あらすじ
万国博覧会が催された1970(昭和45)年。高度経済成長に浮かれる時代の片隅。
関西の地方都市の一角で、ちいさな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む亭主・龍吉と妻・英順は、静花、梨花、美花の三姉妹と一人息子・時生の6人暮らし。
失くした故郷、戦争で奪われた左腕。つらい過去は決して消えないけれど、“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる”それが龍吉のいつもの口癖だった。
そして店の中は、静花の幼馴染・哲男など騒がしい常連客たちでいつも賑わい、ささいなことで、泣いたり笑ったり--。
そんな何が起きても強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくるのだった--。伝説の舞台を演出家自ら映画化&小説化!
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Posted by ブクログ
凄く力強く、切ない作品だった。
一本の映画を観ているようで読みやすく、3時間もかからないくらいで読めた。
当時の在日韓国人の人たちの状況もとてもわかりやすく、高校生あたりの人が読むのにいいかもしれない。
とてもやるせない気持ちになる。同じ人間で、アジア人で、日本人でもあり、韓国人でもあるのに、状況一つでどこにも属することができず、流浪しながら底を這い回るしかない人生。想像しただけでもゾッとするし、とてもじゃないが耐えることができない。国籍、人種って何なのだろうと考えてしまう。
ただ、どんな状況であっても、人間どうしは寄り合えばとても強い力を発揮して生きていく。ときにいざこざはあるけど、それはどんな生き物だってある。人の力強さをこの本は強く実感できる。誰が読んでもオススメです。