あらすじ
「パソコンのバイセル取引」「原子力事業の減損問題」「企業結合の会計処理」「取得価格配分手続」・・・全てが明らかに。
東芝の不正会計が、日本のどの会社でも起きるようなものだとすると、この事件の本質――会計や監査上の問題点――を理解しなければ、他山の石になりません。ただ、会計や監査の知識が乏しいビジネスパーソンにとっては、この事件は理解は困難です。
東芝事件は会計や監査に関する様々な問題を提起しましたが、この事件の特徴は、東芝から発表された情報のほか、関係者による通報などで、ほぼリアルタイムで事件が進行した点にあります。しかし、専門家でない読者はもちろん、メディアの報道でも曖昧な(平易すぎる)記述になっていることが、この事件に対するさらなる誤解を招く要因でした。
本書は、会計士の著者が、事件の発端から現在までを分析、平易な言葉で事件の本質を解説するもの。そこから、会計や監査の諸問題を明らかにしていきます。過去の経緯を振り返り、会計・監査面から様々な決算・財務情報を正確に分析、東芝事件の総決算を行います。
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Posted by ブクログ
公表されているソースだけを使ってこれだけのことがわかる、そしてこれだけのことが隠されている(正確には積極的に開示されていない)。ということがわかるだけで価値があるし、ノンフィクションとして読んでも最高に面白い。リアルタイムに自ら読み取れるようになりたいと思うモチベーショナルな名著でした。
Posted by ブクログ
会計・監査に馴染みがないと分かりづらいかと思うが、公開情報だけでここまで論拠を展開出来る筆者の専門知識に脱帽。会計業界で生きる者として、かの有名な東芝事件に関して深く知ることが出来て、大変勉強になった。
Posted by ブクログ
東芝事件に関しては、色々な問題があり、それらがまぜこぜに「不正」として当時も語られていたと思う。それらが落ち着き、振り返りができるタイミングで書かれ、一連の問題が概観できる本がこれだと思う。
・工事進行基準案件の損失引当金未計上による利益嵩上げ
・映像事業の経費繰延(キャリーオーバー)による利益嵩上げ
・半導体事業の原価差額操作による利益嵩上げ
・パソコン事業の部品取引(バイセル)悪用による利益嵩上げ
その他のウェスティングハウスの減損等については、会社として恣意的ではあるものの、事件について語る際に一連の不正とは区別すべきであると理解した。
Posted by ブクログ
公表されている情報から東芝の会計不正を解き明かしている。結末を知っている立場で、過去の開示内容を遡って見て行くと、巧妙で分かりづらい、東芝の不誠実な開示姿勢に驚く。東芝の開示担当、財務部も相当、苦労したことだろう。
Posted by ブクログ
監査の観点から会計を見るケーススタディを講義されている風情がある。これは勉強になった。ベテラン会計士が読み解くと、数字の向こうに財務部門や会計事務所の人の姿が見えるような感覚があった。githubでコード読んで、その向こうに人を感じるみたいな。