あらすじ
身近なデータを、シンプルに活用する技術
「データは日に日に増えているが、お客様の顔はどんどんわからなくなっている」
「データの海に溺れてしまって、かえって意思決定が難しくなっている」
この言葉には昨今のマーケターの悩みや、データとの向き合いかた・データ分析の課題が顕著に現れていると思います。
マーケターが向き合うデータ量は加速度的に増加しており、ビジネスやマーケティングを行う上でデータ・ドリブンであること(データに基づいて判断・アクションをする)が当たり前になってきました。
マーケティング自体がデジタル化していく時代において、データリテラシー(情報や知識を活用する基礎能力)・データ分析のスキルは必要不可欠になりつつあります。
ビジネスメディアでは毎日のように、「データサイエンティストの価値」「DMP(Data Management Platform:ネット上に蓄積されているユーザーデータを統合的に管理するプラットフォーム)の導入」「AI活用の成功事例」などが紙面を飾っています。
実際にはビッグデータ活用どころか、社内の売上データや顧客データの分析もままならず、「マーケティングやマーケティングリサーチを体系的に始めることさえできていない」と嘆く方も多いのではないでしょうか。ビジネスにおけるデータ活用の度合いは二極化しているように思います。
本書では「これからマーケティングリサーチやデータ分析を始めたい」「始める必要があると思うが、何をどうやって始めたらよいかわからない」「デジタルマーケティングやデータ・ドリブン・マーケティングの始めかたがよくわからない」というビジネスパーソンやマーケターの方に向けて、データとの向き合いかたや、データ分析の基本、データを活用したビジネスの意思決定の第一歩を踏み出すキッカケを提供できればと思います。
私はリサーチ会社に務めていますが、統計の専門家でもなければ、ビッグデータを解析する高度なスキルも持ち合わせていません。
そんな私の経験から強く思っているのが、「リサーチやデータ分析はポイントを押さえれば誰でもできる」ということです。
世に出ているリサーチ関連書籍の多くは、統計やリサーチの専門家の立場から書かれているため、文系人間や業務でリサーチに馴染んでいない人には敷居が高いように思います。
そこで本書では、文系出身のどちらかと言えば数字が苦手な方や、主たる業務がリサーチやデータ分析ではないものの最近リサーチやデータを使った報告やプレゼンの機会が増えてきた…というビジネスパーソン向けに、「とりあえずこれだけ押えておけば大丈夫」という、リサーチ・データ分析のポイントをシンプルにお伝えしたいと思います。
(本書「はじめに」より)
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Posted by ブクログ
『プロが教える マーケティングリサーチとデータ分析の基本』(中野 崇)メモまとめ
◎感想
専門用語をわかりやすい語彙で表現していてわかりやすい。
現場での販売に携わる視点でも学びが多かった。ランチェスター戦略など。
仕事でアンケートを活用するときもあるが、「どんな成果を得たいのか」を先ず明確にし、「とりあえずデータを集める」という行い方はしないよう意識する。
◎まとめ
【マーケティングとリサーチの基礎】
◯ マーケティングの役割=売れる仕組みづくり
→ 狭義には、事業創造・需要創造
◯ リサーチ・分析の成功に必要な4つの力
① 情報収集力
② 情報分析力
③ 情報解釈力
④ 情報活用力
【リサーチの意義と効果】
◯ リサーチを行わない場合のリスク
・客観性に欠ける
・経験には限界がある
・市場変化を見逃す
→ 結果:成功率が低下
◯ リサーチを行うメリット
・客観的な数値で議論可能
・多面的な視点で検討できる
・思いがけない発見がある
→ 結果:成功率が向上
【リサーチ成功の7ステップ】
① 調査の順番決定(ビジネスインパクトが大きいものから)
② 調査目的の設定
③ 調査企画の設計(フレームワーク活用)
→ 例:3C分析・SWOT分析・STP分析・マーケティングミックス
④ データ収集
⑤ 分析・解釈
⑥ 施策への反映
⑦ 効果検証・改善
【代表的なフレームワーク】
◯ 3C分析:Customer(顧客)/Competitor(競合)/Company(自社)
◯ SWOT分析:Strength/Weakness/Opportunity/Threat
◯ STP分析:
・Segmentation(市場の細分化)
・Targeting(ターゲット選定)
・Positioning(差別化戦略)
【データ収集・調査手法】
◯ 標本調査:母集団から無作為に一部を抽出して調査
◯ インターネット調査:普及率80%超(2015年時点)、バイアスは過去のもの
◯ NPS(ネットプロモータースコア):
→ 「どの程度他人に勧めたいか(0~10)」で評価する方法
★ 消費者は陳列棚を見て、最初の3~7秒で購入を決めることが多い
【インタビュー調査の2手法】
◯ FGI(グループインタビュー):6人前後での話し合い
◯ デプスインタビュー:1対1の対話形式
【インタビューの4ステップ】
① 企画書作成
② インタビュー依頼
③ 実施スキル(傾聴力など)
④ フォローアップ
【傾聴のあいうえお】
あ:相手の目を見る
い:一生懸命に聞く
う:うなずきながら
え:笑顔で接する
お:終わりまで(オウム返しを含め)
【データ分析・解釈の基本】
◯ 分析・解釈の5つの視点
① 分析目的の明確化
② 比較(軸の明示)
③ 構造や構成の把握
④ 関係性の把握
⑤ 分布の理解
◯ ランチェスター戦略:
→ 「強者」「弱者」の立場で戦略を変える。
→ 市場シェア41.7%以上で首位独走可能と言われている
◯ 重回帰分析:
→ 目的変数に対して、複数の説明変数の影響度を評価する分析
◯ 単回帰分析:
→ 目的変数と1つの説明変数の関係性を明らかにする
Posted by ブクログ
【目的】
リサーチ手法の基本を体系的に学びたかったため。
【感想】
マーケティングリサーチやデータ分析に触れたことがなかった自分でも、実務を想定した(実際にはより複雑かと思うが)具体的な手法を網羅的に学ぶことができたと思う。それぞれの手法の詳細は別途勉強が必要とは思う。
【内容】
●リサーチやデータ分析を成功させるには4つのスキルが必要。
①情報収集力②情報分析力③情報解釈力④情報活用力
●リサーチの基本ステップは以下の①~⑦である。
①リサーチの順番を決める
→課題解決のインパクトが大きいものから着手する
②目的設定が最重要
→どんなアクションや意思決定をするために、何を収集・分析するかを具体化
③調査企画の設計
④データ収集と調査手法の選択
→あらゆるデータ収集はデスクリサーチから
・デスクリサーチの目的を明確にする
・数値やグラフが引用されていたら5W1Hをチェック
・信頼できる情報ソースを押さえておく
⑤分析・解釈
→⑴分析目的⑵比較⑶構造・構成⑷関係性⑸分布
→⑵でクロス項目表の読み込みはFactの先のFindingsまで深めることが重要
→⑷でビジネスの課題解決で重要なのは、相関関係の裏側に隠れている因果関係を発見し、ボトルネックにアプローチすること
→⑤を簡単に言うと「分析目的を明確にすることと、比較軸を明確にすること」
⑥アウトプット作成
→⑴誰に⑵何を⑶どのように伝えるかを決め、⑷作成作業は徹底的に効率化する
→重要なのはキーメッセージ(アウトプット全体を通して伝えたい1メッセージ)と読後感(オーディエンスに一番感じてもらいたい気分)
⑦アクションにつなげる
→本質的な調査項目が漏れないよう「いかに意思決定者を巻き込むか」を意識する
●効果的で効率的な調査には良質な仮説構築が重要
(仮説なし)あらゆる情報を広く収集するしかない
(仮説あり)効率的な調査設計が可能となり、結果も活用しやすい
→仮説は現状仮説と戦略仮説に分類できる。
→良質な仮説にはフロー情報では不十分、五感を使って身体で丸ごとインプットすることが大切