あらすじ
香田陽皆は、雑貨店に勤める引っ込み思案な28歳。 地元で愛される洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。 ある男性に恋心を抱いているのだが、なかなか想いを告げられず……(「スイート・ホーム」)、料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、香田一家といっしょに暮らしはじめた“いっこおばちゃん”が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店を舞台に、稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集。
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Posted by ブクログ
初めから暖かい雰囲気で始まって、『ツバキ文具店』や『今宵も喫茶ドードーのキッチンで』みたいな柔らかさと安心感を感じた。登場するどの家族も暖かさがあるし、ハラハラするような事件は起きないから安心して読み進められる。
でも暖かさが胸に沁みて涙が出てくるから注意!
いっこおばちゃんが旅行中の怪我で歩けなくなって真っ暗なトンネルに入ってしまった時、晴日の結婚報告がきっかけでリハビリを頑張るようになる。家族が暗闇から救ってくれる存在になっているって理想的だなぁと思う。
初出に、阪急不動産株式会社ホームページって書いてあって調べたら、阪急不動産の「阪急宝塚山手台」とコラボした書き下ろし小説らしい。
そして一般公募した家族や住まいにまつわるエピソードが脚色されて物語の中に落とし込まれているとのこと。
本当にこんな暖かい家族があるんだと思うと、羨ましいし、なんだか安心する。
理想の家族がギュギュッと詰まった暖かい連作短編集だった。
Posted by ブクログ
大阪・梅田から電車やバスを乗り継いで、いくつかの角を曲がると、赤い屋根、クリーム色の壁、チョコレート色のドアのそばに大きな金木犀が目印の小さな小さな洋菓子店、その名も、「スイートホーム」。
そこで過ごす家族の物語やその家族に関わっている人達の物語だった。
パティシエの父、看板娘の母と姉妹の4人家族。
毎年秋になると、スイートホームの前で家族写真を撮ることが恒例となっていた。
月日が過ぎていき、姉が結婚し、義理の母が同居し、姉の家族に子供が生まれ、妹が結婚し、妹の家族にも子供ができた。
そんなこんなで家族写真のメンバーが増えていく。
それだけでも ほっこりするのに、そのスイートホームの人達に関わっている近所の人や義理の母の友達、姉が通う料理教室の先生たちも日常生活がだんだん良い方向に向かっていき、生き生きとしていく。
登場人物みんな、ハッピーエンドで本当に良かったと思った。