【感想・ネタバレ】欲望する「ことば」 「社会記号」とマーケティングのレビュー

あらすじ

女子力、加齢臭、草食男子、婚活、美魔女、おひとりさま、イクメン、インスタ映え……。これら、どこからともなく現れて一般化した造語を、著者は「社会記号」と呼ぶ。そして、それは世界の見え方を一変させ、マーケットを支配していくという。では、「ことば」はどのように生まれ、どんなプロセスを経て社会に定着していくのか。なぜ人は新しい「ことば」を求めるのか。本書は、マーケティングのプロと研究者がタッグを組み、それぞれの視点で「社会記号」について考察。人々の潜在的欲望をあぶり出し、世の中を構築し直す「社会記号」のダイナミクスに迫る。 【目次】はじめに 社会記号が世の中を動かす 嶋 浩一郎/第一章 ハリトシス・加齢臭・癒し・女子 ――社会記号の持つ力 松井 剛/第二章 いかに社会記号は発見されるか ――ことばと欲望の考察 嶋 浩一郎/第三章 ことばが私たちの現実をつくる ――社会記号の機能と種類 松井 剛/第四章 メディアが社会記号とブランドを結びつける ――PRの現場から 嶋 浩一郎/第五章 なぜ人は社会記号を求めるのか ――その社会的要請 松井 剛/第六章 対談 誰が社会記号をつくるのか 嶋 浩一郎・松井 剛/おわりに 社会記号をクリティカルに捉える消費者になるには? 松井 剛/主要参考資料

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Posted by ブクログ

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なるほどいつの間にか「社会記号」となっている「ことば」は確かにたくさんある。それを創り出すメディアの特性も語られており、結果としてそのことばと結びつくカテゴリーNO.1ブランドが出来ていくその理由も納得いくものだった。「社会記号」を企業単独の力で創り出すことは難しいが、しかし消費者の顕在化していない不満や違和感をシンプルに言語化する能力(センス?)は企業のマーケティングにおいて重要であることは再認識した。顕在化とは言っても、世の中には少しずつ生まれてきているものに気が付けるかどうか?が大事である。それが一時的なものか、定着する本質的なものかを嗅ぎ分けるセンスをもつことが重要。それはネットや本などの資料やデータだけではたどり着けるものでなく、観察や話を聞くこと、n=1からどこまで洞察できるかにかかっている。今のような在宅勤務が続く生活の中で、どうやってインサイトを嗅ぎつけるか、これは課題である。
それにしても社会記号となるのはことばに限らない。たとえば最近のおしゃれなメガネのフレームといえば丸いデザインのものが多い。あれはいつどこから始まったのだろうか?そこにはどんな不満や違和感があったのか?

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2021年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社会記号とは、世の中に新しく生まれたニーズや欲望を捉えて言語化したもので、それが定着することで一般名称となり、新たな文化や大きな市場を創造することがある。そのため「社会記号についての知識や理解は、マーケターや広報担当者、それに商品開発者には欠かせない」と著者の嶋浩一郎氏は述べる。

共著者でマーケティング研究者の松井剛氏は、聞き慣れた「加齢臭」「女子力」「癒し」などを例に、これらの社会記号の成立・変遷・市場形成(いつどこで生まれたか・どのように意味や使われ方が変化したか・どのような関連商品が生まれたか)などを説く。これらはマーケティング従事者でなくても気軽に、かつ興味深く読める。しかし第三章以降は内容が学術的になり、言語学や社会科学からの引用著述も説明不足で、誰に向けて何を書こうとしているのかがよく判らない。

一方、嶋氏が語るのは社会記号だけでなく、生活者インサイト発見の方法やメディアとの向き合い方など、これまでインタビューや講演などで氏が提唱してきたことを本書で一冊にまとめた観がある。例えば「ひとが気づいていないことに気づくことがビジネスでは有効」「顧客が欲しいものを先回りして探すところに商機を見出す」「街の中からインサイトを発見する」「雑誌は新しい欲望を発見させるもの」というようなことだ。マーケティングに従事する、あるいは興味のある人には一読の価値ある「嶋氏の思考を知る」一冊である。

#欲望する「ことば」 #NetGalleyJP

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2017年12月25日

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