【感想・ネタバレ】老後破産―長寿という悪夢―(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

「預金が尽きる前に、死んでしまいたい」「こんなはずじゃなかった……」年金だけでは暮らせない。金が無いので病院にも行けない。食費は1日100円……。ごく普通の人生を送り、ある程度の預貯金もある。それでも、病気や怪我などの些細なきっかけで、老後の生活は崩壊してしまう。超高齢化社会を迎えた日本で、急増する「老後破産」の過酷な現実を、克明に描いた衝撃のノンフィクション。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

老後破産に至った方のインタビューを通して、彼らの現状、老後破産に至った要因を取り上げているが、全員共通した要因があり、自分自身の将来を考える上で参考になる。
①厚生年金に未加入:ほとんどの方は自営、もしくは厚生年金加入期間が短く、未加入であり、国民年金のみでやりくりしている。(国民年金も満額で無い事例も)
②生活保護をもらえないと思い込んでいる。もしくは、貯金が多少あるために一度追い返されている。
③完全に孤立している。生活を見守る方がいない。
④支援者がいるが、それによって、かえって公的支援が受けにくく合っているケース
⑤病気になり、働けない

現時点で老後を迎えている世代は比較的年金などに恵まれた世代にもかかわらず、こうした老後破産に至る事例が数多く、今後はさらに老後生きて行くには厳しい状況になることが容易に想像できる。逆に現時点で老後に至っている方の多くは「こんなことになるとは思わなかった。」と語っており、かなり自分で招いた(見通しが甘い)結果であるように見え、あまり共感できなかった。

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2022年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2014年nhkスペシャルで放送された”老後破産”を書籍化したもの。
ショッキングは話がこれでもかと出て来る。
・年収120万円以内、家無し、貯金無しで生活保護が受けられるが、貯金が無くなる事の恐怖はこたえられないという。
・皆我慢して、1食100円の食事で凌いでいる。
・病気になってから転落するケースが多い 医者には行けない
・介護サービスも高くて利用できない。

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2021年10月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

老後破産
長寿という悪夢

著者 NHKスペシャル取材班
2015年7月10日発行
新潮社


今年は「下流老人」という文字も目についたが、こちらは「老後破産」。2014年9月に放送されたNHKスペシャル「老人漂流社会~“老後破産”の現実~」をベースに、番組で紹介しきれなった高齢者の例を含めてまとめた本。「老後破産」は番組プロデューサーの造語だが、こちらもしばしば見かける言葉になった。
年金収入だけでは生活できず、わずかな蓄えを減らしながら暮らす高齢者。いずれ底つきることは分かっているが、何も出来ない。1日1食しか食べないとか、2束100円のそうめんのようなもので食いつないだりとか、もちろんだが、病気になっても医療費を払うと食費がなくなるので行けない、倒れて入院して回復しても、医療費を払ったので生活費がなくなり不摂生をしてまた病気に、といった負のスパイラル。わずかな年金収入のほとんどが今の住まいの家賃に消えるが、安いところに引っ越したくてもその費用がないので高い家賃を払い続け、食費をけずらざるを得ない、というこちらも負のスパイラル。そうしてやがて破綻し、生活保護を受ける。それが老後破綻。

数年前、ごく普通のサラリーマンやどちらかというと裕福だった男たちがリストラされ、ホームレスに陥った話がはやった時期があった。そんな本には、貧乏で惨めな生活ぶりが紹介され、読者はそれを読んで同情はするが「自分はまだましだ」という慰めにもしてきた。老人モノの“極貧物語”に衆目が移ってきたのかという思いも少し持ちながら読んだが、そういう趣旨の本ではなく、いろいろな問題を提示したなかなかに優れた本であった。

なぜ、貧しい高齢者は生活保護を受けないか?
制度をよく知らない、という点がある。持ち家があるから、わずかだが預金があるから受けられない。年金をもらっているから受けられない。そう思いこんでいる人々は多い。
社会的に生活保護はさけるべき道だという考えを持つ老人。これも多い。
役所がなるべく受けさせないようにする。

年金収入が少なくても、預金があると、それがなくなったらまた相談に来てくださいと言われるらしい。そこで共通に持つのは、底つきた時にもし受けられなければ死ぬしかない、という不安。至極、当然である。いわば生死の境に立たされてからでないと相談に乗ってくれないとは。不安だから預金を減らさないようにする。すると食事は不健康、医者にも行けない、益々負のスパイラルにはまっていく。

ただ、この本を読むと、どうやら一番苦しい線は、年金収入が10万円前後ぐらいのようにも思える。それ以下なら、人が導いてくれたら生活保護を受けるということがありそうだが、10万円前後だとなかなかその気にならない。自分でやりきろうとする。そうすると、病気になっても医療費がもったいないので医者に行かない。結果、大病になる。ところが、全部でなくても少しでも生活保護を受けていれば、医療費は無料になる。

高齢者の極貧問題は、制度上の不備、社会的生活上の問題、個人の考え方など、実にいろいろな要素があって複雑である。では、解決の方法はないのか?そうでもないと思う。例えば、40代、50代の息子がリストラされ職がなく、高齢者の親の年金にパラサイトしているという実態もあり、こちらは将来に向けてさらに深刻だが、お金が一部に集中してしまっている格差社会こそが諸悪の根元であり、「頑張れば報われる社会」にすればいい、などという単純な問題ではないことだけは確かである。

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2021年03月17日

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