あらすじ
「これからは、育児時間勤務者も遅番、休日勤務を検討してもらいます」―2013年11月、全国各地の資生堂の会議室で、衝撃が走った。賛否両論の議論を巻き起こした“資生堂ショック”、資生堂の戦略とは、どんなものだったのか?「職場の不平等感」をなくせ!夕方以降&週末勤務を育児社員に課した“働き方改革”の真意。
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Posted by ブクログ
育児短時間勤務者と非利用者の業務負担の不公平を是正するための制度改革が、単なるトップダウンではなく、研修や意識改革など段階を踏んで実行された過程が描かれていた。
印象的だったのは、管理職研修で「旦那さんにも家事をやってもらえば」と言うのを禁句とし、「家族と話し合ってみたら」と促す姿勢。コーチング的で実践的だと感じた。
マミーゴールや1人別育成プランなど初めて知る施策も多く、企業が女性活躍を“仕組み”で支える姿に学びが多かった。
Posted by ブクログ
・「資生堂ショック」とは、子育てのために短時間制度を利用する全国の美容部員に早番だけでなく、遅番や休日シフトにも入るように会社が要請したこと。「子育て中の社員に冷たい」「女性を敵に回すのか」と資生堂はやり玉にあげられたが、女性管理職比率30%に迫り、妊娠・出産をきっかけに女性に退職を迫るブラック企業とは一線を画す存在・資生堂は、日本を代表する女性活躍推進企業である事実。「資生堂ショック」と呼ばれる働き方改革の取り組みに検証したのがこの本である。
・資生堂の考える「女性活躍の3ステージ」
第1ステージ…子どもができたら多くは退職
第2ステージ…女性は育児をしながら仕事を継続
第3ステージ…男女ともにしっかりキャリアアップ
→資生堂は第3ステージがはじまっている。今回の改革の目的は「働きやすい会社」から「働きがい」を追求する会社への進化にあると強調。
・子育て期は最短距離でゴールを目指さないと仕事は回せない。効率的に働くタイムマネジメントとリスクマネジメントの能力が育児時間中にぐっと高まった。子育て期だからこそ培われる仕事の脳力がある。
・女性活躍推進の象徴として政府は2020年までに管理職など指導的な立場に占める女性比率を30%に高めると数値目標を掲げている。いわゆる「202030(ニイマルニイマル・サンマル)」だ。
・女性管理職を育てる工夫…資生堂は登用で女性は優遇しないと断言し、昇進・昇格はあくまでも実力本位で決めている。だが、登用では優遇はしないが、女性の育成は急ぐ。女性の管理職比率の数値目標を設けて無理やりに実現することが良いとは考えていない。大切なことはフィフティ・フィフティのレベルで均等な機会が設けられているかだ。
・従業員の男性管理職の約8割が既婚・子持ち、一方、女性管理職はシングルが多数派で約4割を占める。既婚・子持ちは3割にすぎない。結婚するかしないか、子どもを持つか持たないかは個人の選択だ。ただ同じ管理職でありながら、男女差はあまりにも大きい。厳しい出世争いに勝ち残るためには女性だけが家庭生活を断念せざるを得ない現状が透けて見える。
1)子育て支援はゴールではない
2)女性活躍は女性の問題ではない
3)結果はすぐに出ない
→資生堂の取り組みを振り返ると、10年、20年はあっという間。社員の意識改革や職場の風土改革などは一朝一夕に実現できない。有効な手立てを早く打たないと同業他社に取り残されてしまうかもしれない。