あらすじ
育児日記『働けECD』から5年。写真家・植本一子が書かずにはいられなかった、結婚、家族、母、苦悩、愛。すべての期待を裏切る一大叙情詩。
2014年に著者が自費出版した同名冊子を中心に、『働けECD~わたしの育児混沌記』(ミュージックマガジン)後の5年間の日記と散文で構成。震災直後の不安を抱きながらの生活、育児に対する葛藤、世間的な常識のなかでの生きづらさ、新しい恋愛。ありのままに、淡々と書き続けられた日々は圧倒的な筆致で読む者の心を打つ。稀有な才能を持つ書き手の注目作です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
いやー、すごい本だった。
帯に「叙事詩」って言葉が使われてたんだけどいや本当にこれは一大叙事詩。限界育児のこともさることながら夫の石田さんへの愛憎入り混じった思いとか、あと途中から一子さんの好きな人まで出てきて、あっ不倫……不倫だ……と読んでるこっちが後ろめたい。そして書き下ろしの「誰そ彼」本当にすごかった。これを書ける、書こうと思ったその覚悟がすごい。
この本が出ることによって一子さんはものすごく失うものが大きいんじゃないだろうかと思ったけれど、失うものが大きいんじゃないかと思うものって大抵得るものも同じくらい大きいんですよね。これを一冊の本にした、できたのはまじで一子さんの人生の財産だと私は思う。誰だよお前って感じですけど。この本も実は金原ひとみが紹介していて、それで興味を持って購入したものだったのだけど、金原ひとみがシンパシーを感じるなら私にとってはハズレがないよな。
本当に読んで良かった本でした。世の中の日記かくあるべしとまでは思わないけど、でも全てを曝け出そうともがく文章が私は好きです。
Posted by ブクログ
とても良かった。
本の内容はエッセイで、とても良かった事が書いてあるのではなく、むしろ逆の事。
マイナスな気持ちや状況を理解しようと色々考えてるが、それがまたらマイナスに繋がってしまう事。
毎日それが続く辛さ、過去の蓄積されたマイナスにも向き合っている。
「今、何をしても、誰といても、楽しくないのだ。自分の機嫌の原因が分からない。漠然と自分に対して不安がある。」
「そしてこんな自分にもいい加減疲れていた。」
私にもある黒い?グレー?の気持ちもまさにそれだ!と思った。
他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
今の自分にも、そもそもの自分にも刺さる話だ
って最終的には思えたけど、なんて自分勝手な人だろうと思って、でも本なのだから、芸術なのだから、理解できんわ〜〜で済ませたらこっちが話の分からない人になってしまうから、何も読み取れないまま終わってしまうのはもったいないから、赤裸々に書くことこそが芸術なのだと納得して読み進めたが、芸術家は感性の鋭い人は、何をやっても許されるんですね〜〜って正直思う
みんなの感想がちゃんとしてて、やっぱり自分の乏しい感性でいくら本読んでもだめだなと思った
あとやっぱり子供作る自信ない
一番わがままだなって思ったのは、柴田聡子のライブで貧血で倒れてライブ台無しにしておいて貧血で倒れるのは気持ちがいいと書いてあること
申し訳ないとも思ってないんかいと
でも全部著書追っちゃう、ECDが書いたやつも読もう
Posted by ブクログ
すごいものを読んだという気持ち。こんなに正直に自分のことを書ける人ってどれくらいいるのだろう。私も母とは確執があり、育てられ方も似ているので実家のお母さんへの言動、感情はなんとなくわかる。心療内科の先生の言葉もグサッとくる部分があった。一子さんって恋愛体質というか常に好きな人が必要な人で、そこも人に依存してしまう自分と似ている。でも決定的に違うのは、私はこんなに赤裸々に自分のことを書けないよ。本当にすごい。育児に惓んでとんでもなく疲れているのに(いるからか?)、毎日精力的に動く。ライブに行きまくり、仕事で出張もたくさんこなす。エネルギーが凄い。
前半は辛い育児日記、後半は好きな人が出来て苦しむ日記という感じ。
お弁当箱に玄米を詰めて仕事に向かうECDさん、淡々と育児をこなすECDさんの冷静さ、器の大きさを実感した。占いで「ECDさんは長生きする」と言われていたが…。
次はECDさんの本を読みます。
Posted by ブクログ
序盤は東日本大震災が起こり原発に対する恐れとか、デモとか育児の苦しみばっかりで、理解できひん内容からが多かった。そこまで気にしいひんやろ。とゆう気持ちがありつつ、震災後すぐの東京は敏感やったのか。とゆう気づきもあった。
それから、育児の悩みを読んでられへんくなって読み飛ばしたりしてたけど、後半に好きな人ができたと書いてあって衝撃をうけた。
そして親の話。読み飛ばしていた部分も読み出した。人に依存していることでしか生きられない自分、子供の時に愛されなかった自分、それが孤独と向き合えない理由。
植本さんまでの重症さではないものの、一時は考えていたことがある悩み。先生の言葉が腑に落ちることもあって、幼少期の思い出の大切さを改めて痛感する。
こんなに正直に気持ちをさらけ出してもいいんや。
後悔してもいいんや、とびっくりする本。
今まで出会ったことのない本。
石田さんは寛容ですごい人なんやと
お母さんのやっぱりあの人は怖い人やと思ってたとゆう言葉、引っかかってる。
そのへんも植本さんは、一生理解してもらえへんと落ち込んだ瞬間やったんやろうなと思った。
Posted by ブクログ
正直な人だなあ。こんなに正直に書けない。だって、人にどう思われるか不安だから。
子育ての大変さ、よく分かる。著者と全く同じことをよく思うし、同じことをしてしまっていることもある。
大変さを率直に言いあえて、認め合えて、分担し合えるような社会になったらいいよね。
子育ては大変だけど、楽しいところ、とても嬉しいところもあって、そんなところもちゃんと書いてある。
子育ては大変、やりたくないって、この本を読んで思う人がいると残念だけど、著者も書いているように、大変だけど、子どもがもっといたらとも思う、子育てって不思議なもの。
お母さんとの話も書いてあり、「私はずっと母の子どもでいたいんだと思う」という言葉にも共感。
こう思ってる人は多いはず。みんな自己中になってしまったということなのかもしれないけど、こういうことを言葉にする人が出て来たんだなあって、個の時代になったのかなと変化も感じます。
読み終わっての追記
後半は著者が自分の悩みと向き合う部分で、とても読み出がありました。私自身の悩みとも通じるところがあり、とても参考になりました。途中、読むのをやめてしまいたくなるほど、著者にイライラ、腹が立ってしまうところもあったけれど、最後まで読んで良かった。
自分の生きづらさの原因が親にあること、そこまではよく言われるし、私も分かっていたことだけど、親の何がいけなかったのか、ということについて、親の在り方がいけなかったのだ、と書いてあるものは初めて読みました。親が親自身のことを好きであること、そのことがとても大切なのだということ、私も子供たちのために、自分のことをもっともっと好きになりたいと思いました。