あらすじ
悲しい過去を背負いながら、彼はいかに生きたか。
殺人者の息子に生まれた25年の人生とは?
凄絶ゆえに当時報道も控えられた「北九州連続監禁殺人事件」。
その加害者の長男が「音声加工なし」で事件のありさまや、その後の苦悩の人生を語り、全国的な反響を呼んだ。
彼の人生を支えた後見人への取材などを加え、番組プロデューサーがこのたび完全書籍化。
<目次>
序章 生きている価値
第一章 鬼畜の所業――北九州連続監禁殺人事件
第二章 「消された一家」の記憶
第三章 やっとなんとか人間になれた
第四章 冷遇される子供たち
第五章 消えない記憶と、これからの人生
終 章 俺は逃げない
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Posted by ブクログ
【殺人者の息子に生まれた 25年の壮絶人生】
親ガチャ失敗。そんな言葉が一時期話題になっていた。
世間を賑わした北九州連続監禁殺人事件。その犯人が逮捕される裏で犯人の子どもたちが警察に保護されていた。
本作はフジテレビ『ザ ノンフィクション』のチーフプロデューサーである著者が、この番組の収録で兄に行ったインタビュー内容をありのままに記した1冊である。
そんな彼の人生は親ガチャ失敗なんて言葉では言い表せないほどの壮絶な内容だった。
彼は被害者達と同様に別宅で監禁、虐待されており、戸籍もなかった。
学習能力も読めるのがひらがな、カタカナだけ。
しかし世の中を知らない彼にとってはそれが当たり前だったため、何も疑問を持たず生きていた。
その後保護された彼らは学校に通うことになるのだが、学力の問題で1学年下の3年生からスタートすることになる。
幼少期に自然と学ぶであろう対人関係を経験していない彼は学校の集団に馴染めずにいた。
どこからか彼の境遇を知った同級生から心無い言葉を投げられたこともあったという。
その彼も高校生になり里親の元で暮らすようになるのだが、後に退学し里親からも飛び出してしまう。
身寄りのない彼はホームレス同然の暮らしで仕事を点々とした。
現在彼も成人になり一般企業に務め、結婚している。
インタビューに答えることになったキッカケは、被害者でもある自分に無断で事件を特集した事へのクレームだったのだが、著者とやり取りを重ねていく中で信頼関係ができ、彼が自分の言葉で語ることができたことは結果よかったものの、中には数字の為に取材をするメディアもある為、複雑な気持ちを抱いた。
親を選べなかった子どもが経験した人生と、強く生きようとする姿が描かれている。ぜひ読んでほしい一冊だ。
こんなひとにおすすめ
・社会派が好きなひと
・子を持つ親
・ルポルタージュが好きなひと
・ノンフィクションが好きなひと
まあまあかな
青年のポジティブな考え方が、ホッと穏やかで安心し、応援をしたくなる終わりで、読後感は悪くない。
ただ、前半の事件があまりに衝撃的なので、全体のバランスが中盤以降、ダラダラとした読み応えだった。
映像、インタビューの方を見たくなる内容だった。