【感想・ネタバレ】日本の分断~切り離される非大卒若者(レッグス)たち~のレビュー

あらすじ

団塊世代の退出後、見えてくる新たな分断社会の姿とは。本書では団塊退出後の日本社会の主力メンバーを2世代に分け(宮台世代〔1955~74生年〕と古市世代〔1975~94生年〕)、さらに「男女のジェンダー」「学歴」の区分を加え現役世代を8分割し、各層の状況や意識の分断を読み解く。特に大卒層と非大卒層の分断の深刻さに注目。日本社会の底堅さを支える非大卒若者(レッグス)を社会の宝と捉え配慮と共生を訴える。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

前半、時代ごとに、その時代を構成していた若者層、壮年層がどのような時代を生きてきた人たちだったのかを並べたチャートがあったが、その切り口はあまり見たことがなく面白かった。
ジェンダーの観点も、男女かおたがい既得権益を守りながら相手の領域とされてきたところに入ろうとしている、という分析も面白かった。
その後は、学歴✖️年代✖️男女の8つの区分で比較されていくが、確かに日本社会の半分を占める非大卒人口に対して、さまざまな社会的支援は届いていないように思う。施策を考える方も大卒メンバーが多いからか?

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2023年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日経での吉川さんのコラムより興味を持ち、この本にたどり着きました。

まず、自己紹介の話がなるほどなと思いました。
確かに、何かしらの場で自己紹介をする時、何を話そうかと迷います。趣味といっても今と少し前では違うし、仲よくしている集団も色々で、なにか出身などの固定的なものを話すとそれはそれでありきたりで...みたいな感じで。
このアイデンティティが流動的であるということは現代を、特に若者の現状をよく表している語であると思いました。若者はアイデンティディが「無い」のではなく、誇張するとすれば「ありすぎる」のではないかなと思いました。

再帰的近代は、非○○が増えていく時代ということから、たしかに「否定+○○」の単語は単語でしかないが、そのような単語が生まれてくるのは、それ以前にあった概念では表現できないものであったということの証明でもあるんだなと。そして逆に、「否定+○○」を単なる単語として見て、特にその本流を直接は知らない人達は、その「否定」に含まれる意味を理解せずにその単語を理解することになると。この「否定+○○」という概念を生活の中で少し気にしてみたいと思いました。

また全体を通して、日本で起こっている分断を、8つに分類し主に学歴の分断という視点で見ていく考え方は面白いと思いました。社会学での「主体性」と呼ばれる視点からの「ソフト」の面からの考察を見ると、若年非大卒男性(女性も含む)が、文字通り「サイレントマジョリティー」であると感じました。このような状況は、国際的な事柄や、政治に無関心な若者が多いということであり、今世界で起こっているナショナリズムや保護主義、自国第一主義のような考え方が支持されることにも繋がっているのかなとも考え、現在のフランスやイタリアなどでこの調査を行うとどのような結果になるのかに非常に興味を持ちました。かなり興味を持ちました。

政策を考えるにしても、どのセグメントの人達をターゲットにして解決を目指していくのかという細かいところまで考えていく必要があることも理解しましたし、

学歴は、生まれなどといった固定的なものではなく、自分の力で掴み取れる地位としての意味合いが強いと自分自身は考えていたので、そうではない部分も多いということが認識でき、いい学びができたと感じています。
学歴が認識され始めたのはいつの時代からなのか(日本ではなく、アメリカやイギリスなどで)についても興味を持ち、さらにその観念を広めようとした人は、本来はどのような意図だったのか、つまり、その人(人達)は生まれや人種的に元々地位が低く、その状態を改善する一つの方法としてより学歴を強調するような社会を目指したのか、それとも、たまたまこのような社会になっていったのか、また、逆に、比較的生活に余裕があるような人達が、その社会的地位をより良いものとするための権威づけの一つとして強調していったのか、はたまた、純粋に人類の学術的な発展を求めた末にこのようになったのかなど、歴史から見えてくることもあるのかなとおもったりしました。

そして、若年非大卒の人たちにあまり目が向けられていない社会だからこそ、今後そこに目を向けたサービスなどが発展していく可能性は大いにあると思いました。

文化の再生産についての本も読みたいです。確かブルデューがそんなことを言ってた気がしますね...そしてマルクス主義についてももっと深く知りたいと思いました。よかったです

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2019年01月05日

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