【感想・ネタバレ】粘膜探偵のレビュー

あらすじ

戦時下の帝都。14歳の鉄児は憧れの特別少年警邏隊に入隊した矢先、先輩のとばっちりを受け謹慎処分となってしまう。汚名返上に燃える彼は、巷で噂の保険金殺人事件を解決するため独自調査に乗り出すが……。軍部の思惑、昏々と眠る老女、温室で栽培される謎の植物、行方不明の少女――。すべてが交錯する時、忌まわしい企みが浮かび上がる。暴力と狂気が渦巻き、読む者の理性を抉り取る最凶の粘膜ワールド!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 飴村行という作家を知ったのは、2009年の年末ランキングで『粘膜蜥蜴』がトップ10入りしたことがきっかけだった。その後、粘膜シリーズはすべて読んだ。本作は、昨年刊行された、粘膜シリーズとして6年ぶりの新刊に当たる。

 偶然読んだインタビューによると、近年の飴村さんは精神的に追い詰められて、書けなくなっていたという。一言で述べると、エログロ、スプラッターな作品でデビューした飴村さん。自分を含め、一部のファンには大受けしたが、飽きられやすい作風かなあとは思っていた。

 あらすじがあって無きがごとしのこのシリーズ、今回もやっぱり戦時下の「パラレル」日本が舞台。主人公の14歳、鉄児が「トッケー隊」に入隊する序盤は必要なのか? いつの間にやら事件捜査に手を染めたりと、相変わらず脈絡のない展開である。

 デビュー時のようなエログロ描写をご所望の読者には、かなり物足りないだろう。飴村さんご自身、ああいう作風に限界を感じていたようで、従来のブラックギャグ要素は残しつつ、過激描写に頼らないことを意識したのだと思う。健全な読者にとっては十分過激だが…。

 最終章に入り、謎の核心に迫ってくると、おぞましいはずなのに苦笑いを禁じ得ない。嗚呼、まさに粘膜シリーズ、飴村作品だねえ。何が誕生するんだあっ!と思ったら…。オチがあって無きがごとしのこのシリーズだが、正直盛大に拍子抜けしてしまったよ。

 もっとエログロを!スプラッターを!とは言わないが、久々のシリーズ新刊としてはインパクト不足かなあと言わざるを得ない。トッケー隊の久世とか、爬虫人の影子とか、おいしいキャラクターの数々を活かし切れていないのはもったいない。鉄児の運命やいかに。

 カルトな作家として一部にだけ支持されるのは、飴村さんとしては不本意だったようだ。それではファンの輪が広がらない。この先、作家飴村行はもっとメジャーな存在になれるのか。自分は本作をまだ模索中と捉えたが、飴村さんご自身は手ごたえを感じたとのこと。

 唯一無二の作家には違いない。スランプを脱した飴村行に、注目していきたい。

1
2019年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

帰ってきた飴村さんの粘膜シリーズ!

トッケー隊とか、残虐描写とか、独特なセリフまわしなど飴村ワールドが繰り広げられてますが、どれも前作たちに比べるとおとなしめです。
あとエピソードがどれも半端な気がして、いつもの突き抜けた感じがなく正直物足りなく感じました。

ジムグリの世界観がちょっと入ってるのは飴村ファンとして嬉しかった。

影子好き!
もうちょっとトッケー隊の先輩たち(久世中心)のシーンが見たかった。
久世たちがどうなったのかが詳しく知りたい…!

0
2018年07月16日

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