あらすじ
「餡子だけじゃつまらねぇ。菓子を作れよ、孝次郎―」
深川で菓子屋「二幸堂」を始めた兄・光太郎と弟・孝次郎。
ほんのり甘酒香る薄皮饅頭「斑雪(はだれゆき)」、桜の花弁を模した上生菓子「恋桜(こいざくら)」、黄身餡が贅沢な「天道(てんとう)」と十四夜の月の如く控えめな甘さの「幾望(きぼう)」、柳の青葉が風情涼やかな錦玉羹「春の川」、薄紅色の白餡大福「紅福(べにふく)」。
―不器用な職人・孝次郎の作るとびきりの菓子が、人と人を繋げ、出会いをもたらし、ささやかな幸福を照らし出す―。
江戸の菓子屋を舞台に描かれる、極上の甘味と人情と、つたない恋。兄弟の絆と店を支える人々の温かさに心震える珠玉の時代小説!
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Posted by ブクログ
面白かった。兄弟がお互いを想い合ってる様子に心があたたまる。弟の想い人との恋愛模様も微笑ましく、良い感じに結ばれたのが良かった。ただ何で孝次郎を好きなったのか理由が分からないままなので、この先に知れたら嬉しい。
楽しい
「深川二幸堂 菓子たより」の方を先に、読んでしまったからな。二人の行く末は、幸せになるよって、分かっていて、お店が出来て、色んな人と出会って、お菓子が増えて、という最初の話を、ふふふっと笑いながら読めて、楽しかった。
Posted by ブクログ
子供の頃、火事にあって大火傷の跡が今も残る孝次郎。口下手だが、仕事は丁寧な菓子職人だ。先代の主人にも気に入られていた。ところが先代が死に、息子の代になると、職人としての腕を見込まれていた孝次郎は、同年代の跡取り息子からいじめにあい、餡ばかり作らされていた。
もう、とうに御礼奉公も終わったはずなのに、のれん分もまだで、手代の賃金もままでもあった。
兄、光太郎は役者にしたいほどのいい男ぶりで、弁舌も滑らか、手先も器用で父親の後を継いで、根付職人をしていた。
その兄が、突然奉公先にやってきて、その待遇の悪さを論い、御礼奉公、年季もとっくに明けたはずと、孝次郎を店から救い、二人で二幸堂という店を始めることになった。
職人の物語でもあり、兄弟愛の話でもあり、淡い片思いの話も。。。
見せ場たくさんのストーリー展開と、登場人物のしっかりした書き分けで、楽しくホロリと情愛も描かれ素晴らしいシリーズの第1巻。
Posted by ブクログ
面白かったです。
去年の誕生日プレゼントに文通友だちから頂いた本です。初めての作家さん。美味しそうな表紙の本はチェックしてたのですがこちらはノーマークだったので嬉しいです。
冒頭から辛いシーンで、えっこの子亡くなるの!?と思いましたが生きていてほっとしました。
このことが兄弟に強い影を落としていて、孝次郎も遠慮しているし光太郎も遠慮してるし…なのですが最後には蟠りも解けて良かったね、となりました。
孝次郎の作る和菓子も美味しそうで。素朴なのですが食べてみたくなります。
兄弟のキャラも良いですがお七さんが好きです。お節介も過度ではなく弁えてるし、でも隙有らば和菓子の味見をしようと狙っているのが可愛いです。
良くある人情系グルメ時代物と言えばそれまでなのですが、でもキャラが良くて追いかけていきたいなと思いました。草笛屋との決着もついてないし。