あらすじ
反響轟轟!!最新鋭飛行艇開発物語!!
海上自衛隊が運用する最新鋭救難飛行艇「US-2」。
波高3mの外洋離着水。
排他的経済水域への無給油往復飛行。
約100km/hの極低速飛行。
救助者数1000名以上―――
1996年10月、日本の技術力の粋を結集させ始まったUS-2の開発は、予算確保、設計、技術審査…
幾多の試練を乗り越えながら一歩ずつ、着実に進んでゆく。
そして、開発のフェーズはついに製造段階へ―――
超ビッグプロジェクトに挑んだ男たちの苦悩と歓喜に迫る!!
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構想差し戻し…
開発プロジェクトには主に6つの段階がある。
1企画 2構想 3概念設計 4全体設計 5詳細設計 6全体試作/運用試験。
この内、5と6の間では「試験結果の反映」というフィードバック・ループが発生するし、各段階の下には調査、要素試作・試験が入る。
その各段階の仕上げに、デザイン・レヴュー(=DR)がある。
今巻では、そのDR4の直前に、メーカー側からDR2への差し戻し(再審査)の申し入れという事態が描かれている。
かなりの大ごとなのである。
国の予算でやっているプロジェクトとは云え、資金は無尽蔵ではない。構想設計段階での精査不足が原因だし、設計陣が複数社合同のジョイント・ベンチャーなのを甘く見ていたのが根本だったのだが、とにかく開発項目の絞り込み直しという事態を乗り越えるため、開発主務者の交替までする破目になる。
ここまで大掛かりなものではなかったが、開発に携わった経験者としては、随分ハラハラさせられる展開だ。連載時に読んでいなくて良かった、と思った作品は、もしかしたら初めてかも知れない。