あらすじ
愛するがゆえの誤解が二人を遠ざける。会いたくて会いたくて、たまらないのに。
キャリーは同僚医師のコナーと、幸せな結婚生活を送ってきた。けれども長らく子宝に恵まれず、ようやく授かったと思ったら、生まれる前に天国へ旅立ってしまい、深い喪失感に打ちひしがれた。なんとか仕事に復帰し、立ち直ったかに見えたキャリーだったが、ある日突然、彼女は短い置き手紙を残し、愛の巣を飛び出した。〈ごめんなさい。離婚手続きを進めてください。どうかお幸せに〉涙でにじんだメッセージを読み、夫のコナーはキャリーを捜すが、ゆくえ知れずのまま、彼女が住み慣れた家に戻ってくることはなかった。それもそのはず、キャリーは、コナーがもう別の女性を求めていると、人づてに聞いて絶望の淵に落とされてしまったのだから……。
■愛する夫を思うあまり、みずからが身を引くしかないと姿を消したキャリーの心中を考えると胸が締めつけられます。愛の試練と心の機微を巧妙に描く人気作家J・メトカーフが用意した結末とは……?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
オビに「おすすめ 感涙必至」と書かれているだけあり、なかなかに読み応えのある作品でした。
長く辛い不妊治療の末、漸く身ごもった赤ちゃんが胎内死亡してしまい、哀しみと絶望の淵にいた女性医師キャリー。彼女は同じく医師である夫コナーがもう彼女への愛と関心失ったと思い込み、置き手紙一つを残して家を出ます。
すべてはコナーに横恋慕する看護士の企みで、彼女がキャリーにあることないことを告げたためでした。
哀しい誤解がすれ違いを生み、妻の家出を知ったコナーは懸命にキャリーのゆくえを探すのですが-。
キャリーが十代のシングルマザーたちの保護施設「身を寄せる場所」に居候することなり、自分の娘ほどの年齢の少女たちと接する中で、次第に冷静さを取り戻し、コナーとの夫婦関係についても見つめ直してゆく過程がよく描かれています。
また、十代で予期せず妊娠した少女たちの様子、心理描写など克明、リアルで、思わず読んでいる自分まで共感して緊張したり哀しんだりすこともありました。
ハーレクインというと、イケメンだけど強引な俺様ヒーローとの契約結婚、、、割と王道パターンを連想しますが、コチラの作品は官能的な要素は一切無く、愛を見失いかけた夫婦がその絆を見つめ直すストーリーです。
更に、十代の妊娠という社会的な問題、更には彼女たちの苦悩と悲哀をリアルに描写することにより、社会的な問題も提起しているように思えます。
素晴らしい作品でした。
もっと、こういう作品が今後も増えることを期待します。
一つ気になるのが、キャリーが看護士の嘘をあまりにあっさりと信じすぎたところです。
普通は、あれだけで家出を決意するところまでいくかな、、、と少し強引にもっていっているかなという気もしました。
しかし、キャリーが死産によって極限状態まで追い詰められていると考えたら、そういうのもありなのでしょうか。