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Posted by ブクログ
歴史の授業で学んだことの背景には自然気象が関係していた…って、面白かったなあ。
歴史を点でなく横の繋がり(離れた地域間での事象の因果)で理解しろ…とは言われた覚えがあるけれど、それすらも結局は事象という点と点を並べただけだったかなーと自省。
この本ではむしろ、その「点」であった事象の時間を遡って背景や裏面から起因要因を述べているわけで。
「点」自体が広がった感。
まあ、そうしたことは受験勉強には不要な部分なのは間違い無いんですけど!w
しかし改めて気付かされたのは、日本ですら食に困って人身売買が行われたり土地を捨てざるを得なかったりした時代からまだ100年も経ってないんだなあ…ってこと。
第二次大戦がいろいろと契機になっているのは間違い無いけど(戦争を肯定しているワケでは無い)、気候変動への対応力がついた社会が形成されたのが、正直ここ半世紀ってくらいじゃない?てことかー。
タイトルにあるように「気候で読み解く」テーマで通してきてるけれど、この中で一番の重みがあったのはエピローグの箇所だと思う。
気候変動に振り回されてきた人類が、その歴史の中から何を学んで少しでも不幸な社会を生み出さないようにするのか。
その問いかけと、少なくない答えがそこにまとめられている。
もちろんその答えがどれだけ的を射ているのかを知るために、過去の歴史を「読み解く」ことが必要であったワケで、1冊の本としてとてもまとまりがあったな…という読後感。
Posted by ブクログ
歴史の栄枯盛衰は気候と因果関係があることが理解できた。庶民がきちんとお腹いっぱいにご飯を食べれると豊かな気持ちになり国は安定し反映する。ご飯を食べるためには気候が安定し食物を収穫することができないといけない。考えてみると当たり前の話だ。歴史を多面的な視点で捉えると良いことに気づかせて貰いました。
Posted by ブクログ
日本史から世界史、気象学へ翔ぶ、知のダイナミズムが心地良い。膨大なデータ検証後の考察に新鮮な指摘があり、著者の横断的な知が読み取れる。
研究者らしいというか、災害、飢饉の事例を逐一記述しているので若干退屈になる部分もある。グラフの無骨さ、読みにくさには改善の余地あり。
・畳、マツタケは森林伐採による資源枯渇の産物
・元寇は元の戦略上では非常に些末な戦争
・鎌倉防衛システムは海水面低下によって破綻
・アイヌ叙事詩「ユーカラ」に他人を騙すという行為は無い
・新技術への優遇政策が普及に対しての起爆剤
・30年で市場の失敗の教訓は忘れ去られる
・「グスコーブドリの伝記」で、人工火山噴火の温室効果で冷害解消のアイディア
Posted by ブクログ
日本の歴史を気候変動とともに読み解く一冊。台風が来たり大雪が降ったり、現代でも天変地異の影響は大きいが、昔はこのような気候変動は飢饉や疫病の発生と直結しており、それによって世情や統治構造の変化といった時代の移り変わりの引き金になったケースも多々あるようだ。
たとえば平安時代末期から鎌倉時代にかけては、朝廷・公家の力が衰えて武家が勃興していったが、それも気候変動の影響が大きいという。ただ神仏に祈るだけで贅沢な暮らしを止めようとしない公家の荘園から農民は逃げ出し、質実剛健ながらも自分たちの暮らしを守ってくれる武家の庇護の下に民衆が集まったために、この権力移転が起こった。
これら気候変動が起こる要因として、大規模火山の噴火であったり、太陽活動のゆらぎといった現象が挙げられる。それらは世界的に見ても地球全体の気候変動をもたらしており、それによって世界中で人類の暮らしに変化が起こっているのだ。
Posted by ブクログ
異常気象とは自然破壊が続いている現代社会においてのみ現れる現象ではなく、人間社会の営みの中で常に起こっていること。そして、その克服の為に、人間が様々に工夫して苦境の中も生きていく為に頑張ってきたことが良く分かった。自然って凄い。人間も凄い。