あらすじ
スイスの一豪族から大出世、偶然ころがりこんだ神聖ローマ帝国皇帝の地位をバネに、以後、約650年にわたり王朝として長命を保ったハプスブルク家。ヨーロッパ史の中心に身を置き、その荒波に翻弄されながら、運命と闘い精一杯に生き抜いた王や王妃のドラマを、名画に寄り添いながら読み解く。血の争いに明け暮れた皇帝、政治を顧みず錬金術にはまった王、そして異国の地でギロチンにかけられた王妃――。絵画全点、カラーで収録。
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Posted by ブクログ
ハプスブルク家の一人一人の人生が、ドラマのように濃く、波乱万丈で驚きました。歴史や血筋に翻弄されながらも、自分らしく生きる姿が印象に残りました。私が1番心に残った絵は、『エリザベート皇后』です。美しいエリザベート皇后の絵だと思っていたが、本を読んで絵画の裏に隠された彼女の奇妙で悲しい運命を知り、最初に見た時とは全く感じを受けました。
Posted by ブクログ
非常に面白かった。
デューラーから始まり、マネで終わる。
ベルばら贔屓の私は当然ハプスブルク贔屓である。
だからこそフリードリヒ大王は好きじゃないし、ナポレオン三世の小ずるさにはらわたが煮えくり返る。
デューラーの油彩、とても味があってよい。版画が有名だし、版画の方が見た回数は多いのだけれど、なんという哲学的な絵だろう。内面が画面ににじみ出てくるというか。
プラディーリャの「狂女ファナ」。子供の頃に見た肖像画で「狂女」と書かれていたのが印象的で印象的でその言葉だけ覚えている。大人になって、歴史的背景を知り、気の毒な女性だったのだ、と感じるようになった。狂う、ということに今でも引きつけられる私だ。関係ないが「モルダウ(ブルダバ)」で有名なスメタナも狂死した、と書かれていた。狂死とはどのような死に方を言うのだろう。
この関係でファナの夫フィリップ美公が1世になるから、無敵艦隊のフェリペは2世になるのだということが分かった。
ティツィアーノの肖像画が2枚続くが、フェリペ二世が印象的。本人は気に入らなかったようだが、とても魅力的に描かれていると思う。フェリペもカール5世も初代マクシミリアンもだんだん年を取っていくと内省的になっていくのだろうか。宗教に傾倒していく感じが日本人にはない感覚のように思う。
そしてベラスケス「ラスメニーナス」。素晴らしい画家が素晴らしい傑作を残す。子どもを描かせると本当にピカイチだなあ、と思う。マルガリータ王女を描いた作品も有名だが、カルロス・バルタザールの作品も素晴らしい。
フリードリヒ大王は本当に苦手だ。啓蒙思想を広めたように言われるが、本当のところの啓蒙だったのかよ、と思ってしまう。エカテリーナ2世が農奴の締め付けを強化したように、自分の身が危うくなるようなことはしないのが王族だ。
ライヒシュタット公とエリザベートの姑ゾフィー(日本ではこの方が分かりやすいのか)のロマンス?王朝を継続することの難しさ(フランツ・ヨーゼフは絶対に妻選びを間違った、と思うけれど、多分現在、観光客相手に金を稼いでるのはエリザベートだろう)を感じる。そしてマクシミリアン、ナポレオン三世が見捨てたことには怒りを覚えるが、マクシミリアンが亡命することだって出来たはずで…。家族が仲良く兄弟仲良い王族ってそうそうないんじゃないか、と思ってしまう。現代のウィリアム王子とハリー王子もちらっと考えた。
個人が個人として生きられることに感謝したい。