あらすじ
現代では「孤独=悪」だというイメージが強く、たとえば孤独死は「憐れだ」「ああはなりたくない」と一方的に忌み嫌われる。しかし、それは少しおかしくないか。そもそも孤独でいるのは、まわりに自分を合わせるくらいなら一人でいるほうが何倍も愉しく充実しているからで、成熟した人間だけが到達できる境地でもある。「集団の中でほんとうの自分でいることは難しい」「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」等々、一人をこよなく愛する著者が、孤独の効用を語り尽くす。
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元アナウンサーであり、現在は様々なジャンルの文筆活動を行う著者が語る孤独論。
予備校講師の林修先生がTVで取り上げて話題に。
下記にいくつか目次からピックアップしてみます。
“「淋しさ」と「孤独」は別物”、“スマホが淋しさを助長する”などの項目は、日ごろ陥りがち、落ち込みがちな感情を、すっきりと整理してくれます。
“新幹線は一人で乗りたい”、“夜遊び中に時計を見るな”などの項目は、孤独であることによって得られる人間関係や体験があると教えてくれます。
一方で、この本は、ただ孤独であればいいと言っているのではありません。
家族、パートナー、友人との関係が煩わしい、かといって一人も淋しいという悩みに、一つの答えをくれる本。
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Posted by ブクログ
歳をとるとこうした本に目がいく。
いわゆる「孤独のススメ」だが、「一人の方が周りに自分を合わせて四苦八苦するより何倍も愉しく充実している」という孤高の境地を目指す。そして、「孤独を知らない人には品がない」「素敵な人はみな孤独」だとも力説する。
まずは、一人の時間を孤独だと捉えず、自分と対面する時間だと思えば、これ程贅沢な愉楽はない。孤独が寂しいと思えばストレスになるが、孤独を楽しめれば人生はより愉しくなる。孤独とは単に物理的に一人でいる状態ではなく、生きる姿勢も内包する。
例えば、孤独感はグループからの仲間外れや無視によっても生まれる。学校や職場で、対人関係の悩みでドロップアウトしてしまう人も多い。疎外感はいとも簡単に個を破壊する恐ろしいパワーがある。
そもそも孤立、孤食、孤独死など「孤」の文字には負のイメージが強いのも事実。三木清の「人生論ノート」に「孤独は山にはなく、街にある」と書いたのも、孤独を群衆の中で余計感じるのは、人間関係の為せる技だから。
つまり、孤独を恐れて、自分を殺し他人に合わせていると孤独感を余計に感じるのもそのため。いつも他人と群れてばかりいては成長するはずもなく、表面的に付き合いのいい人間になるだけで終わる。
そして、淋しさと孤独は別物、淋しさはいっときの感情だが、孤独とは一人で生きていく覚悟のこと。淋しさは何も生み出さないが、孤独は自分を厳しく見つめることが出来る。従って淋しさを感じるうちは、それを自分で解決しようとする気はなく、誰かがなんとかしてくれないかと他人に頼っている状態でしかない。
大原麗子、野際陽子、永六輔のエピソードの後、最後に紹介されたのは、105歳で亡くなった越後瞽女(ごぜ)の小林ハルさん、彼女は目の見えない旅芸人でおよそ700種類もの唄と物語を暗記した。目が見えない厳しい逆境の中で生きた彼女の言葉「いい人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行」こそ、孤独を「生きる覚悟」まで昇華させた達人の凛とした生き様でした。