あらすじ
日本史は暗記科目じゃない!
天皇、土地、宗教、軍事、地域、女性、経済。七つのツボを押さえれば、日本史の流れが一気につかめる。
最もコンパクトな日本通史、登場。
大事なのは疑問を出す力、仮説を立てる力、そして常識の力。
人気歴史学者が面白くかつ明快に日本史を解説する。
「天下分け目の関ヶ原」は三度あった
律令制は「絵に描いた餅」
応仁の乱、本当の勝者は?
銭が滅ぼした鎌倉幕府
皇位継承 ヨコとタテの違い
川中島の戦い、真の勝者は武田信玄
貴族と武士の年収は一桁違う?
などなど、目からウロコのトピックも満載
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
鈴木保奈美さんが案内役を務める『あの本、読みました?』を毎週楽しみにしている。
今回は「新書」を取り上げていた。そこに出ていた本郷和人さんの本を読んでみた。
天皇・宗教・土地・軍事・地域・女性・経済の7つの視点から歴史を語る。
当たり前だと思ったことが当たり前じゃない。
「川中島の戦い」は引き分けじゃなく、信玄の勝ちと言い切るところが面白い。
戦いの勝ち負けは犠牲者の数でも、大将の首でもなく、その戦いが何の目的かによるという立場。
謙信が北信濃の領地を狙ったのに、結果的に占領するに至らず越後に帰ったのだから信玄の勝ち!
なるほどと思った。
目から鱗の歴史講義だった。さらに本郷説を知りたくなる。
Posted by ブクログ
著者は最近よくTVのクイズ番組で見かけるのでチャラチャラした人物かと思っていたら、本職は「大日本史料」の第5編という史料集を編纂することで、そのため来る日も来る日も建長年間(1249~1256年)の資料を読んでいる真面目(?)な東大教授でした。
その本職から離れて、歴史学によって「むかし」を知ることを「いま」に結びつける、という過程の中で、歴史はどういうベクトルで動いているかを知るために、つまり日本の古代~明治以前までの流れを把握するために、「天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済」の7つの観点から、歴史の流れを捉えている。
読んで驚いたのは、本当に「ツボ」と思われる箇所をしっかりと押さえ、新しい歴史の見方を分かり易く解説しています。
一部下記に紹介します。
天皇
何故「天皇」が出来上がった?⇒白村江の敗戦による「日本ブランド」の確立???(詳細は本書をお読み下さい)
結果論ではあるが、白村江、幕末維新、昭和の敗戦と日本が「外圧」による危機に晒されたとき、新しい「ヴィジョン」を掲げる。それが日本の歴史における天皇の役割だと言えるかも知れない。
宗教
神道と仏教はどちらも天皇家によって、形成され受容されていた。
また、日本の宗教は政権と結びつくことによって、形式化して本来の内容を失った。
明治政府が打ち出した方針は、天皇を中心とした国家づくりを、思想的に補強するために、仏教や儒教といった外来の宗教ではなく、日本古来の神道を持ってくることでした・・・(略)・・・しかも明治維新でいきなり表舞台に引っ張り出されるまでは、肝心の天皇はむしろ仏教との繋がりの方が強かった。そこで、邪魔な仏教を排除しようとしたのが廃仏毀釈でした。
具体的には、天皇・皇后などの葬儀も、聖武天皇(724~749年)から江戸末期までずっと仏式で行われていて、神式でやるのは、明治以降のことだそうです。
土地
日本の土地制度の歴史として、教科書などでも最初に登場するのが、「律令制」であり、「公地公民」です。著者は、「実態とかけ離れたフィクションに近い説明なのではないか」と、この記述に異論を挟む。
この時代の政権は「そこに書かれている内容を実現できるだけの行政システムもなければ、インフラも未発達、支配の対象となるような公民というまとまりも未だ成熟していなかった」
以上内容の一部を紹介しただけですが、新しい切り口からのアプローチが面白く、本当に歴史を理解できた(?)ような心境になります。