あらすじ
「こんな強烈な匂いと味なのに、お茶に入れて飲むなんて!」牛乳を飲む英国人を見た日本人の言葉である。だが明治二年、築地で牛乳が売り出され、日本人はその味に慣れていった。芥川龍之介の実家も牧場を経営し、渋沢栄一はそこから牛乳を取っていた。大正期には牛乳を加工したキャラメルが大流行した。関東大震災で緊急配布が行われ、敗戦後に児童の栄養を案ずる人々により学校給食への導入が進む。飲み物が語る近代史。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
戦後の学校給食のミルクまでの、日本人と牛乳のつながりについてが内容。
戦前まで日本人は牛乳を単なる嗜好品というよりも栄養補給のための薬のように捉えてきた。
高砂親方が牛乳屋をやっていたという相撲界と牛乳のつながりが意外だった。
なお、戦後給食については岩波新書1748『給食の歴史』が詳しい。
Posted by ブクログ
日本における牛乳の、生産側や政治経済的な側面を主に歴史的観点で記された本。
私はタイトルから、「学校給食に牛乳が出るのは、戦後GHQから押し付けられたせい」「日本人には牛乳は合わない」といった噂を理解できる本かと思ったが、その予想は空振りに終わった印象。戦後GHQはちらっとだけ出てくるが、そんな陰謀論的な話ではない。
はじめて日本人がミルクと出会ったエピソードや、お相撲さん絡みの話は印象に残ったが、本全体としては厚生労働省の資料のような話が多かった印象。
とは言え、冷蔵庫も無い時代から日本人が牛乳を飲んでいたのは知らなかったので発見だった。
Posted by ブクログ
日本における牛乳の歴史を書いた本。日本での牛乳活用は奈良・平安時代に作られていた「蘇」が最初だが、これは途絶えてしまったので、実質的には開国後からとなる。日本における牛乳の歴史を見ると、文化や産業がどのように発達していくかを見ることができて面白い。
牛乳の特徴的なところは、その栄養価の高さから福祉としても活用されたとこにある。学校給食に必ずと言っていいほど出るのはそのためだ。とはいえ牛乳は元々高級品であったため、支給するには金がかかって難しい。それが支給に至る決め手となったのは兵力増強のためだというのだから、笑ってしまう。何か新しいものを取り入れるならば、軍に結びつけるのが手っ取り早い。