【感想・ネタバレ】ダムと鉄道 一大事業の裏側にいつも列車が走っていたのレビュー

あらすじ

日本列島にはダムを建設するために造られた鉄道が多数ある。人気の観光路線として知られる黒部峡谷鉄道は黒部川水系の発電所工事のために敷設されたものであるし、JR只見線の会津川口~只見間は田子倉ダム建設のために、また、大井川鐵道井川線のアプト式区間は長島ダムとのかかわりの中で誕生した。話題の八ッ場ダムとJR吾妻線にも60年にわたる複雑な歴史がある。本書は、そんなダムと鉄道の密接な関係を、写真や建築資料とともに紹介する異色の現地レポートである。

武田元秀(たけだもとひで)
1960年、福島県郡山市で建設業者の長男に生まれる。県立安積高校、早稲田大学法学部卒業。五洋建設、朝日新聞社勤務を経てフリー。記者時代は大津支局で滋賀県警担当として信楽高原鐵道列車衝突事故、新潟支局でC57180号機の復活や、奥只見・大鳥発電所増設工事を取材。名古屋、東京本社で旅行・情報関連紙面の編集デスクなどを務めた。

※電子書籍の仕様による紙版と異なる図版・表・写真の移動、本文中の参照指示の変更、ほか一部修正・訂正を行っている箇所があります。予めご了承ください。

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Posted by ブクログ

ダムと鉄道への愛に満ちている。多くの本を読んで、知識を集めているなぁと感じずにいられない。

黒部に関しては、山口文象のデザイン(仙人谷ダム等)に関心をもった。トータルデザインという表現も、ただものでないけど。
ただ、高熱隧道の小説中では2度の泡雪崩が起きたと描かれている(建物ごと遠くに吹き飛ばされたやつと、大木が飛んできて建物の屋根から突き刺さったやつ)けど、それってフィクション(実際は1度)なんじゃなかったけ?とは思ったけど。まぁ大した話ではないが。

立山砂防の「永遠に終わらない」砂防工事というのは、事情はよくわかったが、これで本当にいいんかねぇとは思ってしまう。あとやっぱり、トロッコは乗ってみたい。

長島ダムでは、いつも優しく案内してくれた男性職員というのはもしやNさんではないか?とか頭をよぎった。
それから、応急仮締切の建設やその後の貯砂ダム(CSG)は関心ぶかい。そのほか、ハザマの現場事務所のネーミングとして、講和丸山出張所、徳川ホローダム出張所、というのも面白かった。

奥只見のシルバーラインの異空間ぶり(圧迫感、素掘りのどことなく不気味さ、オレンジ色のナトリウム灯)はいまでもおそろしく思い出す。あと『ホワイトアウト』はみてみたい。
田子倉については、曽野綾子(無名碑)、城山三郎(黄金峡)は読んだけれど、三島由紀夫『沈める滝』は知らなかった。

このほか、佐久間ダム、八ッ場ダム(品木中和ダム含む)、庄川の小牧ダム(流木争議)・御母衣ダム等、多くの記念碑ダムを扱っているし、自分もだいぶんみてきたなぁとも振り返るものよ。

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2019年07月22日

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