あらすじ
救いと慈愛に満ちあふれた、感涙医療小説。
奈緒(40歳)はシングルマザーの看護師として涼介と寄り添い生きてきた。その涼介も高校生、進路を考える年齢に。そんな折、大きな転機が訪れる。敬愛する医師三上の誘いもあり、思い切って東京の緩和ケア病棟で働くこととなる。死を間近に見つめる毎日の中、その瞬間まで幸せに生ききり希望を持てる最期を模索し続ける奈緒。一方、涼介は強く大きい夢を抱く。それは奈緒の夢でもある。母子の夢の行方、そして三上と奈緒のこれからは・・・・・・。
緩和ケア病棟を舞台に、綿密な取材と著者自身の看護師経験に基づく圧倒的リアリティ、温かな視線で人々の生き様、死に様を丁寧に紡ぐ。懸命に生きるすべての人々に送られる慈愛のエールに癒やしの涙は必至です。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
この作家さんには、いつも泣かされてしまう
。自分にとって何が大切かを考えさせられる。
もちろん、息子が一番。こどもが自立してゆとりができたらいつか父親を旅行に連れて行ってあげたい。娘はそう思う。
でも、いつかはこない。後悔するけど、それでも楽しかった。幸せだったと亡くなった人から伝えてもらえることは残された者にとって生きていく希望になる。
私の生き様が誰かの希望になれるように、明日からまた頑張ろうと思う。
Posted by ブクログ
家族と医療がテーマの小説
息子が出来すぎなのと、色々タイミングが良すぎるのが気になったが、伏線からの最後台詞は集大成的な感じでよかった
前作があることを知らず、読んでもなかったが、特に問題なく楽しめた
おそらく前作を読んでおいた方がよりニヤニヤできたんだろうと思う
Posted by ブクログ
満天のゴールの続編だったんだね
お父さんの看取りのくだり知らぬまに涙が出てた
息子の為に一生懸命だけど息子が結婚したら奥さんが1番でお母さんのことは気にしなくなるからまぁそれでいいのだけどね
だから最後は三上先生からのプロポーズ良かったね〜それにしても三上先生ポーカーフェイスだな
Posted by ブクログ
『満天のゴール』の続編です。充実した読書時間がもてた一冊でした。
小説の前半は、京都で看護師として働く奈緒と高校生になった息子の涼介、奈緒の父親の耕平の3人の暮らしに起きた変化が描かれていました。まるでドラマを見ているかのような展開でした。『満天のゴール』のときに幼かった涼介がたくましく優しい高校生に成長していました。頑張っている母親を見て育ったこと、祖父や三上先生の優しいフォローのなかで育ったことが、涼介の成長に大きな力を与えたことが伝わってきました。
後半は新天地、東京に舞台が変わります。
三上先生と奈緒は緩和ケア病棟での勤務、涼介は医学部を目指しての受験勉強の日々。
緩和病棟の患者さんとのやりとりでは、残りの命と向き合う日々のなかで、残していく大切な人への思いや、人生の心残りが書かれていました。藤岡陽子さんが看護師だからこそ、ここまで書けたように思いました。読者の私も、家族を緩和ケア病棟で見送ったことがあるのですが、あの静かで穏やかな空間で家族の命と向き合った日々を思い出しました。
そして、「亡くなる瞬間まで幸せを感じることができる。」「死は決して敗北ではない。懸命に生き抜いた先のゴールとして幸せな死があり、その死は残された者にとっての希望となる。」というこれらの言葉に救われました。
緩和病棟から患者さんへ渡されたブルーのノートも印象に残りました。残された星のシールの数を思うだけでも命を感じられ、『満天のゴール』の星のことも思い出しました。こんなノートを、読者の私の見送った家族にも書いてもらっておけばよかったと思いました。
涼介の合格発表の場面は、読んでいても緊張しました。自分の子どもの合格発表の気分でした。結果は···涙がでてしまいました。
そして、その後の「春の星を一緒に見ませんか?」という言葉が、なんともいえないくらい、いい言葉でした。そして、この先の3人のその後を、さらに知りたい気持ちになりました。
もう少し長編でも、きっと夢中で読めたような気がする小説でした。
〈目次〉
1 朝凪
2 暗影
3 永訣
4 蛍火
5 星原
6 明星
7 秋空
8 涙雪
9 邂逅
10 決戦
11 積雪
12 満天