あらすじ
「登山の世界に法律を持ち込むべからず」
――かつての山の常識が崩れつつある。
本来、社会の枠から離れ、自己責任により自由に行なわれるはずの登山の世界に、「管理」や「規制」が増えている。
山岳事故の訴訟も増えた。
そんな山の法的トラブルを回避するために、“知らない”では済まされないイマドキの山の世界のルールを紹介。
また、加害者・被害者にならないための方法をこの1冊にまとめました。
どこでもテント泊できる?
山で焚き火をしてもよいのか?
高校生の冬山は禁止できるか?
ツアー登山の事故と責任は?
などなど、気になる疑問にも答えます。
[序章]
山岳事故が起きれば法律が適用される
登山が法律で規制される場面が増えている
[I章]登山の規制
(1)登山の自由とその制限
(2)登山の規制のあり方
(3)山のルールやマナーと法律
(4)昨今の規制問題
[II章]山岳事故の責任
(1)山岳事故の紛争が増えている
(2)どういう場合に責任が生じるのか
(3)被害者にならないために
(4)加害者にならないために
[III章]登山のリスクとどのように付き合うか
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Posted by ブクログ
法律家が書いた山での法的トラブルの本。人情的に危機感を煽る内容ではなく、法律の専門家が淡々と書いている。
事故があるたびに責任の所在が喧噪されるが、個人山行において法的には賠償責任を負うケースは少ないことが分かった。
Posted by ブクログ
登山が好きで、ときどき登山道を外れたコースを地図を見ながら歩くトレーニングをすることもある。そんな時、ここが私有地だったら、不法侵入にあたるのかな?と疑問に思ったのがきっかけで読んだ。
結論から言えば、そこが私有地であっても、現地での所有者の明確な意思表示がない限り、立ち入ることはなんら問題ない、という認識を持った。
他にも、友達を連れて登山に行った時に起こった事故の責任など、グレーゾーンで行われる登山の危うさを感じた。
ときどき読み返したい一冊。
Posted by ブクログ
登山に関わる事故、事件、行動の制約など、海外と日本の違いや、法律の曖昧さや勘違いなどを書かれている。
多くは土地所有者の黙認、自由を尊重する法律の下で登山は成り立っている。
単独登山に冬山登山などの是非が議論されて来たが、決着は付いていない。
山での事故は誰の責任なのか。グループ登山のリーダーや引率者たちは、事故が起こった場合に、どう責任を問われるのか。
十分な経験と、装備、技術を持ってして挑む冬の富士山。
では、その経験、装備、技術の評価は誰がするのか。
登山道の整備、道標のリボンなどは、勝手に付けてはならないが、実情は有志による整備が散見される。
登山は、自然の中でのスポーツである。
危険回避行動は、人間がする。
危険だからと、自然を改造しては、本来の登山が無くなってしまう危険があるではないか。
様々な事例が出て来て勉強になる。
多くは黙認され、曖昧さの残る法の下で運用されていることがわかる。
愛犬は山へ入れてはならないのか。
裏山で山菜取りはできなくなるのか。
山で朝の散歩が1人では出来なくなるのか。
考えれば考えるほど、矛盾した問題山積みである。
知ることで行動も改まるし、より安全な登山を目指すことの重要性を知らされる。
ゴミは持ち帰る。晴れていようと雨具、ヘッドライト。
登山届、山岳保険、忘れずに。