あらすじ
洋々たるミシシッピーの流れに乗って筏の旅を続ける浮浪児ハックと逃亡奴隷ジム。流域の町や村で二人が出会う冒険の数々。辺境時代のアメリカで、何ものにも捉われずに生きようとする少年と、必死に自由の境涯を求める黒人の姿に作者のヒューマニズムが脈打つ。「現代アメリカ文学の源泉」と言われた傑作。初版挿絵を収録。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
訳者があとがきに書いているように、これは、主人公に「都合のいい空想」でなく、「とんでもない苦労を背負い込んだ現実」の冒険で、読みながら悲しみや苦悩が沁みてくらくらしてしまった。ゆるやかな至福のうつくしさ(原文で読める日がくれば!)さえ掻き乱されて酷い目に遭わされて、けれどそれでもハックは自分たちにさんざ悪事をはたらいた2人を哀れに思う。ハック自身が、ジムを逃すということ(物語当時は奴隷制が生きていてこれは重罪とされた)を「地獄に堕ちても仕方ない」ことと認識にしていて、とんでもないおやじもいて、自分をときに「悪党」に分類しているせいだろう。だが、かれもジムも善良でないにせよ素朴で、悪者とは縁遠いだろう。最後のトムのマネが、なんとはなしにいちはんの悪意なき悪行であるようにさえ私は思う。
Posted by ブクログ
ネタバレありです。
つまるところ、トム・ソーヤというキャラクターが好きかどうかで、この巻の好き嫌いは分かれるのではないでしょうか。ジムとハックのロードムービーからうって変わって2巻中盤からはトム・ソーヤ劇場です。決して面白くなくはないんですが、悪のりがすごいんです。まあ王様と公爵もひどかったので、言ってみれば2冊あわせて大半を悪のりが占めているとも言えなくもないわけですが、なんでしょう、トムは基本的にもっと安全なところにいてサバイバルではないので鼻につくのでしょうか。その、周囲の人間も読者をも唖然とさせるような悪のりこそがトム・ソーヤの持ち味なわけなので、良い悪いではなくて本当に好き嫌いの問題なんですが、僕は真面目なハックが好きです。
小4息子の感想「冒険いっぱいだった!」。小6娘の感想「 でもトムや公爵や考えること・やることがおかしすぎてついていけない部分もあった」。トムや公爵には子供たちも「なにやってんだよ!(*゜Q゜*) 」って感じで笑いながら呆れてました。