あらすじ
「貴族の命令は絶対!」――盲目の少年・伸也は、共に拉致された中学生たちと30人、この世の地獄に放り込まれた。「貴族」と「奴隷」に分けられ、劣悪な環境での強制労働。つきまとう死の恐怖。異常な環境で、少年たちの感覚は麻痺し、大切な友人までが壊れていく。伸也は誰より過酷な扱いを受けるも、優しさを失わなかったが、ついに……。
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貴族の想像
読み応えのある本だった。
最初は自分が奴隷の役になりきり可愛そう、辛い、憎いなどの感情で読んでいたが、
読み進めるにつれてその感情は薄れ、支配欲が優っていた。
山田先生の文力にまんまと乗せられました。
人間の本質的なところからホラーを覚える良い作品でした。
Posted by ブクログ
山田悠介『貴族と奴隷』は、極端な制度を通して人間の本質を静かに、しかし容赦なく炙り出す作品だ。物語は一見すると残酷で理不尽だが、その不条理さこそが、現実社会に潜む権力構造や集団心理の縮図として強い説得力を放っている。
「立場」が人をどう変えるのか、「与えられた役割」に人はどこまで従ってしまうのか――その問いは読者自身の内面にまで踏み込み、決して他人事として読み流すことを許さない。
簡潔で読みやすい文章の裏には、暴力や支配の恐ろしさだけでなく、弱さゆえに加害にも被害にもなりうる人間の姿が重く横たわっている。登場人物たちの選択は必ずしも英雄的ではないが、だからこそリアルで、胸に残る。
読み終えた後に残るのは爽快感ではなく、むしろ沈黙に近い余韻だ。しかしその余韻こそが、この作品の価値を雄弁に物語っている。
『貴族と奴隷』は、単なるショッキングな物語ではない。社会の中で無意識に受け入れている「上下」や「支配」を問い直し、人間の弱さと危うさを真正面から見据えさせる、重く、そして意義深い一冊である。
パイセン本。
続きが気になる
スタンフォード監獄実験?の映画を観た際に、最終的に立場を逆転させたらどうなるんだろうと考えていたので、ラストを見てこの続きも読んでみたかったなあと思った。
Posted by ブクログ
攫われた中学生数十人が「貴族」と「奴隷」分けられ、集団生活をする物語。言われてやってるはずなのに貴族になりきって奴隷を虐待してしまうあたり、映画「es エス」(同じようなテーマで看守と囚人に分かれる)と似た結末になるだろうと思って読んだものの、全く違っていて、かつ意外性もあっていい終わり方だったと思う。ただ、主人公が盲目ということで、目が見えない人なりの描写で話が進むので若干ながら場面の光景がイメージしづらいというか、深みがあまりなく、悪い意味でも一気読み出来てしまった。
Posted by ブクログ
スタンフォード監獄実験を連想する様な話。
ある若者たちが突然、何者かに拉致され、
何者かによって、若者たちは無作為に貴族と奴隷のグループに分けられてしまう。
貴族役の人たちは屋敷に住むことができ、
食糧を十分に与えられ、かつ 奴隷役にたいし
何でも命令してもよいゲーム形式を何者かによって若者たちへ説明される。
ゲーム開始後、貴族役たちは、最初は
その様に振る舞えば良いと意識していたが
次第に振る舞いがエスカレートしていき、
人殺しまで発展する。
その光景を何者かは観察しており、
10日が経ったある日、役割を逆転させてみては
と若者たちに告げる。