろんなところにでてくるけど なに?と思っているくらいの人にもピッタリ。(実際わたしがそう)そしてよむと まずパガニーニが聞きたくなる。
本を読むのが苦手な人にも読みやすい文章。
パガニーニの人生を負いながら、この時代の背景や、イタリア半島事情 バイオリンのこと多岐にわたってわかり易く描かれているので、音楽初心者にうってつけ。
守銭奴、色魔、など書かれているわりには、その事に関して詳細がないので、真っ黒な服着た不気味な不健康な人、しかイメージがわかない。
少し違和感があったのは パガニーニがすぐれた事故演出の興行師のような書かれ方だけど、個人としての働きなのか疑問。第三者の監督なり、プロデューサーがいたのではないのだろうか。
とにかくぐいぐい読める。
Posted by ブクログ
中世から近世史に興味がある私。最近、再度ブーニンの世界に浸っている事もあって『天才の名をほしいままにした男』の象に迫る分析の旅はなかなか面白かった。
パガニーニの名は知っていても、具体的にはバイオリンの名手とだけ知るのみ。ドラクロアが彼の肖像を描いていたのは驚いたし、こういったデモーニッシュなイメージに包まれていたとは。
遺体が数十年に渡り、欧州を彷徨ったことは「狂えるスペインの王女」のエピソードが被った。
最後の章でストラディバリとそれを上回るグァルネリ・デル・ジュスの話がある。初めて知った名前ながら、ルネサンス期、職人の世界‥で如何にもの内容。
私が思う天才のイメージだし、カラヴァッジオ、そしてブーニンにもつながった(彼はかなり真摯に生きているヒューマニストだけれど枠にはまって大衆が望むような常識的なラインを歩んでいないように。。)
200年前に活躍した天才。演奏家が宮廷の、皇帝の慰みだった存在から一気に「稼げる」アーティストになったさきがけ・・自らを悪魔とやつすことはある意味パフォーマンスであろうし、折からのクリエーター―時代(作曲家の大活躍と曲の誕生)と相まって社会現象にすらならしめたことは確か。
パガニーニカルテットと称されるヴァイオリンとその同属楽器による究極カルテット・・が彼の夢だった・・それが今なお、引き継がれている締めくくりが素晴らしい。