あらすじ
2009年、経営危機に陥り、米企業傘下から外れた小さな自動車会社では、久々に日本人デザイン部長が誕生。全車種のデザインプロセス一新を断行し、新製品は欧州を中心に海外市場で人気を獲得。マツダのモノづくりの根底にあるコンセプトの「魂動」は、今や海外メディアからも“KODO”と呼ばれるほどの地位を確立した。一地方の企業が世界と戦えるのはなぜか。これからの製造業の在り方を体現するリーダーの哲学がベールを脱ぐ。
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Posted by ブクログ
「魂動 KODO」2009年
カタチと言葉でイメージを共有する。
生命感を表現する。
「靭 SHINARI」2010年
野生のチーターから立体のフォルムに落とし込む。
ブランドは作品から作る
デザイン決定権、さらにブランドを
マーケティングから、ものづくりの側に移管
プロトタイプ市場調査を中止、ビジョンモデルの調査へ
アテンザのやり直し=SHINARI化
Aピラーを100ミリ後退させた。
同じFORDグループのVolvo
ヘリテージからブランドを確立しつつある。
共創
感動で人を動かす。
成功体験の継続。
アンベール体験。
技能評価「匠モデラー」
クレイの削りと同じ流れに沿って、金型を磨く。
前田スタイル
明確な目標はあるが、明確な答えはない。
マツダというブランド
世界の名車たちが居並ぶ場所まで引き上げる。
要素全てに未来を継いでいく人たちに宿題を出す。
Posted by ブクログ
本書にはマツダの"魂動"デザインがどのようにして誕生したのか、その経緯や葛藤について記述されている。特に強く印象に残っているのは2箇所。
「私に言わせれば、大事なものは常に外ではなく自分たちの中にある。(p.53)」、「他人の言っていることを受け入れられなくなってしまった瞬間からもう自分しか残らないわけで、その人はそこ止まりですよ、だから常に耳は謙虚でいることが大事。(p.227)」
マツダのデザイン、アイデンティティ、ブランドを追求していく過程において、大切であったのは他社や顧客を向いた外部的な思考ではなく、自分たちの歴史を振り返るというシンプルな内向きの思考であった。これはシンプルなことであるが、内省を深めるというのは非常に手間のかかる、膨大な工程だったと想像する。
今後企業の競争優位性はデザインにシフトいく、という議論があちこちで行われている近年、誰よりも鋭敏な感覚を持ち、それを具現化することのできるデザイナーと共創していくことの重要性が増していくと考えられる。言語化できる/できないという壁を越え、どこよりもこだわり抜いた作品を提供し続けるマツダの動向を今後も追っていきたい。