あらすじ
「学習の方法を学ぶことは、専門家が言うところの「究極のサバイバルツール」、つまり、現代において最も重要な能力の一つであり、あらゆるスキルの前提となるスキルである。」(イントロダクションより)
深い学びを得るにはいったい何が必要なのか?
子どものころに学習困難を抱えていた著者が、多くの実証研究調査と、学びの専門家への取材を通して辿り着いた、小手先のテクニックではない本質的な「学び方」。
米Amazon 2017年ベスト・サイエンス書
「読者の声」
「学ぶ」という冒険に出るための「地図」みたいな本。
何かを学ぼうとする時に、1度は読んだほうが良いと思います。
――人材派遣業、40代女性
読むことで自分にとっての学ぶ意味をより具体化できた。
――教育関係、30代男性
本を読む<以前>と<以後>では、
まるで違う世界を生きているような感覚です。
「学び」に関わるすべての人におすすめします。
――ファシリテーター、20代男性
「学びのデザイン」をするために不可欠な内容が詰まっていました。
――人材開発コンサルティング、30代男性
目次
イントロダクション
ダーツの実験/「究極のサバイバルツール」/体系的アプローチ
第一章 価値を見いだす
意味を自ら発見する/学びを自ら「作り上げる」/探索する種/「知的努力には伝染性がある」/意味とは学ぶこと/言語の摩滅/マインドセットの大切さ/MET研究
第二章 目標を決める
短期記憶の容量の小ささ/知識は学習の土台/学習にコンフォートゾーンはない/思考の質を上げる/思考についての思考―そして情動/感情管理の必要性/自己効力感/学習は難しくて当たり前
第三章 能力を伸ばす
モニタリング/外部からのフィードバック/苦労の本質と反復/「検索練習」/脳の可塑性/間違いの心理
第四章 発展させる
マイルス・デイヴィスの傑作/学習の発展としての議論/応用の必要性/「ハイテック・ハイ」/人に教えるという学習方法/不確実性の価値/「多様性は人を賢くする」/疑問の大切さ
第五章 関係づける
システム思考/「最大の認知上の障害」/仮定思考/ハッキング/視覚的アプローチ/アナロジーの価値/問題解決のスキル
第六章 再考する
過信/直感型思考と熟慮型思考/評価する必要性/自分に分かっていないことを知る/分散学習/内省の必要性/静かな時間/「こぶし」実験/無限のプロセス
エピローグ
ツールキット
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
学習の仕方に関する一冊。
具体的な方法についてのアドバイス・示唆があり、面白かった。教える側としても、教えられる側としても、学ぶことがたくさんあった。
ちなみに、学習とは整理されたわかりやすい体系のパーツを理解することである。
大切なこと
1.学習の価値を見出す/明確にする
学びたい理由、今そこにある文献/文書を読むには理由があるはず。そこに時間をかける意味を最大化するなら、”なぜ自分がそれを読むのか”を明確にする。できれば書く。それによって、学びの質は高まる。
2.目標を設定する
SMARTな目標(Specific、Measurable、Achievable、Related、Time-bound)をたてる。今知っていることではなく、できないことを目標にしないと進まない。でも、人間は今知っていることを繰り返しがち。
3.効率よい方法で練習する
何度も読んだり、蛍光ペンを引いたりではなく、「時々思い出す」期間をあけてから思い出すことが、もっとも長期記憶に結びつく。
フィードバックをもらう。自分に気付けない欠点を教えてくれる。
4.専門知識をつける
実践する、他人に教える、自分で自分に説明するなどを実行することで得られる学びは大きい。時間と努力がかかるが、その分以上の見返りはある。
5.自分の理解を再考する
「自分はわかっている」と思っていることほどわかっていない。他人に説明して質問されることで、自分がどれだけわかっていないかを知ることができる。
また、「自分が何を学び、次に何を学ぶ必要があるか」を問いかける。「自分が既知であったこととどう関係するか?」を考える
→自分が学習したことが「整理されたわかりやすい体系」になっていないなら、まだまだ不十分。理解の程度を知るためには、わかりやすく体系化してみよう。
Posted by ブクログ
『Learn Better』要点まとめ
学習とは、理解のプロセス、メソッド、体系なのである。
学習とは、一つのことへの集中と計画性と内省を伴う活動であり、学習の方法がわかれば習得の度合いと効果は大きく上がる
また、学習の目的は、ある事実や概念についての考え方を変化させることであり、学習にあたって目指すのは思考の体系を学ぶことなのだ。
本書は、学習を通じて価値あるスキルを習熟するためには
以下にまとめた「体系的なアプローチ」が効果的であると書かれている。
①価値を見出す
スキルを習得する上でモチベーションは最初の一歩である。「意味」があると思えないことを学ぶのは難しい。
また、「意味」が重要な理由はもう一つある。それは理解の第一歩だからだ。専門知識に自分とのつながりを作るとき、私たちはその意味を理解し始める。
なので、学習を始める前に、それを学ぶ価値や目的を明確にし、意味づけをすることが重要である。
②目標を設定する
知識を習得する初期の段階においては、集中が重要だ。どんなスキルを学びたいのか厳密に見極めなければならない。
だから、学習目標は漠然とした願望であってはならない。
また、達成しやすいベンチマークを設定した方が成功の確率が上がる。
よって、学習目標を具体化し、実現可能性を考慮した上で、期限を設定し、スモールステップを作り、小さな成功経験を積んでいくことが有効だと考える。
③能力(知識とスキル)を伸ばす
学習のこの段階では、習熟の領域を広げるために時間をとって「練習」することが必要。知るだけで終わってはだめ。
効果的な練習として二つの例が上がっていた。
1. 知識を記憶から取り出す練習(学んだことを思い出しアウトプットする)
2. 学んだことを実践し、パフォーマンスを観察する。可能であれば、何が正しくて何が間違っているのかフィードバックをもらうとなお良い。
④専門知識を発展させる
学習プロセスのこの段階では、基本から踏み出して、知識を応用することが大切。
学んだ知識を実践に応用したり、人に教えたりすることが効果的
⑤関係づける
結局のところ、個別の事実や手順だけを知ることではなく、その事実や手順が他の事実や手順とどう関わり合うのかを知ることが大切である。
要するに、専門知識分野の根底にある体系を理解することが重要。
その点、学習した事実に対して自分なりの「仮説」を持つことや、コンセプトマップを作成し、体系的に理解することが効果的である。
⑥再考する
学習には間違いや過信がつきものだから、自分の知識を見直し、自分の理解を振り返る必要がある。
学びながら、「自分がわかっていると思っていることは本当にわかっているのか?」と自問すべきだ。
また、内省も必要だ。自分が学んだことについて考えるのである。
具体的には「自分の考え方は変わったか?この教材の内容は全体としてどうつじつまがあるのか?自分が学んだのは何で、次に何を学ぶ必要があるのか?」と自分に問いかけよう。
【感想】
学習において、ある分野のことを「知る」だけではもったいない、むしろそれではほとんど学ぶことができていないなと思わされました。
学習(整理されたわかりやすい体系のパーツの理解)を通じて、その分野の思考法を学び、他の分野や、自分の仕事に実践して初めて学習の効果が最大化されると思いました。