【感想・ネタバレ】怖くて眠れなくなる植物学のレビュー

あらすじ

読み出したらとまらない、おそろしい植物のはなし。この世の中は、植物で覆い尽くされ、植物を中心に生態系が作られています。その仕組みの巧みさ。植物はどのようにして、複雑な生態系を作り上げたのでしょうか。昔から、人々は植物をさまざまに利用してきました。しかし、人間が利用してきたかのような歴史を振り返ってみると、人類は常に植物に翻弄され続けてもきたのです。人間は自分たちこそが万物の霊長なのだと信じています。しかし、もしかするとすべては植物の思惑どおりなのかも知れません。自然の営みも人間の営みも、植物たちに仕組まれたことなのかも知れません(「おわりに」より抜粋)。 ○本書の目次より/超大国を作ったイモ/トウモロコシの陰謀/除草剤で枯れないスーパー雑草/バブル経済を引き起こした花/人食い植物の伝説/植物に感情はあるか?/幽霊は柳の下に現れる/共生の真実/操られしもの/アインシュタインの予言……

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Posted by ブクログ

ネタバレ

p26
じゃがいもは栄養繁殖で増やす。ところが19世紀初め、アイルランドではじゃがいもの疫病が大流行し百万人が餓死、二百万人が故郷を捨て新天地アメリカを目指した。
人間は有性生殖です。しかし人間はバラバラであることを嫌います。均質な人材を作ろうとするのです。作物と同じようにその方が管理しやすいからです。生物はコストをかけて多様性を創出しています。均一な人間の管理は人間社会にアイルランドの飢餓のような事件を起こさないでしょうか。

p36
現代人の体の40%はトウモロコシから作られていると言われているほどです。

p49
人間が改良を重ねた野菜…キャベツもメキャベツもブロッコリーもカリフラワーも学名は同じ「ブラシカ・オレラシア」
 
p68
植物の種は暗いところで発芽をする性質を持っているものが多くあります。しかし雑草の種子は光が当たると芽を出すものが多い。草取りをして土の中に光が当たったと言う事はライバルとなる他の雑草が取り除かれたと言う合図でもあります。

p75
チューリップバブルで特に高値で取引されたのはブロークンと言われる縞模様の花を咲かせるチューリップ。これはアブラムシによって媒介されたウィルス病によって引き起こされることが現在では知られている。

p96
植物にとって最も重要な器官は種子を残すための花です。ラフレシアは余分な茎もはもなく花だけを咲かせる理想的な形と言えるかもしれません。世界一大きな花が自活しない寄生植物と言うのも世の不条理を感じます。

p148
竹や笹が花を咲かせた後、無数の種子できこれを餌とするネズミが大発生する。そして飢餓が起こる。
日本では1970年代にマダケが一斉に開花して枯れた。120年後の次の開花が2090年。

p163
魔女狩りで猫も大量に虐殺された。中世から近世ヨーロッパで大流行したペストの伝染源はネズミ。猫を殺しすぎたためにネズミが大繁殖したことも原因の1つ

p170
トリカブトの塊根は附子(ぶす)といいます。トリカブトを口にすると神経系の機能が麻痺して無表情になります。これがブスの語源であると言われています。

p172
カフェイン、ニコチン、コカイン、カプサイシン。
植物の毒は人間の神経を覚醒させて元気にしてくれたり人間の神経を麻痺させてリラックスさせてくれたりします。さらには毒を無毒化したり排出しようと体の中の機能が活発に動き出したり、毒を排出することで余計な老廃物も一緒に排出するデトックス効果もあります。しかも植物の毒を感知し苦痛を和らげようとエンドルフィンまで分泌します。エンドルフィンの分泌によって人間は陶酔感を覚え、忘れない快楽を感じてしまうのです。

p184
季節行事
旧暦3月3日、桃の種を煎じた杏仁湯で稲作に備える
5月5日、田植え時期は、菖蒲湯で健康を守る
7月7日、草取りの時期、ほおずきの薬湯で堕胎しておく
9月9日、稲刈りの時期、菊の花の酒を飲む

黄色い吸血鬼 ネナシカズラ
絞め殺し植物 ガジュマル
歩くウォーキングパーム ソクラテア
ひっつき虫 ライオン殺し
腐海の植物 ホテイアオイ
日本の三倍体ヒガンバナの毒とでんぷん
産業革命で機械化されてもワタの収穫は手作業
湿った場所を好む柳の枝の形は幽霊の手に似ている
イラクサ=蕁麻、蕁麻疹の語源。
イラクサの棘の刺さった状態がイライラする
ケセランパサランはガガイモ?
日本麻酔学会のロゴはチョウセンアサガオ

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2022年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あらゆるところにトウモロコシ、やアイルランドとジャガイモの話は興味深かった。トウモロコシの起源が謎、なことも、クローンで増えていくためにジャガイモの疫病が瞬く間に伝染し、餓死者がでたことも、人間社会と植物はかかわっていることを感じる。またキャベツ、芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーの学名がすべて「ブラシカ・オレラシア」なのも興味深い。チューリップの球根がバブル経済を引き起こしたことなどを知ると、植物が社会を何らかの形で操作しているのではないか、と考えてしまう。
またたぶん、多くの人が考えたことがあると思う、「ミドリムシは植物?動物?」という疑問にも考察がされていて、面白かった。ミドリムシだけでなく、体内で緑藻を共生させ、その光合成によって作られたエネルギーを利用する「ハテナ」という生き物まで紹介され、人間の知識が大海のひとしずく、ということを深く感じた。

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2020年02月21日

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