あらすじ
いじめ、うわさ、夏休みのお泊まり旅行…お決まりの日常から逃れるために、それぞれの少女たちが試みた、ささやかな反乱。生きることになれていない不器用なまでの切実さを直木賞作家が描く傑作青春小説集
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Posted by ブクログ
抱えきれないこの気持ちをわかってくれなくていい。
小学生、中学生、高校生。恋愛、友情、いじめ、人間関係。少女の学校生活はそんなに単純じゃなくて、もやもやは大人どころか同級生の誰にも伝わらない。
「パーマネント・ピクニック」違う学校に進学した同級生の死と、一緒に死のうと約束した友則とのズレ。いつもどこかへ歩いていくおばあちゃん。主人公の割り切れない気持ちは、多かれ少なかれ誰もが抱いたことがあるのでは。同級生の男子は、自分よりももっと単純で俗物。けれど、主人公も結局は自分の気持ちを持て余し、その単純な友則に慰められるしか、今は行くところがない。
「放課後のフランケンシュタイン」自分の中の熱を持て余し、気に触る同級生をいじめてしまう。いじめると言う行為の理由は、好きなのか嫌いなのか、曖昧なところなのかもしれない。変質者が出たという噂に、どんどん尾鰭がついて、噂だけだと知っていても次第に膨れ上がる影。女子ってめんどくさいなあ、と言ってしまうとそれだけの話かもしれないけど、この主人公をまったくわからないという人とは相容れない。
「学校ごっこ」小学校は先生が決めた役割をみんなで演じる小さな世界。誰かから決められた役割なのか、元々の自分の個性だったものなのか、もうわからない。それを不公平だと、おかしいと、指摘できる子はいるんだろうか。気付いてしまったら、演じられなくなったら、学校にはもういられないのでは。
「夏の出口」女子高生という自分にどれだけの価値があるのか、自分でも決められないし、他人に決められるのもなんだか受け入れられない。だから何もやりたくない。女子高生という私が煩わしい。何も考えていないことをしているとき、ようやく生きていると思えるのかも。
Posted by ブクログ
中・高生くらいの人間関係が一番難しかった。女だからかな。まだまだ子どもだったなー。そんな誰でも経験するような、10代女子のおはなし。なんか胸が痛い。
Posted by ブクログ
・パーマネント・ピクニック
・放課後のフランケンシュタイン
・学校ごっこ
・夏の出口
の4編からなる短編集。
タイトル通りすべて中学生、高校生が主人公。
どれを読んでも心がひりひりする。
なんでこんな思春期の心理描写上手いの?
”放課後のフランケンシュタイン”のいじめのえげつなさ。
まるっきりないものは書けないわけで、角田光代の中にも
黒角田の部分を垣間見た気がした。
”夏の出口”これが秀逸。
永遠に出口が見つからないような気がするこの年頃のあの不安定な感じ。
この女子高校生4人の感情があまりにリアルで高校生の頃の自分(遠い昔)を思い出さずにはいられなかった。