あらすじ
故郷をこよなく愛するとともに、世界の多様な風景・風俗を愛したチャベックは多くの旅行記を遺している。その優しくユーモラスな筆致は、深い悲しみと叡智を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は1936年、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーを巡った記録。船と鉄道と車で、原始の面影を残す森やフィヨルドをたどり、壮大な自然と素朴な人間の暮しを感動いっぱいに描く。イラスト多数。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
1936年にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーを巡った旅行記です。鋭い描写とユーモアラスで温かみのある表現と多数のイラストで、旅行で出会った北欧の自然・民族・文化を描いています。
今夏の旅行中に読んでました。オスロからベルゲンを経由してトロンハイムまでの鉄道と船の旅の風景が、ほとんど変わっていないように見えて驚きました。また、著者は船旅の最中にアメリカの宣教師の布教集団の騒がしさに殺意を感じるほど辟易していますが、ヘルシンキ-オスロで乗った飛行機の2つ後ろの列でアメリカ人女性2人がずっと大声で話し続けているという状況に出くわして苦笑してしまいました。
フィヨルドはこんな↓感じでした。
「柔かく心地よくさざ波を立てる長い湖を航行している。何千もの細かい煌めく水面が、頂きに白い雪を持つ金色や青の岩の姿を映す。海峡はせばまり、岩と岩との間の小径に過ぎないようになる。ここでは水は、全く現実離れした状態で沈み込み、深い緑色となって、油のように滑らかに、夢のように静まり返る。」(P200)
Posted by ブクログ
チェコ人の、この方はどう称していいかわかりづらいタイプの多彩な方のようだが、ジャーナリストであり劇作家であり多くの旅行記を綴っているチャペックによる北欧の旅行記である。
当時新聞連載されたものであり、彼にとって最後の旅行記になっているようだが、鉄道と船での移動でデンマーク、スウェーデン、ノルウェーをめぐる旅行記となっている。彼の直筆によるイラストが多数含まれているのも特徴的だろう。
とはいえ、この旅行記における翻訳は、正直言って意味を受け取るのに難しい部分が少なくない。
直訳なのか、悪文なのかは不明だが、そこに込められた皮肉なニュアンスに首をかしげること暫しであった。
そうした点を加味して星三つと評価している。あくまでこのちくま文庫版の翻訳本としての評価であることは述べておきたい。