【感想・ネタバレ】日本の分断~切り離される非大卒若者(レッグス)たち~のレビュー

あらすじ

団塊世代の退出後、見えてくる新たな分断社会の姿とは。本書では団塊退出後の日本社会の主力メンバーを2世代に分け(宮台世代〔1955~74生年〕と古市世代〔1975~94生年〕)、さらに「男女のジェンダー」「学歴」の区分を加え現役世代を8分割し、各層の状況や意識の分断を読み解く。特に大卒層と非大卒層の分断の深刻さに注目。日本社会の底堅さを支える非大卒若者(レッグス)を社会の宝と捉え配慮と共生を訴える。

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Posted by ブクログ

大規模調査に基づいて計量社会学者が描き出す“明日の日本の姿"が良く分かる。

大卒と非大卒,男性と女性,壮年と青年で8分割して様々な視点で定量的に分析してある。この結果からは,レッグスと著者が呼ぶ人たち(非大卒,青年,男性)への支援が一番必要と思われるが,政治はこの人たちを見ていない。

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2024年09月14日

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めちゃくちゃ面白かった!!新書は久しぶりに読んだけど、わかりやすい。社会学の本でこんなにスルスル読めた本はあんまりない。最新のデータもたくさん使われててよかった。

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2019年06月07日

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「8人のプロフィール」というところを見ると、本書のほとんどの内容が網羅されています。そこから後ろは対策、ということになります。経済的社会的に不安定な非大卒若者というと、自ら脱落したというイメージがあります。が、そうではなく、大卒と違うコースを歩んだ人たちである。女性たちは多産で人口を支えているし、男性たちは地方を支えている。余裕ある大卒の40-50代が(私です…)が、中心となって彼らを支えるべき。

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2019年03月13日

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本書の評価は最終章である第6章を読むまで☆3にしようと思っていました。
というのも、第4章で
「この章で示してきたことの多くは、それぞれの領域の先行研究によって、すでに明らかにされていた現代日本社会の格差の実像です。その意味では、驚くべき新発見があったというわけではありません。読者にも実感があるものごとが多かったかもしれません。」
とあるとおり、例えば壮年大卒男性が若年非大卒男性よりも収入が高いことなどは、具体的な差を知ることの意義を否定するものではないですが、分かりきっていることであり、喫煙率が非大卒者のほうが高いことなどを取り上げられても同様の感想でした。
しかし、レッグス(著者の造語でLightly Educated Guysの略、すなわち非大卒若者)が社会を支えてくれていることを第6章では雄弁に語っています。著者が例に挙げているのは、地方のコミュニティを支えているのは非大卒層であったり、ブルーカラーやサービス業も非大卒層が重要な役割を果たしていることをデータとともに示しています。そのためレッグスを「日本の宝」と称賛し、大卒層だけを見がちな日本社会を批判しています。
国民民主党の玉木代表が2024年10月5日のXでの
「国民民主党は、必ずしも全ての人が4年生大学に行く必要がないと考えているからであり、例えば、高校や中学を出て働く人にも十分な生涯収入が得られるように、「若者減税」などの政策を組み合わせて提案しています。」
というポストに対し、「高等教育の軽視」だと非難する意見が見受けられましたが、まさに玉木代表の意見を擁護するかのような記述が本書にはあります。詳細な調査データを提示した後、著者はこう述べています。
「すべての日本人が大学進学を望んでいるわけではありませんし、社会経済的地位の低い人のほうが大学教育を強く求めているということもありません。それゆえに、大学の学費軽減でだれもがみな大学に行くようになるということはありえないのです。」
本書の提示するデータは一見当たり前で「だから何なんだ」と最初は思っていましたが、最終的には著者の説くレッグスの重要性を理解することができました。

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2025年09月10日

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ネタバレ

前半、時代ごとに、その時代を構成していた若者層、壮年層がどのような時代を生きてきた人たちだったのかを並べたチャートがあったが、その切り口はあまり見たことがなく面白かった。
ジェンダーの観点も、男女かおたがい既得権益を守りながら相手の領域とされてきたところに入ろうとしている、という分析も面白かった。
その後は、学歴✖️年代✖️男女の8つの区分で比較されていくが、確かに日本社会の半分を占める非大卒人口に対して、さまざまな社会的支援は届いていないように思う。施策を考える方も大卒メンバーが多いからか?

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2023年03月04日

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日本の労働人口を性別、年齢、大卒・非大卒で8つに分けると、人口規模がだいたい等しい8つのグループができる。これを、幸福感、将来への展望などのアンケート結果に基づいて分析すると、若年非大卒のグループ、それも若年非大卒男性のグループが特異に将来性の乏しい状況に押し込められているという現状認識。しかも、大卒・非大卒は世代間で継承されるという傾向があるし、大卒より被大卒の方が子供が多い傾向がある。すなわち、このグループは、これからも、日本の人口の大きな部分を占めることになる。なので、このグループを切り捨てることはできず、このグループの幸福感を高め、非大卒男女が経済活動に積極的に参加してくれるような政策を取っていく必要がある、という内容。
現状認識は正しいが、そんな政策は、難しいよね。国際競争を考えると、高度知的労働人口に富が集中するのは、不可避だと思う。

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2022年10月23日

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日本社会の分断について、学歴、性別、年齢を軸にあぶりだす。接しないカテゴリーの人の存在に気づかされる。
同時に、子供を育てやすくという政策に、例えば大卒若年カップルの一人目と非大卒カップルの3人目、どちらを優先すべきか、はっきり別の狙いとして分けるべきとの指摘、もっとも頷く。
政治参画、文化参画しない、若年非大卒男子の利益を抑圧する仕組みになっていなるとの指摘も思い当たる。
社会の中で果たす役割に合った利益を得られていないカテゴリーのグループを考えると、それが分断なのだと理解できる。
考えるきっかけに。

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2021年08月13日

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2015年の大規模学術社会調査結果分析に基づく。団塊世代退出後に現役となる20-60歳は、40歳以下・以上、男女、大卒・非大卒の8分で、異なるプロフィールを持つ。特に若年非大卒男性は、どの指標からも勝ち星がない。地方や社会のボトムの支え手となる彼らを政策でも支えるべき。

是非政策に活かしてほしい。そのための調査や分析なのだから。

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2019年04月14日

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ネタバレ

日経での吉川さんのコラムより興味を持ち、この本にたどり着きました。

まず、自己紹介の話がなるほどなと思いました。
確かに、何かしらの場で自己紹介をする時、何を話そうかと迷います。趣味といっても今と少し前では違うし、仲よくしている集団も色々で、なにか出身などの固定的なものを話すとそれはそれでありきたりで...みたいな感じで。
このアイデンティティが流動的であるということは現代を、特に若者の現状をよく表している語であると思いました。若者はアイデンティディが「無い」のではなく、誇張するとすれば「ありすぎる」のではないかなと思いました。

再帰的近代は、非○○が増えていく時代ということから、たしかに「否定+○○」の単語は単語でしかないが、そのような単語が生まれてくるのは、それ以前にあった概念では表現できないものであったということの証明でもあるんだなと。そして逆に、「否定+○○」を単なる単語として見て、特にその本流を直接は知らない人達は、その「否定」に含まれる意味を理解せずにその単語を理解することになると。この「否定+○○」という概念を生活の中で少し気にしてみたいと思いました。

また全体を通して、日本で起こっている分断を、8つに分類し主に学歴の分断という視点で見ていく考え方は面白いと思いました。社会学での「主体性」と呼ばれる視点からの「ソフト」の面からの考察を見ると、若年非大卒男性(女性も含む)が、文字通り「サイレントマジョリティー」であると感じました。このような状況は、国際的な事柄や、政治に無関心な若者が多いということであり、今世界で起こっているナショナリズムや保護主義、自国第一主義のような考え方が支持されることにも繋がっているのかなとも考え、現在のフランスやイタリアなどでこの調査を行うとどのような結果になるのかに非常に興味を持ちました。かなり興味を持ちました。

政策を考えるにしても、どのセグメントの人達をターゲットにして解決を目指していくのかという細かいところまで考えていく必要があることも理解しましたし、

学歴は、生まれなどといった固定的なものではなく、自分の力で掴み取れる地位としての意味合いが強いと自分自身は考えていたので、そうではない部分も多いということが認識でき、いい学びができたと感じています。
学歴が認識され始めたのはいつの時代からなのか(日本ではなく、アメリカやイギリスなどで)についても興味を持ち、さらにその観念を広めようとした人は、本来はどのような意図だったのか、つまり、その人(人達)は生まれや人種的に元々地位が低く、その状態を改善する一つの方法としてより学歴を強調するような社会を目指したのか、それとも、たまたまこのような社会になっていったのか、また、逆に、比較的生活に余裕があるような人達が、その社会的地位をより良いものとするための権威づけの一つとして強調していったのか、はたまた、純粋に人類の学術的な発展を求めた末にこのようになったのかなど、歴史から見えてくることもあるのかなとおもったりしました。

そして、若年非大卒の人たちにあまり目が向けられていない社会だからこそ、今後そこに目を向けたサービスなどが発展していく可能性は大いにあると思いました。

文化の再生産についての本も読みたいです。確かブルデューがそんなことを言ってた気がしますね...そしてマルクス主義についてももっと深く知りたいと思いました。よかったです

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2019年01月05日

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日本で現在働いている、現役世代について、
2015年の調査を元に学歴・世代・性別で8つに分けて考察したもの。

若年の非大卒男性をLightly Educated Guysレッグスと呼んで、
今後の世代の主要な担い手として支援・協力していくことを重要視する視点は、とても新鮮だった。

学歴社会はもう終わったとか、ほとんどが大卒だというような話をよく聞くが、実際は(意外と)そうでもなかった。そのくせ、じぶんの周りには同程度の学歴の人しかいない、ということを意識している人は少ないと思う。
私自身、その通りで、特に働き出すとその傾向は強いような気がする。
だから?収入面でも世代・性別・学歴でかなり明確な差があるし、夫婦構成も同世代・同学歴でくっつきがちだから世帯毎にみても若年非大卒が低くなる。
その若年非大卒女性が子どもをもち、それを支える若年非大卒男性が
社会からの保護も手薄で取り残されているような現状は、
ここまでかみ砕かないと見えてこなかった。

各世代で協力しあって、次の社会をつくっていくことが大事というが、
そういう世代間や階層のような分断を超えた交流が自然に出来る社会は楽しそうだと思う。

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2018年05月15日

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日本の社会構造に関わる最近の統計調査を、きっちりした手法で分析し、そこから得られる示唆を一般読者にもわかりやすい譬えで示す。特に、大卒/非大卒の「分断」が最も大きな裂け目であり、今後の政策設計においてきめ細かな検討を要すとのこと。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

日頃あまり意識していないが、確かに非大卒の方と日常話す機会がないなと思いました。両親や妻も大卒だし。近所の祭りや運動会などしかありません。気づくことなく分離されているのは怖いと思いました。

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2019年10月09日

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格差社会、階級社会をさんざん議論されてきたが
非大卒の若い男性に焦点を当てたことが
ユニーク。

たしかに、日本の施策は大卒前提に
偏っていると思った。

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2018年08月09日

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人々の意識をセグメントして論じるのは正しいとは思うが、著者のコメントには少なからぬ違和感が。著者の視野からあぶれる人は各セグメントで少なからずいるはず。

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2018年08月08日

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 昨今、問題意識が広がっている日本の社会情勢について、ひとつの切り口をまとめたもの。焦点が当てられているのは、30代までの非大卒のグループ。特に、その中の男性について、問題視されていない現状を懸念している。これまで社会の隅々を支えてきたこのグループの弱体化は、相対的な弱体化から絶対的な弱体化へと進み、日本の社会が危機に陥る決定的な要因のひとつだと主張している。この本ではパネルデータの解析によってその背景が示されている。
 世の中、大卒を前提とした議論のなんと多いことか。
 非大卒の人たちは、外国人労働者や人工知能、ロボットなどに置き換えられていくのだろうか。確かに、競争力が落ちたから苦境に陥り、このような問題意識となる。
 本を読む目的は、評論家気取りになって眺めることではない。自分の2人の子どもが将来生きていく環境を見据えて、そのために自分が今しておくことの意味を確認する、この本はそのためのひとつの材料となった。
 おもしろい分析だったが、惜しむらくは、将来確実に現実化する人口激減と構成変化を踏まえた、将来の推計を含めた議論があまり展開されてないことだろうか。

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2018年04月30日

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