あらすじ
過激化する中国の海洋進出にどう立ち向かえばいいのか?
現在、西太平洋で米中は戦争状態にある。東シナ海と南シナ海の覇権を米国から奪うため、中国が武力を盾に「挑戦」を始めたのだ。現場では何万という米軍兵士が命をかけて戦っている。本書では彼らの肉声から、その衝撃的な実態を描いていく。
・公海上空を飛行中の米軍機が中国機に体当たりされた
・海南島に不時着した同機の乗組員は中国軍により全員拘束
・南シナ海で米軍艦と中国空母が一触即発の睨み合い
・米国主催の合同海軍演習に中国軍はスパイ船を連れて登場
・中国は軍事力を背景に南シナ海の岩礁を次々と略奪
・その周囲を埋め立て、滑走路付きの軍事施設を建設している
etc
解説 徳地秀士(政策研究大学院大学シニア・フェロー、元防衛審議官)
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
【228冊目】2000年代以降での西太平洋における米中海軍の衝突を並べ、熱戦でも冷戦でもない「温かい戦争」が現在進行形で発生しているということを示唆する本。購入時の期待よりは面白かった。きっと軽く読むべき本。
先に読んだ本「中国はなぜ軍拡を続けるのか」が、その軍拡路線にもかかわらず中国人民解放軍の装備資機材や兵士の練度を比較的小さめに認識したのとは対照的に、本書は人民解放軍海軍の振る舞いを脅威ととらえるべきというのが基本主張であるから、その対比として読んでも興味深かった。
本書で紹介されている最低限覚えておくべき事件は、
・2001年「海南島事件」
・2013年「カウペンス号事件」
・2014年「北極星号事件」(217ページ)
人民解放軍海軍が西太平洋地域においてかなり強気の姿勢に出ている一方、オバマ政権の対中融和路線(あるいは筆者が及び腰と呼ぶもの)が中国を増長させたのではないかとの印象が読後に強い印象として残った。
本書を読むと中国のことが嫌いになるのは間違いないと思うが(笑)、「一読すれば分かる通り、本書はもっぱらアメリカ側の視点から書かれている。簡単に言えば、アメリカ軍人は正義のヒーロー、中国の政治指導者や軍高官は悪役もしくは準悪役である」と筆者が冒頭で宣言していることから、読む前から頭の中で補正をかけることはできる。ただ、そうであっても、読後の中国に対する印象は最悪(笑)アメリカが常に正しいとも思わないけど。