あらすじ
十一歳のおけいは泣きながら走っていた。日本橋通旅籠(はたご)町の太物問屋・巴屋の長女だが、母は美しい次女のみを溺愛。おけいには理不尽に辛くあたって、打擲したのだ。そのとき隣家の小間物問屋の放蕩息子・仙太郎が通りかかり、おけいを慰め、螺鈿(らでん)細工の櫛(くし)をくれた。その日から仙太郎のため巴屋を江戸一番の店にすると決意。度胸と才覚のみを武器に大店に育てた女の一代記。(解説・麻木久仁子)
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Posted by ブクログ
数ページ読んでこの本好きだと思った。とても読みやすい。
母に愛されず、隣家の兄さんを心の拠り所として成長する太物問屋巴屋のおけい。
兄さんの「苦労ってやつは、それを背負えるだけの強えもんの肩に掛かってくるのさ」という言葉と兄さんへの想いを胸に異常なまでにヒステリックな母も可愛いだけの妹も主人(父親)を急に亡くしてしまった巴屋も全て背負う。
帯に書かれている通り、ラスト涙が込み上げてきた。
Posted by ブクログ
太物問屋巴屋のおけいは母親から疎まれ妹だけを溺愛して、おけいに理不尽につらく当たる。それでも負けないで頑張るおけいを隣の小間物問屋の放蕩息子の仙太郎がやさしくしてくれるので彼を慕っている。
ある日、仙太郎が家を出て行くという時に追いかけて行ったおけいは仙太郎から螺鈿細工の櫛をもらう。そして、その時仙太郎がいくら放蕩をしてもいい店にして待っているから必ず帰って来てと子どもながらに約束をして見送る。
辛い事苦しい事理不尽な事に負けないおけいはどんどんその才能を伸ばし父の突然の死後も店を取り仕切って大店へと巴屋を導いていく。それもこれも仙太郎が帰ってくることを信じて櫛を見ながら頑張っていった結果で、店はどんどん大きくなっていく。
その才覚と切符の良さ、一途な恋の結果が繁栄と綱渡りの物語として時代小説としておもしろい。
商売繁盛サクセスストーリー
本題から恋模様をもっと期待しましたが、純愛で一途なソールメートな絡みで、ちょっとさらりとしすぎているような感じを受けました。
江戸時代の経済-商い物に焦点を当てているようなので、題も「恋」を匂わせない方がよかったのではと個人的に思いました。
商いもののストーリーとして読むと、サクセスストーリーが上手く運び過ぎて御伽話のようでもあります。
リズムはよく一気に読めましたが話の焦点が恋なのか商売なのか今ひとつクリアーでなかった印象です。