あらすじ
貧しくても、学歴がなくても、田舎者でも、希望を胸に生きてきた。
けれど、繁栄から取り残された――。
磐石の習近平政権を、絶望した3億人の農民工たちが揺さぶろうとしている。
これは、今まで誰も描くことのなかった、『中国版ヒルビリー・エレジー』だ。
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Posted by ブクログ
10年以上中国に住み、地方から出てきた民工の人たちと人として付き合いを続けた中で紡がれた地べたのルポ。舞台はほとんど上海。手間暇をすごくかけた本。救いようのない内容かと思ったが、著者の愛情あふれるまなざしが温かく、絶望的にさせない。なるようにしかならないという、諦め混じりだけどしたたかな庶民の心意気が伝わってきて、読後感は良かった。中国へのステレオタイプなまなざしを捨てさせる本。
Posted by ブクログ
必ずしも分析的・体系的ではないものの、中国語が(多分)かなり流暢で、上海に住んで中国人と親しい関係を結んでいる著者の体験・実感がこめられていて、リアル中国レポートとして読み応えがある。もちろん、中国の圧倒的な大きさ、人口の多さから見ても、著者の知る範囲はごくごく限られているが、上海人(都市戸籍者)と農民工(出稼ぎ者)の双方に個人的ネットワークを持っていて、日本でも報道される農民工の実態がよく分かる。
それにしても、中国の社会格差の広がり、貧困の拡大は、世界第2位のGDPを持ち、経済的にも政治的にも軍事的にも大国であろうとする中国の負の一面であり、未だにこれほどの格差・貧困があることに驚かされる。
著者には、是非、定期的に現代中国のレポートを書き続けてほしい。