【感想・ネタバレ】ロボッチイヌ ──獅子文六短篇集 モダンボーイ篇のレビュー

あらすじ

獅子文六の短篇小説は、生前多数発表され、長篇小説にも勝る魅力を持ちながらも、そのほとんどは読むことができなくなっていた。そんな貴重な作品群から編者監修のもと、“男性”が活躍する作品をコンセプトに編んだ作品集。当時の性に対する社会風刺ともいえる表題作「ロボッチイヌ」を筆頭に、ユーモアと人間味、鋭い批評性にも溢れたオリジナル編集の傑作短篇集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

男性キャラに焦点を当てた短編集、というところでしょうか?

前半は、ほぼ間違いなく小説、って感じですが、後半に行くにつれて、徐々にエッセイみたいなのが増えていくような印象でした。ま、エッセイ、ではなく、エッセイ風小説、なんだろうなあ、おそらく、とか思いつつ読んでおりました。

感想としては、うーむ。獅子文六さんの作品は、どっちかゆうたら、短編より長編のほうが好きかなあ?と思ったイメージが強いですね。楽しかった、のですが、色んな長編を読んだ時の感動ほどは、あまりグッと来なかったなあ、というイメージでしょうか。

ただ、この短編集のタイトルにもなっている「ロボッチイヌ」は、バリ秀逸だな!って思いましたね。いわゆる男性の性欲処理のための女性型ロボット?みたいなんを大量生産して儲けちゃおうぜ、みたいな話なんですが、これを遥か昭和の大昔に書いておられたのですか!という驚き。

ダッチワイフ、というか、2021年現在で言いますと、いわゆるラブドール、ですよね。オリエント工業のモノが、有名なんですよね、確か。いやもう、先見の明、ありすぎでしょ!って思った。獅子文六、恐るべし。

で、性の問題、いわゆるエロを題材にしていながら、作風はバリ平和ウルトラのどか。ノホホン極まれり、みたいな、超ホンワカしてるんですよ。この落差。素晴らしい。エロの話題なのに全然エロくない。いやあ、奇跡だ。これならお子さんに読まれても恥ずかしくない?のか?みたいな。

こうした獅子文六さんの雰囲気って、作風って、凄い好きですね。獅子文六さん、写真で見る限り、オットコ前なんですよ。で、作風コレでしょ。おそらく、ちょい助平シャレオツ面白おじさん、って感じで、めちゃくちゃモテたんじゃないかなあ?イヤらしくない爽やかエロオヤジ、みたいな?無茶苦茶言ってますかね?

いやでも、獅子文六さん、ホンマ絶対モテたと思う。ちょっと例えがズレるかもしれませんが、日本屈指の男前、福山雅治。彼を評する時によく言われると思うんですが「福山さんが話すと、エロネタもエロくない」みたいな評、あるやないですか。なかったらゴメンなさい。でも、獅子文六さんも、絶対そうだったと思うんですよ。この作風から、色々と獅子文六さんの作品を読んで思ったんですよ、そんなふうに。

エロネタを言ってもエロく思われない嫌われない男性。男としてのまさに理想中の理想だと思う。うらやましいよ、そんな存在になることができるのって。ですので、僕は、獅子文六という人を尊敬して尊敬して尊敬しまくります。いやあ、羨ましいキャラなんだよなあ~。

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2021年03月07日

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