あらすじ
世界のすべてを陰でコントロールする組織の存在を知ってしまった男は!? マット・デイモン主演の同名映画の原作をはじめ、デビュー作「ウーブ身重く横たわる」、初期の代表作「にせもの」(映画化名『クローン』)から、中期・後期の傑作。さらに1972年執筆の幻の短篇「さよなら、ヴィンセント」を初収録。ディックが生涯にわたって発表した短篇に、エッセイ「人間とアンドロイドと機械」を加えた全13篇を収録する傑作選。
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Posted by ブクログ
ディック、アンドロイド〜と、高い城の男読んで、あれ全然好きじゃないかもと思って敬遠していたのだけど、ユービックは面白かったし、短編集なら読めるかもと思って手に取ったら、めちゃ面白かった笑。もしかしたら今読み直したら面白いかもと思ったり。。とりあえず次は、トータルリコール読もうっと
ディック感といわれる現実と非現実の間で自分がわからなくなる感覚、普通にゾワっと怖いのだけど、ホラーの怖さがスッとやみつきになるような、そんな感覚もある。
それから久しぶりにイーガンを読みたくなった。
アジャストメントも面白かったし、ウーヴ身重く横たわるも面白かったし、にせもの・電気蟻も面白かったし、…
ウーヴ:ウーヴ食べたら船長がウーヴになってて怖…とぞっとした
にせもの・電気蟻:普段人間として生きていた自分が、実はアンドロイドと言われたら?の二作。にせもの、の方では図らずも最後それを証明してしまうというエンド…で、電気蟻は自分のことを調べて最後「彼はそれを見、そして理解した。もう手遅れだ、とさとった。テープは通り過ぎてしまった。神さま、お助けください。テープが、おれの計算よりも速いスピードで、巻きとりをはじめたんだ。そして、とうとういまー」(p350)と間に合わずに終わる、というエンド。最後それさえも人間側が企んでいたというのが、気持ち悪かったというか悲しかったな。
にせものの方で、…「ぼくはオーラムだ」と、またくりかえす。「本人がいうんだからまちがいない。証明できないだけなんだ」(p.104)という時の切なさが半端なかったな…私もそうだし、皆そうじゃんというね。この二作は特に好きだったけど、イーガンを読みたくなった二作でもある。
おお!ブローベルとなりて、は戦争を皮肉った作品として面白かった。結局なりたくない相手の姿に変わったカップルの話。
父祖の信仰も、SFらしいというか、1984ぽさもあり、でも正体が異世界生物だっていうのはとんでも話として、グロテスクな話として楽しみました。そしてそれはこの現実も証明できないしね…
「これが永久につづけばいいのに」と彼はいった。
「つづいたわ」タニアが答えた。「時間の外側で。海みたいに果てしがなかった。カンブリア紀のわたしたち、陸に上がってくる前のわたしたちは、こんなふうだったのよ。太古の原始の海。こうしているときだけ、わたしたちはあの時代へ帰れるのよ。だから、こうすることがとても大きな意味をもつんだわ。あの時代のわたしたちは、まだ離ればなれじゃなかった。大きなゼリーの塊だったのよ。ときどき浜辺に打ち上げられてくる、あのクラゲみたいに」(p.312)
電気蟻、一番好きだったかも。
「きみも実在してないんだ」彼はサラに言った。「きみはわたしの現実テープの上にある、刺激因子の一つにすぎないんだ。ふさぐことのできるパンチ孔の一つなんだよ。きみはほかの現実テープの中にも存在しているのかな、それとも、客観的現実の中に存在しているのかな?」彼にはわからない。想像がつかない。おそらくさらも知らないだろう。おそらく彼女は、おびただしい現実テープの中に存在しているんだ。おそらく、これれまでに製造されたあらゆる現実テープの中に。「もし、わたしがテープを切断すれば」と彼はいった。「きみはどこにも存在し、どこにも存在しなくなる。この宇宙の中のすべてのものとおなじように。すくなくとも、わたしの知るかぎりにおいては」(p.347)