あらすじ
一九五六年、大阪から上京し、早稲田大学露文科に入学。最初の授業でこう言われる。「露文科の学生になったからには、もはや就職はあきらめたまえ」。米川正夫ら教授陣、李恢成など個性豊かな級友たち、著名な学者のコケティッシュな娘、親戚のような大家一家や愛情深い両親の姿……。自在なスタイルで描く自伝的連作集。
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Posted by ブクログ
森内俊雄さんという作家は今まで読んだことがなく、この本が初めて。
早稲田大学露文科に入学した(昭和31年)大学生の話。自伝的、というか私小説になるのだろう。登場人物の名は皆実名。李恢成は僕でも知っている。
さすが早稲田の露文、有名人が多い。五木寛之や東海林さだお(!)は後輩だそうだ。
若者にとって、旅と本が日常であった時代、なんかうらやましい気がする。
女性に対してちょっと鈍感すぎないか、逆に、これ大丈夫なのか、というようなところもあり、とても興味深かった。
「聖書には、一日の苦労はその日一日で十分であると記されている。私にはこの言葉がありがたかった。明日のことは明日考えなさい、とある」